人間から(堕天使の)スキルになりました!?

雨夜

異世界召喚…って?(勇者side)

私の名前は真宮愛莉。
高校一年生で双子の兄がいる。……いや、いた、かな…。


何故過去形なのかその理由は2日前……

兄 真宮隼人が帰ってこなくてお母さんとお父さんと警察に捜索届を出そうか話してると誰かから電話があった。
お母さんが電話に出てその間、私が学校帰りにお兄ちゃんの捜索届を出しに行くとお父さんと決めた瞬間お母さんが電話を切らないで泣き始めた。

最初は、どうしてお母さん泣いてるの?って疑問に思いながらお母さんの言葉を待った。でも、聞かない方が良かったんだ…。


「隼人の…隼人の鞄がね…道路に落ちていたって…その近くに、血が…っ」


その言葉を聞いて私は大声で「嘘!!」って言い逃げようとした。だけど、現実は残酷に…逃げようとする私を捕まえる。

両親と警察署に行き目の前に置かれたお兄ちゃんとお揃いにした鞄や筆箱。
それに家族で旅行に行った時にお揃いにした色違いの人形のストラップ。



そして……目の前には線香とか色んなものが置かれてる前に寝かされている…今にも起きそうな、お兄ちゃん…

お母さんと二人でお兄ちゃんの傍に行き大声で泣いた。
お父さんは後ろで悔しそうに声を出さないで泣いていた。
私は「起きてよ!お兄ちゃん!」と何度も何度も、お兄ちゃんの体を叩いて叫んでいた。

それから、通夜をやり…葬式をやり…今日、お兄ちゃんが通ってた高校に残ってる荷物を取りに向かっている。



「愛莉ちゃん、本当に大丈夫?私が持って来るよ?」
「いえ、大丈夫です…。上宮先輩…」


私に話しかけてきたのは上宮幸音ゆきね先輩。美人で私の学校でも恋をしてる男子が多い。
家が隣同士で昔からお世話になっているから姉のように慕っている。先輩だから敬語になるけど…。


「でも、顔色悪いよ?それに私達家が隣同士なんだから…」
「分かっています。でも、お兄ちゃん…兄の荷物だけは自分で取りに行きたいんです。学校の教科書とかでも大切な物だから…」
「そっか…。荷物が多かったら私も手伝うからね!」
「はい!ありがとうございます!!」


学校に着いて、職員室で挨拶を済ませる。それが終わったあと上宮先輩と共に兄の教室に向かい兄の机を見ると1輪の花が花瓶に入れられて置かれていた。兄が死んだという現実を再び突き付けられ胸が締め付けられるように痛んだけど無視して、机の中からからゲーム機やノート、教科書類を紙袋に入れた。
教室に居る人達が入ってから私を見ているのがずっと分かっていたからすぐ出ようと思い紙袋を持って上宮先輩に真っ直ぐ一緒に家に帰ろうと声をかけ教室の扉に手をかけ━━━━


「あ、あれ…?開かない…」
「え?鍵とか無いのに…」


扉を開けようと色々と試行錯誤しても強力な接着剤でピッタリとくっ付いたように動かなかった。更に私達の行動に気付いて他の人達も外に出ようとしていたけど窓も開かず一部の男子が窓を割ろうと椅子を投げたりしたが窓には傷一つ付いてなかった。
咄嗟に窓の外を見ると他の教室は普通に過ごしている姿が見えた。さらに大きな音とかしているはずなのに誰も聞こえていない様子だった。


「ちょっと!早くドアを開けてよ!」
「開けようとしてるっての!」
「はぁ!?嘘だろ、圏外になってやがる!!」

「う、えみや…せんぱ…」
「…大丈夫、大丈夫よ。きっと…」


上宮先輩はそう言ってるけど顔は不安そうにしているのがよく分かった。
私は上宮先輩はどうしようと話し合っていると床が突然光だし驚く声や困惑する声を聞きながら、お兄ちゃんの友達-雨宮椎斗あまみやしいとさんが一人喜んでる姿が見えた。


「ハハッ、これは召喚魔法か!?隼人君、君が生きていたら共有したかったよ!異世界に行けるこの喜びを!!!」
「異世界…?それって……」


何?と言えず、目の前が光で白く染まり…思わず目を強く瞑った。
だけど、それは一瞬の事だった。すぐに光は収まり代わりに冷たい感触とたくさんの喜ぶ声が聞こえて私はゆっくりと瞑った目を開け体を起こし驚いた。何故なら、上宮先輩や他の人達は私の周りで倒れていて絵本や物語の中にしか居ないと思われてたお姫様や魔法使い、騎士等が目の前に居たからだ。


「な、何これ…ここ、どこ…?」
「う…っ……?」
「!か、上宮先輩!」
「あ、いりちゃん…?こ、ここは……」


上宮先輩が起き出したのをきっかけに他の人たちも起き始め、困惑の声を上げた。ただ一人…雨宮さんだけ、この状況を理解して落ち着いていた。


「皆、落ち着いてよ。困惑しても状況は変わらない」
「…やけに冷静だね、ここが何処なのか分かるのか?」
「あぁ、分かるさ。委員長…とりあえず、あそこで騎士様に喧嘩を売ってる箕浦君を静かにさせてくれないか?」
「……分かった」


