魔法の世界で、砲が轟く

spring snow

第二話 緊急事態

 桜が咲き誇る春の暖かな朝。
 いつもと変わらない光景のなか、真一は譲、
 幸一、守と共に教室で話をしていた。


「定刻となりましたのでこれより、作戦会議を開始致したいと思います。まずは、戦況報告から致します。先日、発生したリア充増殖事件に関してであります。本クラスで誠に遺憾ながら、リア充が誕生したとの一報を受け、本官率いる水雷戦隊が出撃致しましたが、敵伏兵(クラスの女性陣)の視線の砲撃を受け、戦況不利と判断、撤退致しました」


 真一が言った。


「やはり奴らは伏兵を忍ばせていたか。となると予想以上に厳しい戦となるな」
譲が唸るように呟いた。


「我々の戦いはいつもそうさ。ここにいるのは、そんな中でも生き残ってきた精鋭ばかりだ。じっくりと締め上げれば、精鋭が揃うこちらが勝利する。なぜならこちらは失うものなど何もない。つまり防御を気にせず、攻撃できるのだから」


 幸一が楽しそうに語った。


「されど、油断は禁物。油断があっては勝てる戦も勝てんからな」


 冷静に守が言った。
 彼ら、哀しいかな、全員が年齢=彼女いない歴の歴戦のアンチリア充達なのである。
 彼らは、彼女を持たず 作らず 持ち込ませずの非彼女三原則の下、強固な連携を築いていた。
 そんな話をしていると、ドアの近くがざわめき始めた。


「ドアが空かねぇんだが、誰かイタズラしたのか?」


 ドアの近くにいた金髪のチャラ男が言った。
 彼の名は五十嵐 三郎。
 二股をしている変人四天王連合の要注意人物である。


「これは我が連合軍を撃滅しようとする一派の仕業では?」


 そう真一が言った瞬間、教室が青く光始めた。


「窓だ、窓から出られるかもしれん」


「ダメです!窓開きません!脱出不能!」


 大騒ぎが教室で起きるなか、真一達は冷静だった。


「とりあえず、外と連絡が取れんか?」


「ダメだな、携帯は圏外になっとる」


 真一と譲がそんな話をして、この異常事態に対処しようとしていた。
 なぜなら、指揮官は何が起ころうとも冷静に対処しなければならないという、軍隊の知識が彼らを冷静にさせていた。
 その次の手を下そうと真一が口を開いた次の瞬間、真一の視界は青に染まり意識が遠のいていった。



コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品