炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
3節 クローバーの鬼(1)
「あー、もう何よ! この字難しいわね」
リリスはアルゴライムに文句を言いながら三時間、ひたすら゙麗奈゙の字を練習していた。それほど嬉しかったのだ。家柄だけにリリスの事を妹達はお姉ちゃんともお姉さんとも呼ばず、本当にそう思われているかも不安だった。
「リース……私は確かに前の世界とほとんど変わらない姿でこの世界に来ました」
アルゴライムはリリスに日本語で話しかけた。この三時間、アルゴライムはずっとリリスに日本語で話しかけ続けていた。もちろんリリスは文句を言ったり、聞き取れないと言っていたが、発音できたことに喜び、無視して話続けていた。もしかしたら今から話す内容は意味がわかるかもしれないとアルゴライムはそう思っていた。
「私の目は紅くなかったんです。黒髪、黒目の者だったんです」
途中からアルゴライムは俯いて下を向いていた。その事に気づいたリリスはペンを置いてアルゴライムの方を見た。
「この世界に来たとき、目が紅くなってたんです。これは……種族の問題なのでしょうか……」
「それはわからないわ」
リリスはアルゴライムが話終わると少し間を置いて言った。アルゴライムは顔をはね上げたら。リリスが聞き取れていて、リリスが話したその言葉も日本語だったのだ。
「え、聞いていたのですか? 」
「まあ、話を戻すわよ。べつに良いんじゃないの? 目の色が違っても私の知ってるライムは今、目の前にいるアルゴライムなんだもの。それにアルゴライムとして生きるんだったら前の世界と少しは違った方が区別がついていいと思うわよ……。私は……ね。貴女がどう思うから知らないわ」
さっきまで文句を言って泣きそうになっていたリリスとは違い、少し厳しい目をアルゴライムに向けていた。まさに、姉。そんな印象を持てた。
「リース。貴女の目は碧いですよね。綺麗です。私は貴女のような目が大好きです」
「あら、そう? 私はライムの目が羨ましいわ。私が元居たトキューバ家はみんな紅い目をしていたのに私だけ碧なんだもの……。まあ今は関係ないけどね」
リリスの目は碧く、穏やかな印象を纏っていて、吸血鬼になんて見れない。それは狼としても言えることだ。リリスはトキューバ家に居たとき、鬼狼としての威厳が見えないこと目がコンプレックスだった。それはアルゴライムに会ったときにも同じだった。
「リースはよく妹のようにうるさいですけどたまにはお姉さんですね。甘えたいときがあったら麗奈お姉さまとでもお呼びしましょうかね」
アルゴライムの目は紅く、厳しい目付きだった。そしてその目をきちんと開いていないから見られている人は睨まれていると思ってしまうほどだ。
「私も吸血鬼らしい紅い目が良かったわ……」
「まあ、目に嫌な思いをしているもの同士、何かの運命で会うことになったのでしょうかね? 」
「……もう、この話はやめましょうか…。なんか、悲しくなるわ」
「そうですね」
この世界の夜は短い。吸血鬼の暮らしにくい世の中、夜行性ではない二人の鬼達は、アルゴライムの種族がばれることなく、三ヶ月間平和に暮らせていた。
この世界の春秋は長い。少しの冬と少しの夏を乗り越えれば他は過ごしやすい陽気になる。たくさんの小動物が歩き回る時期になる。
ある冬の足音が聞こえて来はじめた日、リリスは疑問に思った。
「ねえライム。私はそろそろお肉をたくさん買い込んでくるけれど貴女は小動物でも狩ってくるの? そろそろ冬になるわよ」
アルゴライムは小動物を食べていた。詳しくは捕まえた小動物の血を吸っていた。リリスはその血を吸っているところしか見たことがなかった。
「あ、私は飲まず食わずでも生きられるので平気ですよ。それに普通の吸血鬼なら生き血でないと生きていけないはずなので気づいてると思いました」
「へぇ、貴女ってイレギュラーなのね……。で、貴女は来る? 」
この三ヶ月、リリスの身にはイレギュラーな事がおき続け、少しのことでは驚かなくなっていた。
