ちいさな神様の間違いで異世界に転生してしまいました

きくりうむ

第17話ー商業ギルド

 ゴブリンの集落を聞いた翌日、いつもどおりギルドへと来ていた。結局僕に出来ることなんてないのだから、いつもどおりに過ごすって決めたんだ。よーし。今日もお仕事がんばるぞー。


 Eランクのボードを見ながら、どの依頼を受けるか考える。ちなみに今日は2個受けられれば受けようと思ってる。休日の日にお金使っちゃったから、ちょっと懐が心もとなかったりする。金貨は宿用だし。かといって使ったのは後悔してないからね。


 「…これでいいかな」


 昨日にはなかった依頼を見つける。内容は、物資の運搬。報酬は銅貨8枚。意外に多い。たぶん、かなりの量がありますってかかれているからかな。ここに来て運搬依頼はやったことないから何事も経験というわけでこれにする。


 さて、ミルフィリアさんのところに行こうかな。


 「ミルフィリアさん。これ受けます」


 「はい。かしこまりました」


 依頼書を渡しハンコをおしてもらう。よし。時間がおしいしさっそく出発しよう。


 「…あ、ユウさん。少し待ってください」


 「?」


 ミルフィリアさんに呼び止められた。…はっ! もしかして何か変かなこの格好。アリシエルさんとリュミナさんに選んでもらったやつだけど。


 「ふふ、服じゃありません。それにとっても似合っていてかわいいですよ?」


 受付から離れ隣にやってくる。ミルフィリアさんは頭を撫でながら誉めてくれた。


 「ユウさん。これを」


 ミルフィリアさんに渡されたのは指輪。金色でとてもきれいな赤い宝石が埋め込まれていた。


 「お守りです。絶対に肌身離さずつけてくださいね。絶対ですよ」


 なぜだか絶対、という言葉を強調される。でも、これものすごく高そうなんだけど。さすがにこれを貰うわけには…


 そういうわけで返そうと思ったんだけど、


 「駄目です。絶対につけてください。絶対に」


 「は、はい」


 僕の両肩に手を置いて、いつになく真剣に言ってくる。どうしたんだろうミルフィリアさん。


 「ふふ、それに大丈夫ですよ。それは見た目がきれいなだけで、銅貨で買える値段ですから…ね」


 僕の返答に満足したのか、また頭を優しく撫でてくる。本当にどうしたんだろう。なんかいつものミルフィリアさんらしくないというか。それに、これ絶対に銅貨で買えないよ。


 「それでは頑張ってください」


 手を離しミルフィリアさんは受付戻っていく。


 「行ってきます」


 ミルフィリアさんの様子はおかしいけど、僕に何か出来るわけでもないし。たぶんお仕事関係のこと……あ、もしかして昨日言ってたゴブリンなのかな。でも、もしゴブリン関係の事だとすると、ますますこの指輪をくれた意味がわからない。お守りっていってたけど……


 「とりあえず、がんばろう」


 考えてもわからないし、ミルフィリアさんから話してくれるのを待つしかないよね。


 目的地は商業ギルド。大通りにあるから、迷うことはない。地図もあるし。でも、商業ギルドってことは、いろんなものを取り扱ってるんだよね。それに人はいっぱいいそうな雰囲気だけど、冒険者ギルドに依頼を出すってことは、人手たらないのかな?


 歩くこと数分。商業ギルドについた。


 「わぁ…大きい」


 大規模なコンサートとかできそうな広さだ。冒険者ギルドはもっとちいさいのに。ちょっとこの大きさに圧倒されながら中に入る。


 中には人がたくさんいた。しかもすごい忙しそうだ。これどこにいけばいいんだろう。やっぱ受付かな。でも、空いている受付が、あの相談窓口しかないんだけど。そこでも大丈夫かな。


 「あら、どうかしたの?」


 ダメもとで来てはみたけど…ま、窓口が高い。


 「あ、あの、冒険者のユウと言います。荷物の運搬の依頼を受けて来ました」


 「お嬢さんが? 荷物は重いのもあるけど、大丈夫なの?」


 「はい! 身体強化のスキル持っているんで大丈夫です」


 「レベルを聞いても?」


 「3です」


 「3!?」


 あ、あれ。なんかすごい驚いてるけど、なんで? アリシエルさんとリュミナさんも驚いてたけど、そこまでじゃなかったよ。


 「……あぁ! 継承したのね?」


 「??? えっと。はい。そうです」


 …継承ってなに……? つい、継承したことにしちゃったけど、継承ってなに? 


 「そう。それなら納得ね。案内するわ。ちょっと待ってて」


 女性がその場から離れて僕のところにきた。…誰かに継承について聞かないとやばい。


 「こっちよ」


 女性に手をひかれる。そしてそのまま裏へと入っていく。商業ギルドの裏側ってこんな感じなんだね。


 そして、1つの扉の前で止まった。


 「入るわよ」


 コンコンとノックをし扉を開ける。中にいたのは、白衣を着た男性だった。


 「いらっしゃい。私はこの商業ギルドのギルドマスターをやらせてもらっている、ラーフィルという」


 「私は冒険者のユウと言います。今日は依頼を受けてきました!」


 まさかのこの白衣を着た人がギルドマスターだった。


 「ふむ、それならばこれなのだが、ユウはどのくらい重いものを持てるのかね?」


 「え、えっと…木材程度なら簡単にはいけます」


 というか、今まで一番重いものを持ったのが木材しかない。


 「ほう。それなら安心だな。これを」


 ラーフィルさんより、数枚の紙を受け取る。これは…リストかな。


 「目的地と、そこで持ってくる物が書いてある。受け取ったら、右の四角の空欄にサインを貰ってきてほしい」


 鍛冶屋にポーション屋、魔道具専門店? そんなのあるんだ。他にも色々と書いてある。


 「どこにあるかわからないと思いますから、私もついていきます」


 「そうしてあげてくれ」


 ……はっ! また保護者がついた

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