炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
9節 管理者と生命体
「目的……やはり、予想はしてましたが、ただで私を転生させたわけでは無いようですね。終わるという言葉の理由と共に、説明してください。遮りはしません」
アルゴライムは覚えたての魔法で日本でいう紅茶に一番近いものを入れた。
「あんた飲めるのかい? 」
「元人間なので、味覚は正常です」
「吸血鬼の味覚が正常じゃないとでも言いたいのか……? 」
「いいえ、知りませんから」
アルゴライムとアノニムはティーカップの中身を飲みながら、世間話のように話していた。
「e16はサボり癖がありそうだな。吸血鬼の体質は人間と全く違うからこういうのを口にすると一週間くらい寝たきりになるんだよ。死にはしないが。あれに言っておこう」
「そうなんですね。どうりで私がこれを飲んでいるのを見て驚いていたわけです。ところで、あれってなんなんですかね、説明願います」
「そんなこともあったのか。あんたはかなり自由なんだな。まあ、それも話すよ」
アルゴライムに吸血鬼の知識が一つ増えたところで、アノニムが話し始めた。
「私たちは神に作られた存在だ。それは説明しろって言われても無理だから理解してくれ」
「ええ、わかりました。そういうことにしておきます。納得はしてないですし、するつもりもありませんがね」
アルゴライムは二杯目の飲み物を用意し、話を聞き流した。恐らく、アルゴライムはアノニムのことを許さないであろう。話は聞くが、聞くだけ。そのことで行動に出るわけでもない、ただ聞いて、考えて、暮らしやすいように暮らすだけ。
「ああ、そうかい。それでな、私たちは大まかに二つに分けられるんだ。私ら管理者とあんたら生命体だ。ここも含め、全ての世界は神にとってのゲームなんだ。それぞれ違う条件下に置かれた生命体たちはどのような行動を起こし、どんな結果に至るのか……。というね」
「神も理不尽なものですね。ゲームだなんて、私たち生命体のとる行動なんて、神にとってはどうでもいいんじゃないですか。だいたいある程度の知能があれば、決まった行動をとると思いますし」
「まあ、ここまで説明不可だからそういうものだと受け取ってくれ」
アルゴライムは黙ってうなずいた。それと同時に、神の理不尽さに怒りも覚えた。目の前に現れたら一発殴りたいほどの怒りだった。
「神はこの全ての世界で、数えきれないほどの生命体と五万の管理者を生み出したんだ。世界の数だって私が知っているだけで七つ……私は最近生み出されたからあんまり知らないが、百くらいはあると思う。まあ、管理しきれるはずがない。だから、生命体数が多く、今後、破滅の道を歩むか、変化がないと神が判断した世界は私達管理者が破壊しているんだ。神の命令によってね。そして、その対象に選ばれたのがこの世界。この世界の単位であと一年以内には破壊しなければならないんだよ。ここまでは理解してくれるかい? 」
「理解はします。理不尽なものを理解したくはありませんが。つまりは、あなた方がこの世界を破壊するから『終わる』ということですよね」
アルゴライムはティーカップを机に置き、腕と足を組んだ姿勢をしていた。無関心ともとれるきつい表情でアノニムを見つめていた。そして、ふと、窓の外を眺めた。パタッというガラスに水が当たる音を聞いたからだ。雨だ。吸血鬼は基本、雨を嫌うらしい。リリスの帰りが遅くなることをアルゴライムは確信した。まだ、もう少し話をしていられる。アノニムは無意識にそう思った。
「まあ、そうだな。で、あんたのことを始めにerrorNo.3と呼んだ理由は、文字のまま、あんたは神が生み出してしまった三番目のエラーだ。そして、私も、e16も同じように神によって生み出されたエラーなんだ。これも説明できない。本当に不意にできてしまうエラーだからだ」
