天才の天災

春夜

オークの集落

正門から約30キロほどのところに降りる。
ミネアは最初こそ驚いていたが、半分ぐらいの所で景色を楽しむ余裕があった。
「にしても、速過ぎないかい?」
「そうか?たぶん、意識すればまだまだ早く出来ると思うが…」
ミネアはもう慣れたのか、驚きではなく呆れたような顔をした。
「ボスは出会った時から天才だったからねぇ…いや、天災の間違いか?」
聞こえてるぞ。失礼なやつだ。
探せばそんなやつも何人かいるだろうに...
「マスターの様なステータスを持った者が複数人いた場合、数秒のうちにこの世界は無くなる確率99.8%です。」
余計なことを計算するな。
そんなことより討伐対象を探せ。
「1キロ東に行ったところにある湖に3体のオークを発見。
その少し奥にオークの集落を発見。
オークの集落の地下に、魔物ではない生体反応を複数確認しました。」
「ミネア。近くにオークがいるらしい。
集落もあるみたいだから、これからの分の宿代も必要だし、全滅させるぞ!」
「あいよ。オークの集落壊滅なんて
A級冒険者パーティの難易度なのに、
ボスが相手だとオークが可哀想になるよ…」
「敵に情をかけるなよ。それを言うなら、
A級冒険者パーティレベルの任務をこなせる俺がDランクってのが可哀想だよ。」
「オークの集落壊滅出来るってのは否定しないんだね…
飛行魔法で30キロも飛んできたばかりなのに…」
ミネアが何か言ってるが、キリがない気がしたので無視。
買取には死体がいるからあまり傷つけたくはないが、魔法を使えば消し去ってしまう気がする...
傷つけない魔法を試すか。
「ミネア!ちょっとこっちに来い。」
「この辺でいいかい?」
目の前に立ったミネアに手を向ける。
「なんだい?」
ミネアは不思議そうに首をかしげている。
死の呪いカース
周りに冷気が充満する。
「ボ、ボス?!一体何をしたんだ?」
「即死魔法の試し打ちだ。気にすんな。
終わったし、さっさと行くぞ。」
「即死魔法?!気にするに決まってるだろ!!
下手すりゃあたし死んじまうじゃないか!まだボスの役に立ててないのに…」
「使った事のない魔法やスキルは失敗するから安心しろ。」
「いや、安心は出来ないよ…」
最悪、間違って殺しても回復魔法で復活させられるしな。

歩いていると、湖のそばでオーク3体が座っていた。
こちらに気づいたオーク達は、でかい棍棒を片手に持ち、こっちに向かってくる。

「カース」

オークの動きがピタリと止まり、線が切れたように崩れ落ちる。
「これが即死魔法...
もしあたしが受けていたら…ゾクッ」
ミネアは放っておいて、複数相手でも効果はあるのか。中々使える魔法だな。

無限収納イベントリ
オークの死体の上に白い光の粒子が集まって消える。
「イベントリ」
次は空間の裂け目のような形になり、
死体の上を3つ吸い込んで消える。
「し、死体が消えたっ!!!」
こいつ驚いてばかりだな…
「俺と旅をしてるんだから、あまり驚くな。何があっても、当たり前だと思え。」
「あたしだってそうしたいけど、
ボスの超常現象は規模が違う...」
「次行くぞ。」
少し歩くと、ボロ小屋みたいなのがいくつもあるところに出た。
「ミネア、もう1回こっちに来い。」
「つ、次は死んじまうんだろ?
嫌だよ!」
「即死魔法じゃねぇよ。次は結界魔法だ。」
「そ、それなら...」

断絶結界パーフェクト・キューブ

俺とミネアの足元に黄色い魔法陣が展開される。

パリィン

その後、魔方陣にヒビが入り砕け散る。

「気配察知、パーフェクト・キューブ」

まずは気配察知で魔物ではない生体反応とミネア、俺とこの村(地下50メートル)にパーフェクト・キューブをかける。

煉獄の炎インフィニティ・ノヴァ

次にこの村だけに範囲を指定した、火魔法の上位互換、炎魔法を放つ。
火魔法は1度放っているため、炎魔法にも二神が適応されているみたいだ。
赤黒い炎がどこからか現れ、オークの気配はあっという間になくなる。

「気配は全部消えたな。」

「創造魔法、セロ

何も変化が起きず、失敗。
そしてもう一度。

「セロ」

目の前に広がる炎の海が一瞬で広がり、レン達を囲っていたパーフェクト・キューブもかき消される。
これは俺が今造り出した魔法で、
展開している魔法やスキルを全て無にする魔法だ。
ちなみにスペイン語でゼロだっけか?

声は出さずに驚いているミネアを他所に、
複数の生体反応の元に行く。
と言っても、地下50メートルまで消し飛んでいる為、もう既に生体反応の正体は見えている。
目の前には衣服を剥ぎ取られた女性が何人もいた。種族、役職はバラバラだが、全員が女だということを考えるとオークの苗床になりそうだったようだ。
俺に気づき、話せるようになった人族の女性が口を開く。
「今のは、あなたが...?」
「ああ、そうだ。」
そう言いながら、創造魔法で服を造り出し全員に渡す。
「お前達を殺すことに意味は無い。
さっさともといたところに帰れ。
今は昼間だ。夜に比べて魔物もいないだろう。」
「ありがとうございました!!!」

女性達は俺が作った服を着て、去っていった。

ただ2名を除いて...

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