千人の中に妹が隠れている!

双葉エレン

生徒会長はなぜ掃除用具が好きなのか?

《巨大台風により、大規模な河川の反乱が起きましたーー直ちに近隣は高台やビルに逃げ込んでくださいーー繰り返しますーーー......》


アナウンスが街の放送無線で拡散され、街中はこだまのように鳴り響くーー


そんな放送を知らずに、方凪はソファーで寝ていた
そして、妙に冷たさを手先から感じ始め
目をゆっくりと開けると、水浸し状態で校長室にあるものは浮かび上がり無残務像で浮遊しながら浮かんでいた


当然、方凪は何が起きたか把握しておらず
彼から一番最初に出た言葉が...


『誰だ...?水道の蛇口を開けたま排水管にものをつめらせたバカは?水遊びは、外でやれ!』だった。


台風による河川の反乱だとは分からず、よく良く窓辺を見渡す方凪
沢山の濁った水が窓にぶつかり、ガタガタと音を奏でる
そして、方凪はソファーの上で仁王立ちしながら


『排水管真面目にぶっ壊れたのか?』っと呆れ顔で言う
そのタイミングで、窓に向かって一本の大木が校長室の窓を突き破り方凪に向かって飛んでくる


普通の人なら、躱すところだが...彼の場合、
ーーー躱すのではなく


『ふん!』


飛んできた大木事、左腕ひと振りで飛ばしたのた
天井に斜めに突き刺さる
方凪は、手を鳴らしながら


『刃向かうなら、飛ばすぞ』


キメ顔で言って、膝くらい水が溜まっている場所に降りてバシャバシャと音を立てながら、ドアに手をかけた
しかし、ドアはびくともせず動かない
理由は簡単、水圧で歪んでいるからだ。
そんなことも知らずに彼は...


『うがァァァァァ!!』


方凪は、めいっぱい力を込めて開けようとしていた
だが、全く動かない扉に...火がついた


『ってめぇなァ、ドアの分際で...いきがるんじゃねぇぞ!』


ーーバキっ!!


方凪が思わず手握しんだ、ドアノブを壊した


『...あ』


自分の手で破壊したドアノブを見て
ふと、考えた


やべぇ...真面目に出れない!
...いや、ドアノブは元から脆い品物
現段階では、俺は悪くねぇ


非を認めずに、肯定した方凪
彼は考える、『このまま、天井をぶち抜いてやろうか?』とーーー


抉れ音を響かせながら、水位は上昇
とりあえず、ドアを重いもので押し固めてみた
学校の校長の石像が嫌という程、不気味さを放つ


『...校長室に石像があるとか、どんだけ自分が好きなんだよ』
『説明しよう』
『うわぁ!?な、なんか掃除用具から出て来た...』
『我が学長は、非常に自身の顔をかっこいいとおもい日々銅像と向き合う始末...』
『新手のナルシストかよ!?学長!?』
『最終的に、こんな...見るからに不気味にスマイルしている銅像。因みにタイトルは『ジャストスマイルなんつーてはご覧のスポンサーでお送りしました』なのである』
『番組!?エンドロールみたいな名前かよ!!』
『以上、何故か掃除用具に閉じ込められて、気がつけば巨大台風が起き河川の川は氾濫していた実態に、生徒会長として不覚ーーー』


方凪は、無言で掃除用具のドアを静かに閉めた
ガチャっと鍵をかけて静かに、ドア前に押した


『な!?私を犠牲にする気か!!』
『安心しろ変態仮面、せめて盾となり散れ』


掃除用具をガタガタ音を立てながら開けようとする
しかし、その前には黒く塗られたダンベルを力任せに投げ飛ばした
べキャッっと言う鈍い音が掃除用具からなる
そう、掃除用具は扉に衝突して歪んでしまったのだ
さらに目の前に落ちたことにより、さらに開かなくなる


『おい!今の音はなんだァァァ!?』
『衝突音』
『何冷静に言ってんだ!?』
『黙れ缶詰、お前に最後の仕上げは...河川の水だ』
『生徒会長なんだけど?!』
『生徒会長が、なんで掃除用具って言う汚物に入ってるんだよ?もう生徒会は滅んだと同然だろ』
『勝手に解釈するな!まだ終わってない!』


 方凪は、ゆっくりと後ろを向き窓へと歩き始める


『おい!どこに行く!』
『決まってんだろ、助けを求めるさ』
『無駄だ、お前にもわかるだろ...あの氾濫じゃ来るはずがない』
『いや、可能性はゼロじゃない。だから、諦めんのはまだ早い』
『...。今の格好が無ければ説得力あったんだがな』
『うるせぇ!』


上半身裸で、制服の長ズボンを履いた状態
それを、方凪は脚の裾を捲りあげる


腕をバッテンにして、左右に2回捻りながら


『さーて、では脱出経路を確保しますかねぇ?』


方凪は、水浸しの校長室の床を歩き思いっきり、窓のドアを引いた
すると、放水のように流れ込む水に圧倒され、片膝を付きながら


『ったく...どんだけ水遊びしてんだよ!』


歯をぎしませながら、右手を前に伸ばし
窓淵を指で捉え、ゆっくりと体を引っ張るように前進する
そして、左右にある窓淵を掴み、体を前に持ってくる
だが、右手を滑らせ、左手はつかんだまま、水圧に押し流され掛けた


ちっ、強過ぎるな...あと何分間続くか分からない
この酸素。早く体を外側に出さなきゃな...!


『...っ?!』


左手が全く動かないことに気づく
水圧で筋肉の筋を切れた状態だ
動かそうとすれば、無用なぐらいに痛む
だが、この水圧だと全くと言っても痛感さえ奪う


左手...いや、左腕自体使い物にならない
今の状態で、右手を伸ばしても...押し返される
ならどうする?手を離せば壁に激突は免れない


方凪は、静かに考え始めた
息が続く限り、今出来ることを...。


過去に似た事あったな...


思い返す、悲痛と激怒をーー


......確かあの時、俺はーーー


塞がれたら鎖の先にある、奥深い記憶
方凪が、反応が鈍くなってる左手を睨むように静かに顔を見上げながら


簡単な話だ、動かねぇなら...動かせだ!!


失った感覚だけを頼りにして、力を入れる
軋む左手の骨を、ものともせずに体を引っ張る
そして、窓淵に両足をつけ、体を起こした
吸い込まれる様に中に入る水を、貫くように顔を水の外に出す


『ぷはっ!!』


それと同時に、頭上から声が聞こえる
上を見上げると、三虎が縄を振り回しながら
方凪が突き上げた右手にうまく引っかかり
そして、三虎が方凪を引き上げた


『...何してるんだ?水遊びか?』っと笑いながら言う三虎に若干イラつきながらも抑え、静かに言う


『さっきの出来事が、嘘のように拍子抜けだ...』
『左腕どうした?紫色だぞ』
『水圧にやられた』
『ほう、強いのか?』
『いや、強いかどうかってより...まず人は勝てねぇだろ』
『人は言った、諦めてなす術無ければ、いずれ別な強さを得るってな。』
『...馬鹿かよ』
『馬鹿でもなんでもありだ、人には変わりねぇんだから。人と違うのは当たり前だろ。人一人常識って枠を誰しもが持ってるわけじゃない...っと師匠が言ってたな?よく分からんがな』


ただただ、馬鹿げた笑い声だけが響く3階教室
一瞬、思い出したあの事は...今は忘れよ



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