この節は長くなるんで二回(三回)にわけます。更新が遅れてごめんなさい
リリスはアルゴライムに文句を言いながら三時間、ひたすら゙麗奈゙の字を練習していた。それほど嬉しかったのだ。家柄だけにリリスの事を妹達はお姉ちゃんともお姉さんとも呼ばず、本当にそう思われているかも不安だった。
「リース……私は確かに前の世界とほとんど変わらない姿でこの世界に来ました」
アルゴライムはリリスに日本語で話しかけた。この三時間、アルゴライムはずっとリリスに日本語で話しかけ続けていた。もちろんリリスは文句を言ったり、聞き取れないと言っていたが、発音できたことに喜び、無視して話続けていた。もしかしたら今から話す内容は意味がわかるかもしれないとアルゴライムはそう思っていた。
「私の目は紅くなかったんです。黒髪、黒目の者だったんです」
途中からアルゴライムは俯いて下を向いていた。その事に気づいたリリスはペンを置いてアルゴライムの方を見た。
「この世界に来たとき、目が紅くなってたんです。これは……種族の問題なのでしょうか……」
「それはわからないわ」
リリスはアルゴライムが話終わると少し間を置いて言った。アルゴライムは顔をはね上げたら。リリスが聞き取れていて、リリスが話したその言葉も日本語だったのだ。
「え、聞いていたのですか? 」
「まあ、話を戻すわよ。べつに良いんじゃないの? 目の色が違っても私の知ってるライムは今、目の前にいるアルゴライムなんだもの。それにアルゴライムとして生きるんだったら前の世界と少しは違った方が区別がついていいと思うわよ……。私は……ね。貴女がどう思うから知らないわ」
さっきまで文句を言って泣きそうになっていたリリスとは違い、少し厳しい目をアルゴライムに向けていた。まさに、姉。そんな印象を持てた。
「リース。貴女の目は碧いですよね。綺麗です。私は貴女のような目が大好きです」
「あら、そう? 私はライムの目が羨ましいわ。私が元居たトキューバ家はみんな紅い目をしていたのに私だけ碧なんだもの……。まあ今は関係ないけどね」
リリスの目は碧く、穏やかな印象を纏っていて、吸血鬼になんて見れない。それは狼としても言えることだ。リリスはトキューバ家に居たとき、鬼狼としての威厳が見えないこと目がコンプレックスだった。それはアルゴライムに会ったときにも同じだった。
「リースはよく妹のようにうるさいですけどたまにはお姉さんですね。甘えたいときがあったら麗奈お姉さまとでもお呼びしましょうかね」
アルゴライムの目は紅く、厳しい目付きだった。そしてその目をきちんと開いていないから見られている人は睨まれていると思ってしまうほどだ。
「私も吸血鬼らしい紅い目が良かったわ……」
「まあ、目に嫌な思いをしているもの同士、何かの運命で会うことになったのでしょうかね? 」
「……もう、この話はやめましょうか…。なんか、悲しくなるわ」
「そうですね」
この世界の夜は短い。吸血鬼の暮らしにくい世の中、夜行性ではない二人の鬼達は、アルゴライムの種族がばれることなく、三ヶ月間平和に暮らせていた。
この世界の春秋は長い。少しの冬と少しの夏を乗り越えれば他は過ごしやすい陽気になる。たくさんの小動物が歩き回る時期になる。
ある冬の足音が聞こえて来はじめた日、リリスは疑問に思った。
「ねえライム。私はそろそろお肉をたくさん買い込んでくるけれど貴女は小動物でも狩ってくるの? そろそろ冬になるわよ」
アルゴライムは小動物を食べていた。詳しくは捕まえた小動物の血を吸っていた。リリスはその血を吸っているところしか見たことがなかった。
「あ、私は飲まず食わずでも生きられるので平気ですよ。それに普通の吸血鬼なら生き血でないと生きていけないはずなので気づいてると思いました」
「へぇ、貴女ってイレギュラーなのね……。で、貴女は来る? 」
この三ヶ月、リリスの身にはイレギュラーな事がおき続け、少しのことでは驚かなくなっていた。
この節は長くなるんで二回(三回)にわけます。更新が遅れてごめんなさい
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