「神に選ばれ、神になる」そんな俺のものがたり

竹華 彗美

第五話 信頼できる相棒


 俺と永本は今後について二人で話し合う。時々サポタに聞いたりしてな。

「これからどうするんだ?たかし。」
「今は先生に任せるしかないかなー。」
「でもお前はもうここがどんな地形かとか外に出る方法とかわかってんだろ?」
「まぁな。出口もわかってるし、ここがどんな構造になってるかも分かってる。それにどんな魔物がいるかも大体わかってるし、外の様子がどうなってるのかも分かってるよ。」
「じゃあそれ、公表しちまえばいいんじゃねーか?」
「バーカ!そんなこと言っても信じるか?確かにこのステータス見せればいいのかもしれないけど。でもそんなことしたら俺が持たねーよ。人のために自分を殺すなんて俺にはできねー。」
「でも、今、俺はたかしにステータス見せてもらったぜ?」
「それは、お前は俺にとっては特別なんだよ!俺が困ってる時もずっとそばにいてくれたし、幼稚園から一二年間家族よりも誰よりも一緒にいたのはお前だった。信頼してるんだよ!お前に嫌われるぐらいだったら正直に話して裏切られる方がいいことってのもあんだろ?」
「なんだ?そんなことだったのか〜ん。じゃあ〜裏切っちゃおっかな〜ん?」
「は?はあ!?……まあ別にそれがお前の決めたことなら俺は許すけどな!」
「ははは!ちょっとからかってみただけ!そんなに信頼してくれてると照れちゃうな〜てへへ!ーまあ俺はたかしを裏切ったりはしないよ。俺から見てもたかしは一番の親友で家族みてーなもんだ。それにお前といると自然と元気が出るんだよ!」
「ああ、俺もだよ!!これからもよろしくな!相棒!」
「おうよ!相棒!!」

 そう二人は言い合うと笑顔で手を握る。

「とは言え、この状況じゃ持って三日ってとこだな。コウモリ四十匹の肉じゃおやつ程度にしかならねぇ。」
「俺たちは大丈夫だけどなぁ。」
「たしかにな。まだ三十匹ぐらい残ってるんだろ?」
「ああ、もしもの時用だ。俺のアイテムボックスに入ってる。焼き鳥状態になってな。」

 サポタから聞いた話によると、アイテムボックスの中に入れとけば保温効果があるので、入れた時と同じ状態で保存される。
 なので熱々の焼き鳥状態でまたとりだせるということだ。
 それに腐りもしないので保存もできる。とても便利なのだ。

「だけどもう、みんなの我慢も限界じゃない?」
「まぁそうだな。サポタ!俺たちがこの世界に来て何時間経った?」
『はい。九時間が経過しています。あとたかし様、私あと十分ほどで休養に入らせてもらいます。休養が終わりましたらまた連絡致します。』
「はい、ありがとう!おやすみ〜。」
『おやすみなさい。』
「俺たちがここに来てから九時間だったらしい。あと今は夜十一時ごろだ。そして今魔力感知で今まで動きがなかった魔物が動き出した。」
「夜行性の動物が起きたってことか?」
「おそらくな。ここから二キロ離れたところに八体。あと三キロ離れたところに十二体だ。」
「こっちに来たりとかは?」
「三キロの地点の奴らは道が違うから問題ない。でも、二キロの奴らは左手の道の(コウモリ討伐した反対の道の)一本道だ。こっちに向かってきてる。」
「まじかよ!?どうするんだ?」
「ここまでくれば殺すしかないな。一キロの範囲に来たら"物質透過"と"視力向上"でどんな魔物かはわかるんだけど。」
「あ、そうか。そういうこともできるのか。……あ!そういえば先生達って周辺調査してるんじゃなかったっけ?」
「それは大丈夫。今のところ俺たちがコウモリ討伐した方の道しか行ってないから。常時先生達の行動は"魔力感知"でわかってる。」
「あらそう。それならいいけどな。」
「それじゃあさ、永本?」
「なんだよ?」
「魔物が来たらお前も一緒に戦ってみる?」
「ハァ!?」
「レベル上げになるかもしれないしさ!それに俺にいつまでも守ってもらうなんて〜子供じゃねーんだから〜!自分で自分を守れるぐらいはしないとでちゅね〜!!」
「は!?お前は!元からチート能力手に入れてるからいいけど、俺はノーマルなんだよ!!!」
「まーあーたしかにそうでちゅけど〜、サポートはしてあげるから〜、一匹だけでも倒してみれば?」
「うーん……。じゃあ一体は戦ってみる。」
「そうこなくっちゃな!!……とは言え俺も使える魔法は限られているからな。みんなが見ている中で、そんなバコンバコンやれば、ステータス隠してる意味なくなるし。……あ!そういえばまだ隠蔽スキルで作ったステータス見せてなかったよな?見る?」
「ああ。平民の俺が査定してやるよ!」


