炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
2節 謎めいた世界
図書室は本の重みからか、地下室にあった。そして、特徴をあげるとすれば、ただただ広い。地下二階の大図書室。地下一階の小図書室+空の本棚付の読書部屋。
(書斎なら、上にもあったのに何故ここにも…)
アルゴライムはあの声に文句もありつつ、大図書室に本を取りに行って空の本棚に並べた。人間の世界では見たことのない字だったけれど、何故か読みことができた。アルゴライムは前世から好きだった謎解き系の本を多く読んだ。特殊能力があるせいか、より複雑で解きがいがあった。
「この本棚はすべて読んだはずなんですけど…」
何故かアルゴライムの読み終わった本棚には見たことのない新しい本が並んでいた。
(これじゃあきりがありませんね)
アルゴライムはその本棚から離れて少し学ぶことにした。彼女は小図書室にある一冊の本を手にとって読書部屋に持っていった。
『ヴァンパイア』
直訳で吸血鬼。吸血鬼についての本なのか、物語なのか、歴史なのかはわからなかったけれど、何かの参考になることはわかった。
一息ついて、アルゴライムは本の頁をめくった。
「あっ…」
そこにかかれていたのは前世で使われていた人間の言葉だった。
(こんなことするのはあれしかいないですね)
謎の声だ。謎の声がこっそりと一冊忍ばせておいたらしい。
懐かしかった。図書室に籠りきって約三ヶ月がたっていたことにアルゴライムは気づいた。そして、それは生まれ変わって前世の言葉を絶ってから三ヶ月がたっていたことと等しかった。こちらの世界でも読める。自分の中にはあの記憶が残っていると思えた。
「さてと、じめじめしたこの地下室からはそろそろ出ますか」
その本には吸血鬼の性質、苦手なもの、生き方が書いてあった。アルゴライムは食事をとらずとも生きているが、他の吸血鬼は違うらしい。一ヶ月に一回は血液を飲まなければ消滅してしまうと書いてあった。アルゴライムはその本を大切にもって地上階に上がった。
アルゴライムは倉庫らしき部屋へ向かった。そこは中庭にあるので夜しかいけなかった。幸い、そのときは夜の一時半。真夜中だった。
(鉄の塊、磨ぎ石でナイフを作り、護身用で持つ。吸血鬼の威厳を保つため、小動物の血でも吸うために、罠を作る)
とりあえず、外に出ない今できることはこのくらいだった。
「血ですか…気が進まないですね。まあ人間捕まえるよりはましですか」
アルゴライムにはどうしても隠しきれない不満があった。服は最初戸惑ったものの、今では気に入っているし、図書室に地図があってこの屋敷のことはわかったし、街のこともわかった。しかし、オリジナルスキル『ヴァンパイアkissfollow』はどうしても納得できなかった。人間の血を吸うだけならまだしも、下僕は彼女の性に合わなかった。
必要な道具を見つけると、すぐに寝室に戻った。三ヶ月振りの生まれた部屋ってことになる。吸血鬼の特性で鏡には写らないため、アルゴライムは自分の姿を確認できないが、なんとなく死んだときのまま変わってない気がした。 
「鉄の塊を磨ぎ石で磨ぐ…三ヶ月くらいで完成する…」
(長くないですか?罠は…)
「三時間くらい…こっちからにしますか」
アルゴライムは急いで罠を作るのにかかった。本当にすぐ完成して、裏庭に置いた。すぐに朝日が昇り始めたので、屋敷に逃げ込んだ。
(ナイフを作りますか)
その日は夕日が沈むまで鉄を磨ぎ続けた。少しでも磨ぐことができてアルゴライムは満足だった。
(あっ)
裏庭に向かった。小動物の一匹でもかかっていればいい。ただそう思っていた。
「はぁ…」
