ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第76話空中遺跡調査Ⅱ

ピッチャンーーっと水滴が落ちる音が単直に鳴る。
遺跡内を探索する、だが、碧絵が最初見た場所以外は見当たらない。


うーん、無いよなあ...


レクトは頭を軽く描いた
碧絵は、最初見た場所以外見当たらない、あるのは生い茂るコケだけだ
調査するにはまだ情報が足りない...
戻るにしろ、アリスに怒られるに違いはないだろう。


背後ではダークネスは、ゴソゴソしながら床を仕切りに触っていた。
碧絵を何かを意味してるっと思い、探る...。一応、切り目はあったが、開くキーが無いためこうなっている。


辺りの碧は、すべて見たしな...他には何にもないしな...っと思って居たら、よく見ると前方に碧と同化していてわからなかったが碧にレバーらしき棒が下に向いていた。


レクトはそのレバーまで歩き、下に向いていた棒を掴み上げようとするがーーー


お、重い...っ!!


レクトは、黒い棒から一回手を離す
中々な筋力要求値に、頭を抱える


錆び付いているせいか、やけに重いな...まるで岩を引き上げるようだな。


レクトの筋力は既に1000まで達成しており、合鉄を剣で切り裂く位の力は付いている。だが、それ以上となると...妖精だけでは持ち上がらないだろう。


だが、諦めが悪いレクトはーーー


息を吸い、その下向いた棒を両手で掴み、思いっきり上に引き上げるーー


メキメキっと言う音が鳴る、ダークネスは持ち上がる床にまったく気付かない。


ふっ...ぎっっっっ!!


全力で前歯を噛み締め、力を全開して引き上げる、レバーの棒は半分まで上がり、ダークネスが入る床は少しずつ急斜面になる。
そして、レクトは絶叫を上げるーー


『あぁぁぁぁぁぁぁーーー!!』


バギンッ!っと音がなり、レバーの棒は完全に上に向き、へし折れる。
レクトは、尻餅、ダークネスは天井に向かって勢いよく吹き飛ばされ、衝突轟音を鳴らした。


あっ...やりすぎた...。


その数分後、パラパラっと砂を天井から落とし、床に向かってべチャン!っと全身着地するダークネス。


『......』
『だ、大丈夫...か?』
『うん...』


おっ?泣かないのか...。
ダークネスは、ゆっくりと体を起こしてレクトを向く。
涙目になりながらだが、痛みに耐えていた。


『強いな...』っとレクトは口からそうこぼした。


開いた床には、さらに下に通じる通路が姿を現した。あんな仕掛けで、空中遺跡の中層部が隠されていたなんてな


レクトはウィンドウを開き、ストレージから『ポーション』を選択し、右手にオブジェクト化した。
それをダークネスに、手渡すが何故か...微妙な表情を浮かべた。


『うわぁ...ポーションかぁ...』
『苦手か?』
『うん...味かね...』


ポーションの風味は、ランダム式だ
その中でも『漢方風味』がハズレである。だが、完全回復効果を得られるのでポーション効果をずば抜けている。
とあいえ、『漢方風味』はユーザーからの批判が相次いだ。『こんなクソまずいのは現実だけにしてくれ』だの『不味すぎて、リアルでゲロ吐いたぞ...』っとか批判というより、味風味が強すぎるっと言いたいのだろう。


渋々な顔で、ダークネスはポーションの栓を抜き取り、口に運んだ。


しばらく静寂になる、そして、ダークネスは飲みきり空瓶を静かに床に降ろしたーー


パリィンっと音声がなり、空瓶は光粒を放ち消失した。


ど、どんな味だったんだーー?


ダークネスはレクトの顔を向き
微妙な顔付き飲んだ感想を言った


『甘酸っぱかった』


それを聞いて、レクトは理解する
多分『青春味』っと言う甘酸っぱい味がするらしく、飲んだユーザーは異性パーティー組んでいる場合、能力が強化され、自動回復が付く...一応当たりっと言う事だろう。


回復も済んだことだし、先に進みますかーーーっとレクト一行は階段を踏みしめて五段目に足を降ろすと...。
ガダンッ!っと言う音がなり、足場の階段が無くなり、急斜面の滑り台に早変わりする。


『うぉぁぁぁぁぁーー?!』っと絶叫


シャァァァァーーーっと音を鳴らしながら一気に滑る階段の先に抜け出る。


尻から着地を果たす、ゆっくりと立ち上がりながら尻を触る。


いてぇ...あれ?何か...二つに割れてねぇ?俺の尻!?


