天才の天災

春夜

宿

国王との謁見が終わった後、俺達は冒険者登録を済ませ、ゴブリン数匹を倒してその報酬で安い宿を1泊取った。
宿をとる時、2部屋とるつもりだったのだがミネアが、
「あたしはボスの物なんだから、ボスと同じ部屋に決まってるじゃないか。」
と言われたので、特に否定もせずに一部屋借りた。

「ギルドに紹介状見せた時、受付が驚いてたな。」
「そりゃあ、国王からの推薦なんて滅多にないだろうしね。国王にもっと上のランクにしてもらえば良かったんじゃないかい?ボスより強いやつなんてこの世にいないと思うのに…」

ミネアが少し落ち込んだように言う。

旅をして間もないのに、もうすっかり俺を信頼してるな。
俺の中でミネアへの信頼が少し上がった。
物というのに変わりはないが…

「ランクは別にいいが、宿代は貰っておくべきだったな。暗くなってからの狩りは見にくいし面倒だ。」
「おかげでゴブリン以外にも何匹かと戦うことになっちまったしね。」
「ああ。まぁ、過ぎたことは気にしても仕方ない。次からはもう少し考えてから報酬を貰うか。」
「そうだね。あたしは別に構わないけど、ボスは面倒事が立て続けに起こったし疲れただろう?あたしはさっき寝たおかげでちょっと目が覚めちまったから、ボスは先にゆっくり休むといいよ。」
「そうか。なら寝させてもらうことにしよう。」
「明日は何をするのか聞いてもいいかい?」
「そうだな...鍛冶屋にでも行くか。
その後クエストだな。
ランクが高い方が報酬金も多いし、なるべく早くSにしたいな。」
「ボスって確か、武器創造っていうスキルあったよな?素材もなく、イメージした武器を創り出すなんてぶっ壊れスキルがあるのに、どうして鍛冶屋なんて行くんだ?」
「武器は作れるが、防具や装飾品なんかは作れないしな。なんかいいスキルでもあったら欲しいだろ。」
「神眼...だっけか...
もうボス自体がなんでもありな気がするな...」
「今更だろ。」
「そーだね、その規格外の強さのおかげであたしは助けられたんだけどね。」
なんか懐かしい感じがするな。
ミネアが俺の物になってまだ数日だが、
色々あったおかげで数ヶ月旅をした気になる。

「懐かしんでるところ悪いが、そろそろ寝る。あ、寝る前に言っておくが。」
「ん?なんだい?」
「前の世界にいた頃も俺は寝起きが物凄く悪かったらしい。危ないみたいだから起こさなくていいぞ。」
「了解だ。」
(そーいや、ボスが寝ているところを見るのは何気に初めてだな。
野宿の時はボスが木の影で離れて寝てたな…
何かする訳では無いし自分で言い出したことなんだけど、ボスと同じ部屋って言うのは特に緊張する...)

チラッとレンの方に視線を移すと、布団をかぶって丸くなっていた。

レンから寝息が聞こえてきて数分後、

悪いとは思いながらも、ミネアは自らの欲望を抑えきれずに寝ているレンのほっぺをつつく。
「お、起こさないように、ゆっくり...」

ふにっ

「んんぅー...」
つつかれたレンは子供のような声を出しながら、猫のように手で顔をかく。

「な!なんだいこの可愛い生物は!
この世のものとは到底思えないね…
起きてる時はかっこよくて寝てる時は可愛いなんてどんな男も女も敵わないね...」
  
この世の全ての男女に同情の念を送るミネアだった。

「天才の天災」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く