Re異世界転生から始まる良世界攻略

双葉エレン

飲み込まれた感情を受け入れ殺意を呼び覚ます

何も無い更地に、傾く夕陽
ふとすれば知らない人がそこに立っていてこちらを眺めている


『お前...誰だ?』
『誰だはねぇだろダチ?』
『!?』
『なんだ?その顔は、そんなに驚く事か?』


見た目も姿もそっくりだ、だが姿は来てる服の色の反対色だ...
それにこいつから放たれる威圧、まるですべてを支配する様な力を感じる
空翔は手が震え始めていた、自分以上に強いヤツが存在するとはーー


『いま、お前は暴走してる。今まさに俺がてめぇの体を動かしてる様なもんだ』
『ふ、ふざけんじゃねぇ!!』


剣を反対色の空翔自身に振り下ろした
すると自分自身に傷がついた


『言っただろ?今は俺がてめぇの体を動かしてるってよ。この世界もてめぇの精神から出来たものだ、つまり俺を切ればてめぇ自身に傷がつくって事だ』
『なんだと?』
『まぁ、少なくても俺自身を制御できねぇ様じゃアメぇんだ』
『制御できない...?いやーー』


空翔は、ふただび振り下ろした
そして踏み込み腕を切り落とそうとした
すると、反対色の空翔は剣抜き防御した


『はーん、どうした?』
『てめぇ、やっとやる気になったか?』
『何の話だ?』
『まぁいい、せっかくだから楽しもうぜダチ公!』


空翔を強く蹴飛ばし、体制が崩れたのをさらに追撃する
空翔は、うまく剣技を受け流していたがーー
知らない場所からの衝撃波が空翔に迫り来る


かわせそうでもないなこの攻撃、ならばこれを使うしかーー
一回転して左右に衝撃波を放ち反対色の空翔の衝撃波を相殺した
だが、彼はさらなる力を使う
剣を地面に突き刺して、強い光と同時に現れたのは一本の大剣ーー
それを手に取った瞬間、姿が一瞬で消えた
気がつけば既に切られていた
な、なんだこの力...なんだその真っ黒い剣
なんだその...速度はーー?


『はっ、力をちゃんと使ってねえからそんなざまになるんだろがぁぁぁぁぁぁぁ!!』
容赦ない攻撃の連鎖で、空翔は自力で立ってるのがやっとのくらいだ


『アハハハハハハハハハハハハ、なんだそのザマは、何だその力は、何だその弱さはぁぁぁぁぁ!!弱い、弱すぎるぜぇ、てめぇにはまだ使えこなせねぇ結果がこれかよ、笑わせてくれるぜ』
『くそっ...が...なんでそんなに...戦いが好きなんだ...よ?』
『あ?てめぇにはそんなに戦いが嫌いなんだァ?クソぐだらねぇ事考えてるからてめぇは何時になっても真の力らにたどり着けねぇんだよ!』


ーー!
戦いを避けてきたんじゃない、俺は...怖かった
向かう敵に、刃を向けていざ立ち向かえば足が竦む
弱さの故に臆病だった
仲間が次々と力をつけていく中、俺だけが進歩がない
切ることさえ踏みとどまるようになっていた
だが、精霊のブレイカーはそれを知っていて戦闘時はブレイカーが維持する様な感じだった
つくつく俺って甘えてばかりだな...ホンットに精霊に委ねすぎた
恐怖に打ち勝たなければ先に力が手に入らない
戦いを避けてもこれからはずっとあり続ける
そんな心中に、自分が負けたら次って来ない


ーーーー


『ダチ、これでしめぇだ!お前には俺に飲まれてきえっちまいなーー!!』


空翔に貫く一本の剣、そして静かにその武器に手を触れたーー


『諦め割りぃな、そんな状態でてめぇに何が出来る?』
『確に、今の自分には何も出来きない。むしろ甘え過ぎた』
『で?』
『だから、今は自分を受け入れて...是も非もすべて受け入れて...てめぇを殺すーー!』


空翔が握る武器から白く染め上げるように一瞬に染まっていくーー
反対色空翔は、大剣を手放して後ろに飛んだ
空翔は、大剣を投げ飛ばして手に取る


『くっ、まだあったのか...殺意って奴が!』
『目を背けてばかりで気づけなかった、だから礼を言うありがとうよ反対色の俺』


大剣を握りしめて一瞬にして胴体を貫いた


『けっ...負けっちまうとはな、だが覚えとけよ...一瞬の隙でもみせれば何度ても...現れてやる...』


黒い粒が風とともに消えていったーー


『おっちゃんついたぜ』 
タバコを吸いながら黒いグラサンかけたおっさんが渚差の元に近寄ってくる
渚は灰皿を手に取り、オジサンの隣に立ち話し始めた
『来るの遅いっすよ』
『うるせぇ、娘が今日授業参観じゃねぇの俺が行かないで誰が行くっつーてんだよ』
『相変わらずっすね、娘には弱い』
『黙ってろ、さもないと時空転移で飛ばしちゃうぞ?』
『それは困るっすね...』
『んで、依頼のヤツ何処だァ?』
『目と鼻の先で今踏んでる人っすよ』
『おう、コイツは気づけなかったぁ...オジサン老眼だからよ勘弁してな』


周りの風景を見て渚はふと呟くーー
『会得できましたかね...?』
一応心配はしていた
そして今まさに彼はまた同じような事になっていた





コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品