何もかかって居なかった。アルゴライムは簡単にはいかないものだと落ち込んだ。それに、本で読んだが、血以外のものを食しても、腹は満たされないと書いていたからなおさらだった。 
再び寝室に戻ったアルゴライムは鉄を磨ぎ続けた。
(それならば、このナイフを完成させて狩りに行けばいいんですよね)
アルゴライムは小動物を殺すこと、血を吸うことは望ましくなかったけれど、この世界で生きていく以上、するしかないと心に決めた。
獲物がかからない。ナイフを磨ぎ続ける生活が三ヶ月。予定通りならナイフの完成に近づいていた。アルゴライムは一人寝室でほとんど形状がナイフの鉄を磨いでいた。 
「…後は柄でも作ればいいんですかね」
半年、アルゴライムは半年間ずっとこの屋敷にこもっていた。
アルゴライムは中庭に落ちていた木を拾って形を作り、ナイフにつけた。時間を確認した。深夜二時半を示していて、今出掛けたらいつ日が昇り始めるかわからない。そう判断してアルゴライムは図書室に向かった。
『狩の基本』
『初級者の狩ミス』
『狩りやすい生命体』
『ナイフの使い方』
この四冊を引っ張って読書部屋に入った。半日かけてその四冊を読み終えると、準備をして居間で夜を待った。
「もうこの際、人間でもいいわ」
夕日が沈み、月が出た。狩の時間だ。アルゴライムはぼそりと独り言をいうと、念のためと傘をもって狩に出た。
ザッザッ
静かに歩いても草を踏む音は隠しきれなかった。
「誰?」
十分くらい歩いた頃、後ろから声をかけられた。
「っ!」 
アルゴライムはナイフを構えて振り向いた。そこには見た目は人間の十四才くらいの女の子が立っていた。 背は高い。
(種族は…鬼狼!)
「あ、警戒するわよね。私は鬼狼のメアリー・トキューバ。メアリーでいいわ。人間がこんな時間にこんな森にいるのは危ないわ」
アルゴライムは驚いた。鬼狼を名乗るとは思わなかったからだ。
「私はアルゴライム・クローバーです。長いのでアルゴや、ライムとお呼びください」
アルゴライムはそういうとすぐにメアリーの頬をナイフで引っ掻いた。Bloodreadingを使うためだった。 
「私は鬼狼の貴女には用がないです」
アルゴライムはナイフについた血を舐めた。頭の中にメアリーの情報が流れ込んできた。
種族:鬼狼(吸血鬼と人狼のハーフ)
ステータス(上限十)
光耐性:五
闇耐性:十
回復:三
吸血能力:二
呪式魔法:二
呪縛解錠:五
日照耐性:四
生命力:六
オリジナルスキル: 
ヴァンパイアnightdark
(夜の闇を纏って歩くことができる。その事で昼に出歩くことができる)
種族特別スキル:
Bloodreading
(血を飲むことでその血の持ち主のステータスを把握することができる)
Wolfabsolutemonarch
(闘い、自分より強かった者には逆らえないが、弱かったものは絶対服従させることができる)
(吸血鬼のハーフ、 Bloodreadingがあるなら血を飲まれたらまずいってことですね。はじめからこれですか)
アルゴライムは考察をした。しかし、手遅れだった。気づいたときには左腕に深々と傷をつけられていた。
「貴女、速いのね。本当に人間かしら」
メアリーの顔が一瞬で怒りに染まった。アルゴライムはすぐに退こうとしたが、すぐに鋭い爪がとんできた。
「お前、この森から出ていきなさい。これは警告よ」 
メアリーの目は、暗く冷たく、鋭かった。それを見たアルゴライムは怯みそうになったが、ナイフを構えて警告に答えた。
「貴女はこの森にずっとすんでいそうですね。ならば知っているはずですよ、私がこの場でなにもしていないことを。何故出ていかなければいけないのですか?」
「貴女が吸血鬼だからよ」
メアリーはアルゴライムが思ったよりも早く答えた。
「貴女も吸血鬼じゃないですか」
