ちいさな神様の間違いで異世界に転生してしまいました

きくりうむ

第37話ー

 ドンッ! ドンッ! …ドオォォォォォォォォン


 ちいさいクレーターができたと思ったら、またちいさいクレーターができ、そして、大きなクレーターができる。


 これ後処理どうするのよ。第3者がみたら絶対に「魔物だ!」って騒ぎ出すじゃない。


 「だーかーらー! 力加減覚えなさいよ!」


 「これ以上弱くしたら…すっぽぬけそうでこわい」


 「じゃあ、せめて振り下ろすんじゃなくて横に振りなさい!」


 まったくなんて馬鹿力なのかしら。


 「やあぁぁぁぁぁ!」


 ザシュ! ザシュ! ザシュ!


 「ちょ!? 木が!? 木が斬れてる!? ユウぅぅぅぅ!!」


 「ごめんなさい! 本当にごめんなさい!」


 ドンッ! ドゴォン!


 「リュミナおいで」


 「うん。ありがと」


 私が倒れてくる木を避けながら、ユウに怒る。シエルはリュミナを呼ぶと、2人の回りに風の魔法が円上に現れた。


 たしかあれは風魔法の防御魔法だったはず。って、


 「私は!?」


 2人は私を見ながら手を振っている。こいつら、見捨てたわね!?


 「……これで最後!」


 ザシュ! ザシュシュ!!


 「だから、木を斬るなっていってんのよぉぉぉぉぉ!!?」


 「……あ」










 ウルフを無事とは言いがたいけど、討伐した帰り道、私はユウに寄りかかっていた。


 「どうして、討伐したの私じゃないのに、私が疲れなくちゃいけないのよ」


 「うぅ…本当にごめん」


 ユウは反省はしているらしく謝ってくる。怒ってないから別にいいんだけど、これはバスターソードは当分封印ね。あとは、ユウの力加減を覚えさせないと。このままじゃ、他の武器でも同じこと起きそうでこわいわね。命がいくつあっても足りないわ。


 「今日はこの依頼で終わりにしましょう。午後から訓練ねユウ」


 「はい…」


 しょんぼりしてるようだけど、こればかりはしかたない。このままだと、連携ができないから。ユウにはなんとか加減を覚えてもらわないと。


 「…はい。それじゃ帰ってゆっくりしましょうか。今まで毎日依頼続きだったからね」


 シエルが手をパンと叩きそんなことを言う。


 「うん。ユウ、もしよければ一緒に本読もう」


 「…え? いいの?」


 「もちろん」


 「ありがとう…!」


 リュミナの言葉に笑顔になるユウ。


 それにしても、今まで気にしないでいたけどさすがにそろそろ限界かもしれないわね。…ユウの高すぎる身体能力や、魔法について。ユウは私達の仲間で固定パーティーだから、他の人と組むことはないだろうけど、討伐でだれかと鉢合わせてユウの力がバレるのがめんどうね。


 それに…どう考えてもユウはSランクの道に到達している。シエルとリュミナは言わないみたいだから、私に任せる感じなんだろうけど、どのタイミングで聞けばいいのかしら。


 …んー、まぁいいか。とりあえずあとで聞きましょう。今はユウの訓練に全力を尽くそう。


 「ユーウ。お昼は何が食べたい?」


 「え? うーん…パスタがいいかも」


 パスタね。それじゃあお昼はパスタにしましょうか。


 「シエル。戻ったら買い物をして帰りましょう」


 「そうね。リュミナとユウは先に帰りなさい。くれぐれも1人きりにしちゃだめよ?」


 「わかってる」


 「うん」


 さてと、もう着くし気を引き締めますか。どこであいつが邪魔してくるかわからないし。


 「おぉう! 帰ったか。今日もおつかれさま」


 いつもどおり門番のザルツがいる。今日は、軽めに挨拶だけして中にはいる。


 とりあえず依頼報告のため、先にギルドに向かう。ギルドはここから大体5分くらいで着く距離だ。


 ギルドについたら、いつもどおり報告をし報酬をもらう。ギルドをでたら、私とシエルは買い出しに、リュミナとユウは家に帰る。


 「それじゃ行ってくるわね」


 「他になにか良いのあったら買ってくるわ」


 「待ってる」


 「いってらっしゃい!」


 2人と別れ、歩き出す。憎たらしいほどに今日も良い天気だ。

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