お兄ちゃんのクラス委員長と聞いてる新倉海那斗にいくらかなとさんは騎士の格好をしてる人に喧嘩を売ってる人…お兄ちゃんをいじめていたと聞いた…箕浦蒼司みうらそうじさんを説得し静かにさせていた。
全員が雨宮さんの方を見る。見られてる本人は軽く咳払いし話し出した。


「ここは僕達が住んでいた世界とは違う異世界だ。僕や…隼人君がよくやっていたゲームのような世界と思ってくれ」
「なんで、そんな世界に私達が飛ばされたのよぉ…お家に帰りたいっ…!」
「それは無理だと思ってくれ。僕達はこの世界に勇者として召喚された…ですよね、王女様!」


雨宮さんが振り返りお姫様の格好をしてる人にそう言うと彼女は真剣な表情で頷いた。


「勇者様の言う通りでございます。ここはレアーレ王国、私はこの国の王女 ミルカ・レアーレと申します。私の隣にいるのは騎士団のレギオ騎士団長、そして執事のロルジです」


ミルカ王女が笑った瞬間、周りの男子達の顔が赤くなったのがわかった。それに…上宮先輩はなってないけど他の女子はレギオ騎士団長とロルジさんを見て頬を赤く染めて何か話している。でも…箕浦さんが言った言葉で全員、すぐに怒った顔や泣きそうな顔に変えた。


「おい!俺たちを元の世界に戻せ!」
「そ、そうだ…!今すぐ家に返せよ!!」
「お父さん達に会わせて!」
「こっちに来れたのなら帰れる方法、あるんでしょ…!?」


王女達はその言葉を聞いて悲しそうな顔をし騎士団長さんが辛そうに口を開く。


「すまない…君達をすぐに元の世界に返せないんだ…」
「どうしてですか!?」


その疑問の答えを言われる前に雨宮さんが口を開いた。


「もしかして魔王が復活した、とかでしょうか?ミルカ王女」
「えぇ、その通りです。1ヶ月前…はるか昔に勇者達の手によって封印された魔王 アンジュが復活をしこの世界を征服し始めました。既に被害も出ております」


魔王…お兄ちゃんとやってたゲームに勇者が魔王を倒しに行くゲームがあったのを思い出しある事に気付いた。


「あ、あの……ミルカ王女…。もしかして、私達は…魔王と戦う為に…この世界へ?」


私の質問にミルカ王女は悲しそうな顔のまま「その通りです」と答えた。
その瞬間、全員が「嫌だ」「帰りたい」「死にたくない」と今の現実を否定するような声をあげた。そんな中、上宮幸音、雨宮椎斗、新倉海那斗。…皆とはこの3人は別の事を言った。


「ミルカ王女、魔王を倒したら元の世界に帰れるんですか?」
「お、恐らく…帰れるかもしれません。魔王城には我々人間にはわからない魔導書があると聞いております」
「成程…それなら、俺の決意は決まりました。この世界の為に戦います」
「僕も戦うよ、折角異世界に来れたんだ。剣を扱う体力とかないけどゲームで得た知識や魔法なら任せてくれ」
「…私は、先輩として、隼人の幼馴染として隼人の妹を守る。この世界が危険だというのなら戦って強くなるつもりよ」


上宮先輩………幸音お姉ちゃんの言葉に私は嬉しくなったけど同時に嫌だと思った。
漫画やゲームのように王子様や勇者を待ち周りに護られるだけのヒロインになるつもりは無い。


「…幸音お姉ちゃん、ありがとう。でも、私は戦う!この世界から帰ってお父さん達に会うの!!」
「愛莉ちゃん…分かったわ。2人で一緒に強くなろうね」


2人で強くなろう、と決意している間に新倉さんと雨宮さんが他の人達を説得させた様だ。
更に新倉さんがリーダー、幸音お姉ちゃんが副リーダー、雨宮さんが参謀という事で落ち着いた。

皆が落ち着いた頃、ミルカ王女に「ステータスを見てみましょう」と言われた。


「あ、あの…雨宮さん、もしかしてステータスって体力とか…?」
「うん、その通りだよ。ステータスって言うのは僕達の職業やレベル、スキル等表示されるんだ」
「補足を致しますと他の皆様に見せたい場合『ステータス開示』と言わなければ見せる事が出来ません」


私達はスキル等を確認する為にそれぞれ好きな場所で見る事にした。


「…す、ステータス」


━━━━━━━

真宮愛莉   勇者
Lv. 1

HP:100/100
MP:30/30

スキル
鑑定 Lv. 1
偽造 Lv. 1
光魔法 Lv. 1

特殊スキル
復活魔法 Lv. 1
予言

━━━━━━━


偽造?それに…特殊スキル?何これ…初めて見る。他の人にもついているのかなぁ…?

私は幸音お姉ちゃんに話しかけ互いのステータスを見せてもらった。


━━━━━━━

上宮幸音 勇者
Lv. 1

HP :150/150
MP:40/40

スキル

鑑定 Lv. 1
偽造 Lv. 1
光魔法 Lv. 1

特殊スキル
消滅魔法 Lv. 1
神眼

━━━━━━━


「…何だろう、この特殊スキル」
「すごい、危険な感じがします…」
「あまり使わないようにしよう」
「は、はい!」


その後、全員のスキルとかを見せてもらったけど…どうやら私だけHPやMPが低い様だ…。でも、騎士団長さんに私の特殊スキルは神官向けだと言われ私は回復系に回ることを決め、それぞれ当てられた部屋に行き、休息をとることにした…。


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