ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第73話招き入れる人物

今日は学校を休んだ、精神的によく分からないからだ。ーーーっとありがちな理由を言って課題から逃げたい。


そして、今日はもう一人助っ人を呼ぶ為...とある喫茶店に向かう準備をする
実は、ビルガドールが《帝国戦記》を辞退した...。詰まり、クエストを破棄したのだ...理由は分からないが多分アバターを守る為に一人で敵と戦っていたのだろう。まぁ、俺もシャルネットに任せたまんまだけど...今どうなっているのか検討もつかないけどな。


黒い半袖Tシャツと黒いズボンの格好で、玄関を出て鍵を閉め、マイチャリのキーを差し込み解除する。
ゆっくりと跨り、ペダルを踏み漕ぎ始める。


街並みは壊滅当初よりも、だいぶ建造物が増えて人通りもそれなりに取り戻しつつある。漕ぎ続ける事ーー10分
ようやく、向かっている喫茶店にたどりつく。自転車を路地裏にある駐車場に止め、後輪をロックし鍵を引き抜く。
少し歩き喫茶店のドアを引き中に入る
各店員は接客しながらも『いらっしゃいませ』っと言い『おひとり様ですか?』っと若いお姉さんが更に言う。
空斗は『いや、違います。待ち合わせの人が居るので...』っと答えると『そーですか、分かりました』っと満面な笑をするが、何故だろうか...その笑から殺意が感じ取れる。とゆうか、お姉さんの非リアがバレかねない様な顔の引きずり加減が何とも言えないな。それはさておき、窓側にある席に居るってメールで来ていたけどな...


レクトは窓側の席に向かって歩きながら、見渡す...。店内BGMが程よく流れる中で、その子を探し始める
だが、見た目や容姿が全くわからなく
困り果てる。一応、書いてもらった文には『わかりやすい、制服』っと単直で簡略的に書かれている為分からない。ーーっと一人の少女が店に入店
それと同時にレクトは後ろを振り向き、すぐに分かった。


見た目はブレザーで、やや茶色ぽい髪色で前髪をヘアピンを右側に二つ色違いで止めており、首筋が見えるくらいの短さの髪型をしている。


二人は視線が交差し、指先で座る場所を少女は指示する。レクトはその場所に座り、テーブルを挟んで間迎えにその少女がゆっくりと座り言う。


『で、何のようなのよ?』
『まず、急に呼び出してすまない』
『ほんとそれ、押しが強いと女の子に嫌われるわよ』
『肝に銘じます...』


少女の名は瀬那晴香、プレイヤー名はセナ。《アフターライフオンライン》での序列2位プレイヤー。銃に関しては中々の扱いで、殆どのユーザーには不可能と言われている《無限ライフル射撃》のスキルを持つ強者。二つ名も存在しており《無双の弾丸セナ》っと異名もある。
それで、俺がアフターライフオンラインで序列1位になった時に直接文句を叩き込んだ子でもある。余りにも、毎日病室に来るものだから、メアドを書いた紙を瀬那の顔に張り付けた記憶がまだ新しいほうだ。
あの事件後、アフターライフオンラインの運営に警察が強制執行で立ち入り調査を始めた。結局繋がりは...あの世界のキルを犯していた人物、その証拠が沢山出たらしい
それで、今やアフターライフオンラインは《ガンライフオンライン》っと名を変えて新たに配信された訳だ。
そこで、セナ様は...再び返り咲いて今度こそ序列1位を手にしたって事さ


空斗は、話を持ち直して言う


『えーと、とあるイベントに参加してもらいたくてね...』
『それなら、貴方の付き人で事が足りるんじゃないのかしら?』


店員は、メニュー板をレクトに手渡す
『ご注文お決まりでしたら、テーブルのベルを鳴らしてください』っと言いその場を立ち去る。
レクトは、困り果てたような喋り方で話す


