紫陽花の咲く庭で

ラテリ

突撃!咲!


ガチャ

静かに部屋に入ると、
切くんしかいなかった。
彩の言うとおり。
・・・何かに夢中になってるのか、
私が部屋にいることには気づいてない。

「もしもーし」
「!?」
「やっと気づいた!」

切くんの反応が面白い。
こう、大げさというか、そこまで!?
って、感じ。

「え?え!?なんでいるの!?」

彩に言われてなんて言えないし、
切くんが私を好きだから・・・
いやいやいや!
無理無理無理!

「え、えーと。その、ほら!
こういう旅行の定番じゃん!
違う部屋に遊びに行くの」

無難な答え・・・だよね?

「そ、そうだけど、なんでここに?」
「え!?えーと、他に親しい人が
いる部屋がなかったから?」

や、やばいかも。意識すると、
いつも普通に話せてたのにそれも
できなくなる・・・!
と、言うか、今、
親しいって言っちゃった・・・!

「ほら、この合宿って私たち以外、
運動部だから。切くんたちの
部屋ぐらいしかないかなーって」
「あー、そっか。たしかに」

あ。期待の眼差しが冷めてくのがわかる。
えーと、話題!何か話題!

「そ、そういえば、
仁くんとか他の人は?」
「さぁ?まだ戻ってきてない」

いないのはわかってたんだけど。
・・・ひょっとして彩と一緒に覗いてる?
そうおもってチラッと後ろを見る。
ドアは閉まってる。
じゃあ、盗み聞きしてるか
私の部屋か・・・どっちかな。

「ええと。そうこれ!長く借りてるけど、
少しづつ読んでるよ」

私が後ろを向いて、微妙な沈黙が
あったからか、切くんは私が
貸した本の話題を振ってきた。
あ、さっき、それ読んでたんだ。

「ほんとに!切くん、読書とか
しなさそうなイメージが
あったからちょっと意外!」
「たしかに、文字ばかりの本は
読んだことなかったなぁ。
マンガならよく読むけど」
「そうそう。そんなイメージ。
あとエッチな本も」
「ぶっ!」

男の子ってそういうもの・・・
って彩が前に言ってたような?
でも、私もそんなイメージ。

「バスの中でも言ったけど
読まないって!」
「ふふ。ほんとかなー?」

ちょっと、あざとく笑ってみる。
切くんの表情をみるとニヤけてる。
わかりやすい。

「ほんとほんと。と、いうより、
年齢的にまだ読めないじゃん!」
「あ、たしかに!」

とは言うけど、こう、
ベッドの下とかに・・・はベタすぎかな。

「で、この本、まだ読み終わるのに
時間かかりそうだから、
しばらく借りていい?」
「いいよ!私はもう読み終わったし、
続き読んでるから」

彩も真紀ちゃんも読まないジャンル
だったから、仲間が増えるのは嬉しい!
い、今なら勢いでいけるかな・・・?

「あ、あのさ。切くん」
「え?」

じ、自分を好きって知ってる男の子に
連絡先を教えるって、半分、
認めてるようなものだよね・・・!

「な、なに?」
「私の・・・れ、連絡先。
お、お、教えるね。
ほ、ほら、夏休みだし」

う、うつむきながら、切くんに
スマホを向ける。
ダメ!直視できない・・・。

「そ、そういえば、
交換してな、なかった」

そこからは記憶がなく、
気づけば自分の部屋の前にいた。
スマホをみる。そこには、
新しい連絡先が追加されてた・・・。

(ちょっと冷静になろう)

今、部屋に入って、
彩に顔を見られたら、
絶対おもちゃにされる。
だって、心臓バクバクだし、
身体熱いし・・・顔も絶対赤い。
それでも、やっぱりどこか嬉しかった。
なんでか・・・は、わからないけど。

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