神様と異世界旅行

この家、綺麗すぎ・・・

俺、河口 盾31歳は(かわぐち たて)は、とある田舎の『一軒家』の中に居る。
のんびりしたくなり、田舎に家を買った。
田舎は田舎でもド田舎だ、何せ買い物するには車で20分山を下らないといけない。

不便かもしれないが、場所は最高だ。
山の上の方にある家を土地ごと買ったのだ。
両脇に田んぼがあり、その真ん中の道の先に家がある。

二階建ての昔ながらの木製の家、周りの環境、雰囲気、電気もガスも通っている。

何故か通っている。
何故か・・・
電柱等は、見当たらないのだが。

まぁ、不満はない
ないのだが。

でかい。

明らかにアパート位の大きさ、台所や風呂を除いても部屋が1階だけで4部屋ある。
2階に至っては、8部屋あるのだ。
何より・・・

部屋を一通り見てきた俺はリビング、座敷だがそこに胡座で座り込み呟く。

「綺麗すぎだろ」

そう、綺麗すぎた。
誰かが毎日、掃除してるかの様に。
俺は買った当初、管理者が掃除をしにきていたのか買った相手に確認したのだが。
答えは前の住民が売りに出してから、50年、その相手が1ヶ月に一度見に来る程度だとか。

普通はその返答で、気味が悪くなり抗議するのだろうが俺はしなかった。
まぁ、良いかなと。
正直、お金には困っていなかった。
宝くじが当たってしまったのと、両親の介護が終わったという所がでかい。

正直、ようやく自分の時間が持てるのだ。
言い方は悪いが、正直な気持ちだ。

こうして、俺は田舎で暮らし始めた。


3日後荷物の整理も終わり、玄関辺りを散策していたら、玄関に繋がる道、門の所の両脇に黒い石の柱があることに気付いた。
高さは膝辺りで、20センチ四方の石柱だ。

無性に気になり触って見る。

うん、石だな。

ただ、擦ると手が黒くなるのだ。
洗えば取れるかもしれない汚れだと思い、一度家に入りバケツに水を入れタワシを持ってきて磨き始めた。

すると、落ちるじゃないか。
その汚れの下から出てきた色は綺麗な藍色だった。
青と言うより、藍。
そんな色だった。
俺は暫く見つめ、満足し家に戻った。

ただ、これが始まりだとは思わずに。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品