紫陽花の咲く庭で

ラテリ

アナタイロニソマッテク-1-

寒くなってきた。
街はもう、クリスマス一色。
ツリーや赤いブーツ、プレゼント袋。
もうすぐ、今年が終わる。

いろいろあった1年だった。
私史上最高に濃い1年。
・・・最後のクリスマスになるのかな。
ううん。最後なんて思っちゃだめ。
来年もその先も。この季節を迎えなちゃ。

切くんの彼女になって、わかったこと。
生きたい。ずっと一緒にいたい。
死にたくない。余命なんて無くしたい。

私、変わったなって思う。
せめて最期まではとか思ってたくせに。
少し前では考えられないくらい。
切くんのおかげ。

北風が吹く中、
茅ヶ崎駅で切くんを待ってる。
駅構内でも、この季節はやっぱり寒い。
・・・かわいく見せたいから、
ミニスカートにしたのも
原因だと思うけど。

今日は切くんとデート。
いわゆるクリスマスデート。

去年まで
クルシミマスとか中止のお知らせだった
私にとって、初めてのこと。
・・・きっと切くんも同じ。

遅刻なんてしたくないから
早くきちゃった。
・・・地元で駅まで徒歩なんだから
電車遅延とかもないのに。

周りにはラブラブなカップルが多い。
みんな幸せそうにどこかに向かう。
私と切くんもああいう風に見えるのかな。
見えたらいいなぁ。

目の前の改札から
たくさんの人が出てくる。
どうやら電車が着いたみたい。
切くん乗ってるかな?
・・・あ。いた。
なんかいつもよりかっこよく見える。
う〜ん、服装とか
あまり変わらないのに不思議。

「切く〜ん」

マフラー越しで少しこもった声になる。
それでも切くんは気づいたようで、
私に向かって手を振ってくれる。

「ごめん、待った?」
「ううん、私が早く着すぎて・・・」

待ち合わせの時間まで
まだかなり余裕がある。
切くんも切くんでかなり早く来てる。

「そうか」

そう言いながら、切くんは視線を逸らす。
顔が紅い。照れてる?

「どうしたの?」
「え?いや、なんでも・・・ない」

持ってる服で
1番かわいいだろうと思った服。
スカートでちょっとあざとく。
気合いも入れて、
流行りの香水なんかもつけてみた。
効果はバツグンらしく、
切くんは視線を逸したまま。

「せっかく切くんのために
かわいく着飾ったのに〜。もっと見てよ」
「か、可愛過ぎて。
それにいい香り・・・」

すでにノックアウトのようで。
やりすぎた?切くん、弱いなぁ。
からかうの面白いし、
もうちょっと遊んで見よう。

「ほ〜ら。顔こっち!」

切くんの顔を掴んで私の方に向ける。
すごい顔紅い。かわいい。

「手、や、柔らかい・・・」
「そっち!?」
「え?い、いや、
香りも見た目も
直視できないほど可愛い・・・と思う」

最後の方はほとんど聞こえなかった。
聞こえなかったけど、なんとなくわかる。
これ楽しい。すごい美少女になった気分!
私ってましょーの女?

「もう〜。
この後、私とずっといるんだから、
ちゃんと見てよ〜」

ちょっとだけほっぺたをつねる。
切くんは痛そうにしてるけど笑ってる。
こんな時間がもう幸せ。

「じゃ、行こっか!」

十分、切くんで遊んだし。
まずは私のよく行く古書店に。
駅の出口に向かおうとして気づく。

・・・すごい見られてる。
あいつらイチャイチャしてるって視線。
切くんをからかうのが
面白くて忘れてたけど、
そうだった。
ここ、人通りの多い改札前だった。
さっき、ラブラブに
見られたらいいなって思ったけど、
実際に見られると恥ずかしい・・・!
う〜。地元だから
知ってる人にも見られてたかも。

私は切くんの腕を引っ張りながら、
逃げるように駅を後にした。

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