「そんな低俗なものと一緒にしないで!」
メアリーのその声は森に響いて暗闇にとけて消えた。
(書斎なら、上にもあったのに何故ここにも…)
アルゴライムはあの声に文句もありつつ、大図書室に本を取りに行って空の本棚に並べた。人間の世界では見たことのない字だったけれど、何故か読みことができた。アルゴライムは前世から好きだった謎解き系の本を多く読んだ。特殊能力があるせいか、より複雑で解きがいがあった。
「この本棚はすべて読んだはずなんですけど…」
何故かアルゴライムの読み終わった本棚には見たことのない新しい本が並んでいた。
(これじゃあきりがありませんね)
アルゴライムはその本棚から離れて少し学ぶことにした。彼女は小図書室にある一冊の本を手にとって読書部屋に持っていった。
『ヴァンパイア』
直訳で吸血鬼。吸血鬼についての本なのか、物語なのか、歴史なのかはわからなかったけれど、何かの参考になることはわかった。
一息ついて、アルゴライムは本の頁をめくった。
「あっ…」
そこにかかれていたのは前世で使われていた人間の言葉だった。
(こんなことするのはあれしかいないですね)
謎の声だ。謎の声がこっそりと一冊忍ばせておいたらしい。
懐かしかった。図書室に籠りきって約三ヶ月がたっていたことにアルゴライムは気づいた。そして、それは生まれ変わって前世の言葉を絶ってから三ヶ月がたっていたことと等しかった。こちらの世界でも読める。自分の中にはあの記憶が残っていると思えた。
「さてと、じめじめしたこの地下室からはそろそろ出ますか」
その本には吸血鬼の性質、苦手なもの、生き方が書いてあった。アルゴライムは食事をとらずとも生きているが、他の吸血鬼は違うらしい。一ヶ月に一回は血液を飲まなければ消滅してしまうと書いてあった。アルゴライムはその本を大切にもって地上階に上がった。
アルゴライムは倉庫らしき部屋へ向かった。そこは中庭にあるので夜しかいけなかった。幸い、そのときは夜の一時半。真夜中だった。
(鉄の塊、磨ぎ石でナイフを作り、護身用で持つ。吸血鬼の威厳を保つため、小動物の血でも吸うために、罠を作る)
とりあえず、外に出ない今できることはこのくらいだった。
「血ですか…気が進まないですね。まあ人間捕まえるよりはましですか」
アルゴライムにはどうしても隠しきれない不満があった。服は最初戸惑ったものの、今では気に入っているし、図書室に地図があってこの屋敷のことはわかったし、街のこともわかった。しかし、オリジナルスキル『ヴァンパイアkissfollow』はどうしても納得できなかった。人間の血を吸うだけならまだしも、下僕は彼女の性に合わなかった。
必要な道具を見つけると、すぐに寝室に戻った。三ヶ月振りの生まれた部屋ってことになる。吸血鬼の特性で鏡には写らないため、アルゴライムは自分の姿を確認できないが、なんとなく死んだときのまま変わってない気がした。 
「鉄の塊を磨ぎ石で磨ぐ…三ヶ月くらいで完成する…」
(長くないですか?罠は…)
「三時間くらい…こっちからにしますか」
アルゴライムは急いで罠を作るのにかかった。本当にすぐ完成して、裏庭に置いた。すぐに朝日が昇り始めたので、屋敷に逃げ込んだ。
(ナイフを作りますか)
その日は夕日が沈むまで鉄を磨ぎ続けた。少しでも磨ぐことができてアルゴライムは満足だった。
(あっ)
裏庭に向かった。小動物の一匹でもかかっていればいい。ただそう思っていた。
「はぁ…」
何もかかって居なかった。アルゴライムは簡単にはいかないものだと落ち込んだ。それに、本で読んだが、血以外のものを食しても、腹は満たされないと書いていたからなおさらだった。 
再び寝室に戻ったアルゴライムは鉄を磨ぎ続けた。