そのあとから続く様に、ダークネスが滑り落ちて来て、尻から着地かと思ったが...普通に足で着地。レクトは言葉がなかった。


運動神経がこうと違うと、リアルでの運動神経があまり高くないと感じてしまう。仕方ないのである、元ニートのゲーマーでもあるし、並大抵リア充より以下の筋肉数値だ...ニートは元から無理をしない主義である。っと言い訳を内心に留めた。


仮想世界なのにーーー


空中遺跡の中層部、光る花が咲く。
道筋を照らすように、一直線に咲く
レクト一行は、その光る花を頼りに進むと...再びひらけた空間に出る


やけに広いな...まるでボス部屋みたいだなーーー。


見渡す限り、何も感じられない
ただ、水が流れている音だけがなる
キョロキョロするダークネスは、ある小さく赤く光るボタンを見つける
それを興味本位で押すとーー。


点火柱に赤い火が点火、薄暗い空間が明るくなる。 それと、同時にーーー天井から騒音が鳴り響く。


明るくなったな...?


レクトの索敵スキルが反応を示す
それも、天井を示していた。
軽く舌打ちをして、ダークネスに振り向く


『ダークネス戦闘準備をしーーろ?』


ダークネスの指先にレクトの視線が止まる、なんとなくだが...ダークネスが押してしまったのは『起動式トラップ』っと言う押しボタン式のトラップだ。必ず『絶対に押すな!』っと文と矢印が書かれている。
だが、この遺跡には苔が生えているため、本来書いてある字を隠している。


多分、幼女だから...分からなかったに違いない『興味本位』で押したんだろうな...。戦闘はちゃんとしてんのにな


ダークネスは首を傾げてレクトの顔を眺めて『どうしたの?』って言った


うーん...なんだかなぁ...。


そんな最中で、天井の敵はようやくレクトの背後で着地する。
重低音を鳴らし、砂混じりの風が吹き荒れる。



ーーーー


戦闘態勢に入るレクト一行、前衛はレクトで離れた位置からの魔法攻撃はダークネスが行う。


敵は中ボス《GREEN・Fish》っと書かれた名前。緑の魚の意味はそのままで魚型のモンスター。だが、どちらかと言うと黒いラインが一本ある為、ブラックバスに近いのである。


奴は風属性か...火属性で戦えば有利か


だが、ダークエルフは闇属性スキルが特化された種族だ。火属性を持つスキルは二種類しかない、しかも単発スキルで威力もさほど高くは無いーー。


先手、緑の魚ははレクトに突撃してくる、それを回避して一撃を振り払う。
《Rescore》っと緑の魚を切った場所から表示された。


リスコアーー、武器耐性があることを意味して与えるダメージが低いことを表す。詰まりレクトの斬属性は緑の魚には効きづらいことを表していた


相性最悪かーーー


尽かさず、レクトは剣を構え直して
赤いフェクトを光らせて、単発に突進する。緑の魚に突き刺す...がこれも《Rescore》っと表示される。


突属性も効かないのか!?


緑の魚から、尾の薙ぎ払いをレクトは喰らい床を転がる。
ダークネスは、即座に回復呪文をレクトに充てる、レクトは体を起こし立ち上がる。


武器二種類耐性がある、俺には最悪な相手だな...。まずいなーー。


『レクト、このままだと...制限時間が切れるよ』っと背後からダークネスの声が飛ぶ。そう、画面内に制限時間がカウントされていた。
制限時間は15分以内で倒す事だ、まだあと9分半ある...策を練らないといけない。


