紫陽花の咲く庭で

ラテリ

夏合宿!-3-


目的の宿に到着した。
イコール、幸せな時間が終わった。
そして、口の中にはまだ
唐辛子の味が残ってる・・・。

すでに時間は午後。
この後は荷物整理して、風呂とか飯とか。
部活は明日だけだ。最終日は帰りに海。
・・・ほんとに合宿という名の旅行だな。

「ほら、切。ここで咲の
荷物を持ってやれよ!」
「たしかに・・・!」

バスの下にある収納から
各自の荷物が出てくる。
咲は自分のを見つけたようだ。
桜色で可愛い大きなカバンだ。

「あ、あのさ、重そうだし持とうか?」
「えっ、いいの?ありがとう!」

自分のと、咲の。
これは思った以上に・・・重い。
が、持つといったからには頑張らねば!
いいとこ見せるんだ!
そう思うと、不思議と
力が湧いてくる・・・!

「ほら、頑張れよ、切。
こんぐらい軽いぞ?」
「誰のだよ、それ。彩のか?」

仁も仁で誰かの荷物を持ってた。
シンプルな紺色のカバンだ。
・・・色的に彩じゃなさそう。

「真紀のだよ。重そうにしてたからさ」
「あたしのは誰が持って
くれるんですかねぇ・・・」

後ろから怖い感じの彩の声。
とはいっても、さすがに3人分は厳しい。

「彩は・・・頑張れ。彩なら行ける!」
「なんで!?あーあ。優しい男子急募」

とは言うものの、後ろを見ると
キャリーケース。ゴロゴロと音がしてる。

「それは持つ必要ないじゃねーか!」
「仁に激しく同意!」
「えー、代わりに引いて
くれてもいいじゃん」

そんな彩をスルーしつつ、
俺らは中に入った。

「ありがと〜、助かっちゃった」
「・・・ありがとうございました」
「おう、いいのいいの。気にすんな!」

文芸部の3人はこの部屋で寝るらしい。
いたって普通の和室。
高そうな壺とかは置かれてない。
・・・ここで今夜、
咲が寝るんだと思うとドキドキする。
寝顔、可愛いんだろうなぁ。

「切くーん。仁くん、行っちゃったよ」
「え?あ。じゃあ、またあとで!」

マヌケな顔を見られたかもしれない。
・・・上目遣いで名前を
呼んでもらえたし、どーでもいいか!
・・・ほんっと可愛いかった。今。
理性失いそう。

足取り軽く、自分の部屋に移動する。
咲たちと同じような部屋だ。
仁とは同じ部屋。すでに荷物を置いて
整理してる。

「ふぅー、荷物、結構重かった」
「そうか?真紀のは
そんなでもなかったが」

明らかに咲のは重かった。
本でも大量に入ってたのか。
ちょっとカクカクした感触があったし。

「あ、これ、飴残ってるけど
舐めるか?」
「・・・あんな思いしたのに
舐めると思うか?」

よく見ると、仁が持ってる袋には
闇鍋飴って書いてある。

「なんだよ、その危険な名前!
それ絶対まだハズレがあるだろ!」
「大丈夫だって。唐辛子が
1番やばいのだから」
「・・・ほんとか?
じゃあ、まぁ、1個だけ」

差し出された黒い袋から、
恐る恐る飴を取る。
・・・包に星とかはついてない。
不安しかないが、舐めてみる。

「何だった?唐辛子以外は
舐めて見ないとわかんねーんだ」
「・・・ハッカかな。おいしい」

予想に反して、いたって普通の飴だった。
突き抜けるような爽快感。

「唐辛子といい、ハッカといい・・・
眼、覚ませってことじゃね?」
「占いか!じゃあ、お前も舐めろよ」
「俺は昨日舐めてケチャップ味だったよ!
トマトが効いてたぜ」

・・・ほんとにいろんな味が入ってるな。

「俺が唐辛子とハッカで眼を覚ませなら
ケチャップ味はなんだよ」
「闇鍋占いか。
うーん、ケチャップ・・・血?」
「怖っ!他にあるだろ、例え」

そんなくだらない話をしていたら、
風呂飯の時間になってた。


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