魔法の世界で、砲が轟く
第五十六話 魔国の都市バラー
「司馬懿からの電文だ」
真一が第一独立師団の主立った人間を集めて一言目にそう言い、皆に電文の紙を見せた。
「譲を殺した部隊が李典隊を壊滅させた鍵を握る部隊のようだ。その部隊の隊長の名はフィーリア。コットン王国の第一王女でコットン軍の中核を担う部隊を率いていたようだ、部隊の人間はかなりの精鋭揃いだからこちらは近代兵器を持っているからと油断して掛かるなと書いてある」
内容の簡単な説明をして、紙を皆に見えるよう回す。
司馬懿は現在、後方にて待機しておりジーマン国内での真一達の政治的なサポートに徹していて、第一独立師団の中心的な指揮はグデーリアンが執っている。
「この部隊は何でも瞬間移動でいる能力を持っているようだ。これ以上のことは今のところ分かっていない」
真一の敵の能力の面倒くささに誰もが唸った。
戦車にとって一番面倒な攻撃が後ろから攻撃されることである。実際、独ソ戦の戦車戦においても敵の戦車や対戦車砲といったものの待ち伏せによる後ろからの攻撃を一番警戒していた。戦車はその構造の問題から後ろからの攻撃には弱い。
その厄介な待ち伏せは十分な事前偵察さえあれば、大半は乗り切れることが出来る。
しかし、それはあくまでも待ち伏せに限った話しだ。
今回の敵は待ち伏せもくそもない。
瞬間移動なんてとんでもない技を仕える敵にどう対処すれば良いというのだ。
誰もがそんな心境であった。
悲嘆に暮れる皆の顔に気付いてか気付かずにか、真一が尋ねた。
「皆、この敵にどう対処する?」
しかし、誰もその問いに答える者はいない。あのグデーリアンまでもが黙り込んでいる。
「誰もいないのか?」
再度確認するかのように言う。
しかし、誰も答えない。そのような敵と対峙したこともないし、対策法も全く思いつかなかった。
「実は司馬懿からもう一通の電文が届いている。内容を聞く限りこちらが対策方法のようだ」
その瞬間、誰もが期待のまなざしで真一を見た。司馬懿の提案はどれも成功しており、彼女ならやってくれると誰もが期待したのだ。
「しかし、この電文の内容はかなり危険だそうだ。故に極力使わない方が良いと書いてある」
「何故だ?」
真一の意味深な言葉に守が反応した。
「今回、会敵するであろう敵の指揮官の中には司馬懿すら危険視している人物が何名かいる。この作戦はその指揮官達には間違いなく弱点が見破られる可能性がある作戦だそうだ。故に極力使わない方が良いらしい」
そう言って、真一はその電文を閉じて、自分の机にしまった。
「この電文を読むのは本当にこの部隊が危機的な状況になった時のみだ。良いな?」
「「「はい」」」
こうして軍議は終わり、それぞれが持ち場に戻った。
魔国領内で戦闘が始まり、早1週間が過ぎようとしていた。
「敵の部隊を確認しました」
第一独立師団の偵察小隊を率いていたミハエルの戦車の無線に指揮下の戦車から連絡が入った。
「よし、我々もそこに向かう。気付かれないよう監視を続けよ」
「はっ!」
すぐ近くにいたため合流は早くできた。
「どこだ?」
合流した二両の戦車はすぐに敵を発見したという地点に向かう。
そこは町があり、そこを守るように多数の兵士が配備されているという。
「これは凄い」
そのあまりの軍営の大きさにミハエルは息を呑んだ。どう考えても三〇万はいる。
よく偵察を行った結果、この都市を中心に巨大な防御陣を築いていることが分かっており、ジーマン軍は相当な苦戦が予測されていた。
地図にはその町がバラーと書かれていた。
ここは杖や防御魔法の展開装置などの魔王軍の中心的な兵器の一大生産拠点である。
報告を受けた統合本部は、ジーマン軍は最新鋭のZ5戦車を投入することが決める。まだ完全に兵力が整っていないもののこの戦車を集中的に配備した第二近衛戦車大隊を出撃させることが決定した。
また、率いている将軍の補佐として真一の配下の司馬懿が一時的に引き抜かれ、全軍の指揮を執る。
参加兵力
ジーマン軍
第一~六師団
それぞれが
歩兵6万
戦車50両(Z4戦車)
榴弾砲100門(75㎜榴弾砲80門 150㎜榴弾砲20門)
重機、軽機その他多数配備
第二近衛戦車大隊
Z5戦車を20両配備
第一独立師団
歩兵七千
戦車80両
榴弾砲25門
以上
このようにジーマンにとってはほぼ本土防衛用の戦力をさいた投入できる戦力のほぼ全軍が戦闘に参加している。
これを率いるのは将軍のクラウスと以前の会議に参加していなかったミンシュタインだ。
これの副官として司馬懿が付く。
ジーマンは総数五〇万近い兵力を投入したのに対し、魔王軍は兵力は偵察の結果から六〇万近いとされていた。なお、敵の指揮官は司馬懿が最も恐れていたスーザンだと分かっている。
この魔国の生命線の一つの都市に両軍合計して一〇〇万以上の兵士が激突する。