「……それがどうしたのですか? そもそも、私に話していい話なんですか? 」
アルゴライムは再び、飲み物を入れていた。今度は、緑茶のような見た目の飲み物だった。
「話さなければこの先の話を理解してもらえないんだ。そして、あんたの姉、k……麗菜だっけか。あんた……アルゴライムと麗菜はそれぞれerrorNo.3とerrorNo.9と呼ばれるエラーだ。二人は同じタイプのエラーだからな、身体的にも精神的にも近い存在として生まれただろう」
「確かに、姉妹ですしね。さっきからエラーと言いますが、同じタイプってなんですか? 質問ばかりで申し訳ないとは思いますが、時間もありそうなので、いろいろ聞いておこうと思いまして」
「別に構わないさ。逆にアルゴライムが冷静に聞いていることに驚きそうになるくらいだ。まあ、驚くことはないんだけどね」
「……そうですか」
アルゴライムは再び無関心な表情を浮かべ、返事をした。
「エラーのことだったよね、基本的に生命体の魂は脆く、十万年くらい生きると自然消滅するんだ。だが、アルゴライムと麗菜は消滅しないんだ。つまりは私達と同じで永遠に生きる強さの魂を持っているんだ。アルゴライムは少なくとも今まで……五百億年は生きてるよ。こちらで消滅させるわけにもいかないから放置しているがな」
「あなた達はどんなエラーなのでしょうか。あなた達もエラーを持っているのですよね」
机に肘をつき、爪を眺めながら話を聞いていたアルゴライムは、聞いた。ほとんど話を聞いていないようにも見えるような姿勢だったからか、アノニムが珍しく驚きを見せていた。
「私達は管理者には存在しない感情を僅かにだが持っているんだ。喜怒哀楽をきちんと持っているんだ。まあ、e16は笑いに弱く、そこが管理者としては問題なのだけど話していて楽しいよな。それに、感情と言っても、生命体のあんたらほどではない。それでも、エラーなんだ」
窓の外が暗くなってきた。それでもまだ雨は降り続いていた。リリスはもしかしたら今日は帰らないかもしれない。そんなことを思いながらも二人は話を進めた。
アルゴライムは覚えたての魔法で日本でいう紅茶に一番近いものを入れた。
「あんた飲めるのかい? 」
「元人間なので、味覚は正常です」
「吸血鬼の味覚が正常じゃないとでも言いたいのか……? 」
「いいえ、知りませんから」
アルゴライムとアノニムはティーカップの中身を飲みながら、世間話のように話していた。
「e16はサボり癖がありそうだな。吸血鬼の体質は人間と全く違うからこういうのを口にすると一週間くらい寝たきりになるんだよ。死にはしないが。あれに言っておこう」
「そうなんですね。どうりで私がこれを飲んでいるのを見て驚いていたわけです。ところで、あれってなんなんですかね、説明願います」
「そんなこともあったのか。あんたはかなり自由なんだな。まあ、それも話すよ」
アルゴライムに吸血鬼の知識が一つ増えたところで、アノニムが話し始めた。
「私たちは神に作られた存在だ。それは説明しろって言われても無理だから理解してくれ」
「ええ、わかりました。そういうことにしておきます。納得はしてないですし、するつもりもありませんがね」
アルゴライムは二杯目の飲み物を用意し、話を聞き流した。恐らく、アルゴライムはアノニムのことを許さないであろう。話は聞くが、聞くだけ。そのことで行動に出るわけでもない、ただ聞いて、考えて、暮らしやすいように暮らすだけ。
「ああ、そうかい。それでな、私たちは大まかに二つに分けられるんだ。私ら管理者とあんたら生命体だ。ここも含め、全ての世界は神にとってのゲームなんだ。それぞれ違う条件下に置かれた生命体たちはどのような行動を起こし、どんな結果に至るのか……。というね」
「神も理不尽なものですね。ゲームだなんて、私たち生命体のとる行動なんて、神にとってはどうでもいいんじゃないですか。だいたいある程度の知能があれば、決まった行動をとると思いますし」