まだ試したことがない魔属性がある
そこに、掛けるしかないーー。


そう思うが、緑の魚は、レクトの魔法をキャンセルアタックしてくる
回避し、魔法唱える、緑の魚の魚の体当たりを喰らう。この繰り返しだ


あれよと間に3分を切っていた。


少しづつレクトは焦りを見せ始める
緑の魚のHPバーは、残り半割越えたイエロー。押し切るにしても、3分では間に合わないだろうっと思えた。


魔法に反応するせいで、上手くいかないな...。


レクトは剣で、緑の魚の攻撃を弾き効きづらいスキルを放つ。考えながらの回避行動は追撃を受けかねない、精一杯の防御っと言えるだろう。


バックステップ、緑の魚は跳ねながら突撃、レクトは剣を回転させフェクトを光らせながら、緑の魚の頭に突く。


緑の魚は、後方に吹き飛ばされる。
その瞬時にレクトは、ウィンドウを開き自分のアバターが表示される。
武器項目を選び、タップ、スライドして左手に装備し、オブジェクト化してウィンドウを閉じる。


左手に青白い透明な剣型のホロウ映像が現れ、そして、具現化する様に白い剣が姿を現す。


背中越しで後ろを振り向きダークネスにこう言う。


『ダークネス、回復じゃなくて魔法攻撃に専念してくれ』
『え?大丈夫なの...?』
『大丈夫もなにも、時間内で押し切らなきゃ先に進めないだろ。安心しろ...俺は全力で行かせてもらうだけだ』


その言葉を聞いたダークネスは、言葉を詰まらせた。その発言自体が何故か自信があるように、けして負けないっと言う重さが伝わってきた。



まるで、ゲームじゃない様な本気だーー。


レクトは、二本の剣を構えて地面を蹴飛ばす、ズバンッ!っと言う衝撃音は遺跡の壁を反響し震える。


緑の魚の頭を踏み越え、高く飛び上がる。そして、左右の剣を赤く焼け切るような強いフェクトを放ち


右手の剣を振り抜き、一つの衝撃波を飛ばす、緑の魚の半身を切りつける
更に、左手の剣も同じ様に衝撃波を飛ばす。同じく2重に半身を切りつける緑の魚はレクトにダゲを飛ばし、体制を変えずに飛び上がる。


レクトは、両手を頭上より高く二本の剣を重ね合わせる。迫り来る緑の魚背中、レクトはその体制のまま崩さない


まだだ、放つまでは早いーー


ダークネスは、合わせる様に魔法を唱える。足元に赤く染まる魔法陣が展開
指先を緑の魚に向け言い放つ。


《フレア》


巨大な火炎が、緑の魚に直撃し、空中で火炎爆発、轟音を鳴らす。
そして、レクトは後に続く様に、強く光る無色透明の一撃を両手から、緑の魚に目掛けて振り落とす。


ズッドン!っと言う重低音が鳴り響く


レクトは、床に着地して立ち上がる。
そして、画面内にあるタイムを眺める


止まってない...?!


あと1分を切っていた、焦る気持ちは
レクトだけでなく、ダークネスも同じだった。
当然、二つ目の赤い光はまだ消えてない...HPバーに視線を向けるとあと一撃分残っていた。
そして、ダゲを飛ばしたのはダークネスに向かって突撃し始める。


『わ、私を狙うの?!』


レクトは、二本の剣を構えて先回りして、突撃する緑の魚を二刀で弾き飛ばす。静かに息を吸い、吐くーーー



《ナイツ・オブ・バースト》


銀色に輝く刀身は、高速な連撃を放つ
威力が高いせいか、壁は震えビリビリと音を鳴らし、息を呑む様な重低音も鳴る。だが、無属性スキルで属性があるモンスターを倒すなんて不可能だーーー。


だが、そんな『非常識』を取り入れれば...ありえない形で勝つかもしれない
そんな僅かな、可能性で振り下ろす二刀はーーー希望に満ちていた。


スキル終盤、鋭い一撃を振り抜き、射抜くような突きを放った。
緑の魚は、上空に吹き飛ばされ光粒を放ちバァンっと音を鳴らしその姿を消した。


そして、画面に映る『clear』っと言う文字と獲得報酬ウィンドウが現れた。

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