果たしてどのような結果になるかは未だに分からなかった。
真一が第一独立師団の主立った人間を集めて一言目にそう言い、皆に電文の紙を見せた。
「譲を殺した部隊が李典隊を壊滅させた鍵を握る部隊のようだ。その部隊の隊長の名はフィーリア。コットン王国の第一王女でコットン軍の中核を担う部隊を率いていたようだ、部隊の人間はかなりの精鋭揃いだからこちらは近代兵器を持っているからと油断して掛かるなと書いてある」
内容の簡単な説明をして、紙を皆に見えるよう回す。
司馬懿は現在、後方にて待機しておりジーマン国内での真一達の政治的なサポートに徹していて、第一独立師団の中心的な指揮はグデーリアンが執っている。
「この部隊は何でも瞬間移動でいる能力を持っているようだ。これ以上のことは今のところ分かっていない」
真一の敵の能力の面倒くささに誰もが唸った。
戦車にとって一番面倒な攻撃が後ろから攻撃されることである。実際、独ソ戦の戦車戦においても敵の戦車や対戦車砲といったものの待ち伏せによる後ろからの攻撃を一番警戒していた。戦車はその構造の問題から後ろからの攻撃には弱い。
その厄介な待ち伏せは十分な事前偵察さえあれば、大半は乗り切れることが出来る。
しかし、それはあくまでも待ち伏せに限った話しだ。
今回の敵は待ち伏せもくそもない。
瞬間移動なんてとんでもない技を仕える敵にどう対処すれば良いというのだ。
誰もがそんな心境であった。
悲嘆に暮れる皆の顔に気付いてか気付かずにか、真一が尋ねた。
「皆、この敵にどう対処する?」
しかし、誰もその問いに答える者はいない。あのグデーリアンまでもが黙り込んでいる。
「誰もいないのか?」
再度確認するかのように言う。
しかし、誰も答えない。そのような敵と対峙したこともないし、対策法も全く思いつかなかった。
「実は司馬懿からもう一通の電文が届いている。内容を聞く限りこちらが対策方法のようだ」
その瞬間、誰もが期待のまなざしで真一を見た。司馬懿の提案はどれも成功しており、彼女ならやってくれると誰もが期待したのだ。
「しかし、この電文の内容はかなり危険だそうだ。故に極力使わない方が良いと書いてある」
「何故だ?」
真一の意味深な言葉に守が反応した。
「今回、会敵するであろう敵の指揮官の中には司馬懿すら危険視している人物が何名かいる。この作戦はその指揮官達には間違いなく弱点が見破られる可能性がある作戦だそうだ。故に極力使わない方が良いらしい」
そう言って、真一はその電文を閉じて、自分の机にしまった。
「この電文を読むのは本当にこの部隊が危機的な状況になった時のみだ。良いな?」
「「「はい」」」
こうして軍議は終わり、それぞれが持ち場に戻った。
魔国領内で戦闘が始まり、早1週間が過ぎようとしていた。
「敵の部隊を確認しました」
第一独立師団の偵察小隊を率いていたミハエルの戦車の無線に指揮下の戦車から連絡が入った。
「よし、我々もそこに向かう。気付かれないよう監視を続けよ」
「はっ!」
すぐ近くにいたため合流は早くできた。
「どこだ?」
合流した二両の戦車はすぐに敵を発見したという地点に向かう。
そこは町があり、そこを守るように多数の兵士が配備されているという。
「これは凄い」
そのあまりの軍営の大きさにミハエルは息を呑んだ。どう考えても三〇万はいる。
よく偵察を行った結果、この都市を中心に巨大な防御陣を築いていることが分かっており、ジーマン軍は相当な苦戦が予測されていた。
地図にはその町がバラーと書かれていた。
ここは杖や防御魔法の展開装置などの魔王軍の中心的な兵器の一大生産拠点である。
報告を受けた統合本部は、ジーマン軍は最新鋭のZ5戦車を投入することが決める。まだ完全に兵力が整っていないもののこの戦車を集中的に配備した第二近衛戦車大隊を出撃させることが決定した。
また、率いている将軍の補佐として真一の配下の司馬懿が一時的に引き抜かれ、全軍の指揮を執る。
参加兵力
ジーマン軍
第一~六師団
それぞれが
歩兵6万
戦車50両(Z4戦車)
榴弾砲100門(75㎜榴弾砲80門 150㎜榴弾砲20門)
重機、軽機その他多数配備
第二近衛戦車大隊
Z5戦車を20両配備
第一独立師団
歩兵七千
戦車80両
榴弾砲25門
以上
このようにジーマンにとってはほぼ本土防衛用の戦力をさいた投入できる戦力のほぼ全軍が戦闘に参加している。
これを率いるのは将軍のクラウスと以前の会議に参加していなかったミンシュタインだ。
これの副官として司馬懿が付く。
ジーマンは総数五〇万近い兵力を投入したのに対し、魔王軍は兵力は偵察の結果から六〇万近いとされていた。なお、敵の指揮官は司馬懿が最も恐れていたスーザンだと分かっている。
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