(それならば、このナイフを完成させて狩りに行けばいいんですよね)
アルゴライムは小動物を殺すこと、血を吸うことは望ましくなかったけれど、この世界で生きていく以上、するしかないと心に決めた。
獲物がかからない。ナイフを磨ぎ続ける生活が三ヶ月。予定通りならナイフの完成に近づいていた。アルゴライムは一人寝室でほとんど形状がナイフの鉄を磨いでいた。 
「…後は柄でも作ればいいんですかね」
半年、アルゴライムは半年間ずっとこの屋敷にこもっていた。
アルゴライムは中庭に落ちていた木を拾って形を作り、ナイフにつけた。時間を確認した。深夜二時半を示していて、今出掛けたらいつ日が昇り始めるかわからない。そう判断してアルゴライムは図書室に向かった。
『狩の基本』
『初級者の狩ミス』
『狩りやすい生命体』
『ナイフの使い方』
この四冊を引っ張って読書部屋に入った。半日かけてその四冊を読み終えると、準備をして居間で夜を待った。
「もうこの際、人間でもいいわ」
夕日が沈み、月が出た。狩の時間だ。アルゴライムはぼそりと独り言をいうと、念のためと傘をもって狩に出た。
ザッザッ
静かに歩いても草を踏む音は隠しきれなかった。
「誰?」
十分くらい歩いた頃、後ろから声をかけられた。
「っ!」 
アルゴライムはナイフを構えて振り向いた。そこには見た目は人間の十四才くらいの女の子が立っていた。 背は高い。
(種族は…鬼狼!)
「あ、警戒するわよね。私は鬼狼のメアリー・トキューバ。メアリーでいいわ。人間がこんな時間にこんな森にいるのは危ないわ」
アルゴライムは驚いた。鬼狼を名乗るとは思わなかったからだ。
「私はアルゴライム・クローバーです。長いのでアルゴや、ライムとお呼びください」
アルゴライムはそういうとすぐにメアリーの頬をナイフで引っ掻いた。Bloodreadingを使うためだった。 
「私は鬼狼の貴女には用がないです」
アルゴライムはナイフについた血を舐めた。頭の中にメアリーの情報が流れ込んできた。
種族:鬼狼(吸血鬼と人狼のハーフ)
ステータス(上限十)
光耐性:五
闇耐性:十
回復:三
吸血能力:二
呪式魔法:二
呪縛解錠:五
日照耐性:四
生命力:六
オリジナルスキル: 
ヴァンパイアnightdark
(夜の闇を纏って歩くことができる。その事で昼に出歩くことができる)
種族特別スキル:
Bloodreading
(血を飲むことでその血の持ち主のステータスを把握することができる)
Wolfabsolutemonarch
(闘い、自分より強かった者には逆らえないが、弱かったものは絶対服従させることができる)
(吸血鬼のハーフ、 Bloodreadingがあるなら血を飲まれたらまずいってことですね。はじめからこれですか)
アルゴライムは考察をした。しかし、手遅れだった。気づいたときには左腕に深々と傷をつけられていた。
「貴女、速いのね。本当に人間かしら」
メアリーの顔が一瞬で怒りに染まった。アルゴライムはすぐに退こうとしたが、すぐに鋭い爪がとんできた。
「お前、この森から出ていきなさい。これは警告よ」 
メアリーの目は、暗く冷たく、鋭かった。それを見たアルゴライムは怯みそうになったが、ナイフを構えて警告に答えた。
「貴女はこの森にずっとすんでいそうですね。ならば知っているはずですよ、私がこの場でなにもしていないことを。何故出ていかなければいけないのですか?」
「貴女が吸血鬼だからよ」
メアリーはアルゴライムが思ったよりも早く答えた。
「貴女も吸血鬼じゃないですか」
「そんな低俗なものと一緒にしないで!」
メアリーのその声は森に響いて暗闇にとけて消えた。
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