夜と朝のあいだに。

自他

1-① 裕太

 、、、、、
 そんな状態に初めてなったときの感想

 なんだこれ、。

 僕が"夜と朝のあいだ"に来るようになったのは9月頃からだった。
 僕は入部したバスケ部でいじめを受けている。始まったのは6月頃。僕はバスケの経験なんてないし、チビで弱いから足を引っ張ってしまいこんなことになった。僕のせいだ。

 でも、つらい。
 どうしていいかわからない。 

 親には楽しく続けてると言っているし、ここで部活をやめたら「逃げた」と言われて笑われて、卒業まで嘲笑の的になってしまう。そんなのは嫌だ。だから耐えるしかないのだ。

 全部、僕のせいなんだ…。

 「あれ、君、どうしたの?」
 ふいに頭上からかけられた声に少し戸惑った。
 上を向くと、若い女の人が、少し斜めうしろに若い男の人が立っていた。並んだ姿は夫婦のようだ。
 「あ、急に声かけてごめんね、見慣れない顔だし、なんだか悩んでいるようだったから…って、"ここ"にいる人はみんな悩みを抱えている人だったね、」
 と言って持っていたトートバッグをゴソゴソと漁って缶のオレンジジュースを差し出した。

 「これ、飲む?」
 あまりにも急に差し出されて少し戸惑ったけれど、ありがたくもらうことにした。
 「あ、ありがとうございます…。あ、あの、ここは、いったいどこなんですか?」
 女の人が話を続けているが、どうしてもこの空間がどこなのかわからなくて、つい口を挟んでしまった。

 女の人は、優しく、少し微笑み、こう言った。

 「ここは、"夜と朝のあいだ"よ」

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