「まあ、ここまで説明不可だからそういうものだと受け取ってくれ」
アルゴライムは黙ってうなずいた。それと同時に、神の理不尽さに怒りも覚えた。目の前に現れたら一発殴りたいほどの怒りだった。
「神はこの全ての世界で、数えきれないほどの生命体と五万の管理者を生み出したんだ。世界の数だって私が知っているだけで七つ……私は最近生み出されたからあんまり知らないが、百くらいはあると思う。まあ、管理しきれるはずがない。だから、生命体数が多く、今後、破滅の道を歩むか、変化がないと神が判断した世界は私達管理者が破壊しているんだ。神の命令によってね。そして、その対象に選ばれたのがこの世界。この世界の単位であと一年以内には破壊しなければならないんだよ。ここまでは理解してくれるかい? 」
「理解はします。理不尽なものを理解したくはありませんが。つまりは、あなた方がこの世界を破壊するから『終わる』ということですよね」
アルゴライムはティーカップを机に置き、腕と足を組んだ姿勢をしていた。無関心ともとれるきつい表情でアノニムを見つめていた。そして、ふと、窓の外を眺めた。パタッというガラスに水が当たる音を聞いたからだ。雨だ。吸血鬼は基本、雨を嫌うらしい。リリスの帰りが遅くなることをアルゴライムは確信した。まだ、もう少し話をしていられる。アノニムは無意識にそう思った。
「まあ、そうだな。で、あんたのことを始めにerrorNo.3と呼んだ理由は、文字のまま、あんたは神が生み出してしまった三番目のエラーだ。そして、私も、e16も同じように神によって生み出されたエラーなんだ。これも説明できない。本当に不意にできてしまうエラーだからだ」
「……それがどうしたのですか? そもそも、私に話していい話なんですか? 」
アルゴライムは再び、飲み物を入れていた。今度は、緑茶のような見た目の飲み物だった。
「話さなければこの先の話を理解してもらえないんだ。そして、あんたの姉、k……麗菜だっけか。あんた……アルゴライムと麗菜はそれぞれerrorNo.3とerrorNo.9と呼ばれるエラーだ。二人は同じタイプのエラーだからな、身体的にも精神的にも近い存在として生まれただろう」
「確かに、姉妹ですしね。さっきからエラーと言いますが、同じタイプってなんですか? 質問ばかりで申し訳ないとは思いますが、時間もありそうなので、いろいろ聞いておこうと思いまして」
「別に構わないさ。逆にアルゴライムが冷静に聞いていることに驚きそうになるくらいだ。まあ、驚くことはないんだけどね」
「……そうですか」
アルゴライムは再び無関心な表情を浮かべ、返事をした。
「エラーのことだったよね、基本的に生命体の魂は脆く、十万年くらい生きると自然消滅するんだ。だが、アルゴライムと麗菜は消滅しないんだ。つまりは私達と同じで永遠に生きる強さの魂を持っているんだ。アルゴライムは少なくとも今まで……五百億年は生きてるよ。こちらで消滅させるわけにもいかないから放置しているがな」
「あなた達はどんなエラーなのでしょうか。あなた達もエラーを持っているのですよね」
机に肘をつき、爪を眺めながら話を聞いていたアルゴライムは、聞いた。ほとんど話を聞いていないようにも見えるような姿勢だったからか、アノニムが珍しく驚きを見せていた。
「私達は管理者には存在しない感情を僅かにだが持っているんだ。喜怒哀楽をきちんと持っているんだ。まあ、e16は笑いに弱く、そこが管理者としては問題なのだけど話していて楽しいよな。それに、感情と言っても、生命体のあんたらほどではない。それでも、エラーなんだ」
窓の外が暗くなってきた。それでもまだ雨は降り続いていた。リリスはもしかしたら今日は帰らないかもしれない。そんなことを思いながらも二人は話を進めた。
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