炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~

黄崎うい

5節 昼間のこの世界

「全く……勝手なんですから。リース! 今は昼間なんですから外には出られませんよ」

 アルゴライムの敬語は直りそうになかった。現在時刻は午前十一時、言わずとしても真昼間だ。

「大丈夫よ! ほらっ」

 メアリーは扉を開けて陽の下に立った。アルゴライムは思わず目を閉じてしまったが、恐る恐る目を開くと、メアリーの無事な姿が目に入った。

「……何故?」

「やだなぁライムは忘れたの? 私のスキル」

「あ、ヴァンパイアnight darkか……。しかし、リースが良くても私はダメです。わずか半年の生涯に幕を下ろしますよ」

 アルゴライムは、外に出ることを拒否した。まだに死にたくない。ただそれだけの事だったが、今外に出る訳にはいかなかった。

「平気よ! 私の半径五メートル以内は効果があるわ」

 メアリーは得意気に言った。そしてアルゴライムの左腕を引っ張ろうとした。

! ……」

 アルゴライムはメアリーの手が左腕に触れるとすぐに引いた。

「大丈夫? どうしたのよ」

 傷口に服の繊維が触れて傷んだのだった。メアリーの傷は浅くもう治ったが、アルゴライムの傷は深く、傷口に薄皮が張った程度だった。

「平気ですよ。じゃあお買い物に行きましょうか」

 アルゴライムは蹲りそうになりながらもメアリーに笑顔を見せた。傷が開いていないようだったし、メアリーに弱い所を見せたくなかったからだ。

「もしかして……」

 メアリーは思い出した。もう治っていたと思ったが、アルゴライムの回復能力は四。メアリーより少し高い程度であれだけの深い傷が三日で治るわけがなかった。

「日を変える? 」

 アルゴライムのわざとらしい笑みにメアリーが提案した。アルゴライムは痛みが引いて普通に返事ができた。

「もう平気です。左手に触らなくでくれればそれでいいです」

 メアリーのスキルで二人は街に出た。アルゴライムは初めての街に少し興奮していた。






 姉上のせいでアイディア飛んだからここまで!

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