[名前] 清水 隆志 しみずたかし
[性別] 男
[年齢] 十六歳
[種族] 人間族
[職業]
[称号] 転生者 異世界の学生 
    見事な体術
[レベル] 1
[体力] 250/250
[魔力] 280/280

[魔法]
火 lv1
地 lv1
空間 lv1
精神 lv1

[体術] lv3


[特性・耐性]
ステータス覗き見不可

[スキル]
アイテムボックス


[名前] 永本 惇 ながもとあつし
[性別] 男
[年齢] 十六歳
[種族] 人間族
[職業]
[称号] 転生者 異世界の学生

[レベル] 1
[体力] 192/200
[魔力] 340/340

[体術] lv1

[魔法]
火 lv2
雷 lv1

[特性・耐性]
火耐性
痺れ耐性



「……うーん。やっぱり魔法多いだろ?四つって……。サポタさんだって魔法最高三種類って言ってただろ?」
「まぁ確かにそうだけど……もう割れちゃってるんだもん!」
「そんな、ニコッと言われても。……まぁいっか。」
「でも俺、このステータスで戦えないかも。」
「なんで?」
「コウモリの時もそうだったんだけどさ。あの魔法ってさ。火属性の一番弱い魔法なんだわ。で、魔法辞典によると本来なら野営時とかに火をつける時ぐらいにしか使わず、戦闘向きじゃない。……でもさ。永本も見てた通り、サポタにも注意されたからめっちゃ抑えたつもりだったのにあの威力て。」
「じゃあ魔法は使うな!」
「えーー。じゃあ俺に体術だけで戦えっていうのか?お前のサポートしながら?……えーー。めんどくさ。」

『たかし様。ではこれより一時間休憩に入ります。どうぞご無事で。』
「はいよー!しっかり休んでね!」

「サポタが休憩に入った。」
「えっ?何それ。サポタさんって休憩タイムあるんだ……。」
「夜の11時から午前0時までな。この間はサポタに頼ることができねぇから、俺が気をつけなきゃいけない時間帯だ。」
「でもよ、あと一時間って。八体の魔物の方は?」
「ああ。今一キロ圏内に入った。"調査"で解析中だ。」
「へぇーそうなんだー。」
「ー解析完了だ。……魔物の正体はウルフ。鋭い牙と爪が特徴。棟梁には強さの証である一本角がある。肉食だそうだ。そして食用である。」
「へぇー。マジですごいなぁ。俺も一つぐらい欲しいぜ。」
「レベル上げればこういうの増えてくらしいぞ?」
「マジか!!!」
「サポタに聞いたー。」
「じゃあがんばろ!」
「その意気、その意気!!じゃあ行こか。」
「はぁ?どこに?」
「きまってるだろ?ウルフの元にだよ。」
「もう行くのかよ。」
「ああ、やつら大人数の肉の匂いにつられてかなりやる気みたいだ。徐々に歩くのが早くなってる。もう六百メートルしか違わない。ここで戦ったら迷惑だ。だから行くぞ!?ほら、立て!」
「ああ。」

 二人は立ち上がりウルフ達が向かってくる道へと歩き出した。

 


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