『いや、それでも...ダメなんだ』
『理由は?』
『まず話す前に、ファクトリーオンライン...略称でFTOを知ってるか?』
『知ってるわよ、最近リリースされたVRゲームよね』
『そうか、知ってるなら話を纏めるぞ、FTOにある《エクストラクエスト》にある《帝国戦記》と言う特集なイベントを俺達で攻略してる真っ最中なんだ』
『それで?』
『クエストを進ませてるんだが、これがおかしくてな...。このイベント本来なら《追尾体験》型で、過去から滅ぶまでのストーリーを体験出来る仕様なんだ』
『待って、『本来なら』って...じゃ今あんた達が行っているイベントって『筋書き仕様』じゃないって事?』
『話が早くて助かる、その通りなんだ。本来なら『記憶追尾』が『その後追尾ストーリー』ってなっている。その証拠に、ジャッチマスターは記憶の一部が破片化、ありもしない召喚獣の出現、そして、人種がない世界で突如捕えられた少年。これらが何らかの関係があるとおもうんだ』
『それで、なんで私の力が必要なわけ?』
『セナ...いや、アフターライフオンライン唯一のスナイパーさん。俺には、君の力が必要なんだ...理由を言えばーーあの世界でこのままだと大戦が起きる、戦力の要としてセナ...君が必須なんだ』
『大戦...?いや、君の推測はなかなか凄いかもしれないけど...私的にはありえないわよ』
『それでもなんだ...頼むよ』
『ふーん、それで私に何をしてくれるわけ?』
『へ?』
『私が力を貸すとすれば、それなりの取引が必要よね?考えとくわ』
『えっ、ちょっと瀬那さん...?』
『私を使うからね...高くつくわよ』


瀬那の楽しそうな顔つきに、少し気が引けた。何となく、恐ろしさを感じた
っと思い間もなく、瀬那がデーブルにあるベルを鳴らす。


店員が厨房から出てきて『ご注文は決まりましたか?』っと言う
瀬那は、メニューを見ずに『特大パフェ一つお願いします』っと淡々と店員に注文を伝えると、店員は『承りました』っと言いながらメモ板に記載して厨房へと足早に戻った。
レクトはメニュー板を開き、特大パフェの存在を目の当たりにする
段重ねになったアイスとフルーツが積み重なり、その上層部は生クリームがどっさりと置かれ、デコレーションにポッキーやイチゴムースなど盛られていた。


胃がもたれる...こんな食べ物、俺の危険信号スカウターが鳴るぞこれ!?
瀬那...お前は甘い物が好きなのか?いや、女子は基本好きだよな。
まだ昼前、これ食ったら...梨紗が作ってくれた弁当が食えなくなる、だが、これを食わないってわけには行かないだろ、確実に、回避できない!


あぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!


空斗の内心は絶叫を上げる、だが、そのパフェの値段を見て驚愕する


一、十、百、千...万...?


指を添えて改めて確認する
やはり、万単位の額に違いなかった


1万円パフェだと...っ!?


頭上から雷が落ちる衝撃を受けた
空斗の1ヶ月分の生活費が瀬那が注文した巨大パフェに匹敵していた。
流石に、男子高校生お財布事情は儚くふところが限界水準だ...。因みに、空斗の全財産は1万と三百円しかなく、1万円を支払えば財産三百円暮しが始まる。


ぐっ...まさか、瀬那...これを狙っていたんじゃないだろうなーー?


空斗は、瀬那の顔をチラッと見る
無表情で、スマホを弄り倒す
そして、視線に気づき『何見てるのよ?』っと感情がない棒読みで言われた。『な、何でもない』っと言いながら自分もスマホを取り出しす。


ロック画面を解除後、LAGMの通知一つ出る。アプリをタップし、確認すると梨紗からだった。
メッセージ内容はこうだった
『今日休んだの?先生からプリント手渡されたから夕方届けるね』


空斗は『分かった』っと返信する
メールでのやり取りもするが、たまにこういったSNSを利用する時もある。
こうしてる間にも、巨大パフェがテーブルの上にご登場だ。
改めて見ると、デカさが伝わってくる


エグい...こんなに誰が食べるんだ...?っと思っていた空斗だったが、瀬那がパフェ用スプーンを手に取り食べ始める。みるみる減って吸い込まれるように瀬那の口に運ばれ消えていくようにパフェの中身が存在がなくなった。5分かからない内にぺろりと完食
した、瀬那を唖然として顔を眺める空斗ーーー。


『さて、小腹は収まったし...メインをーーー』っと瀬那がメニュー板を手に取ろうとした瞬間を空斗はメニュー板を手早く取る。
そして、顔を引きつりながら言う


『ちょっ、ちょっとまて!』
平然とした顔つきで瀬那はなによ?っと言わんばかりの顔つきをする
空斗は『なぁ?さっきのパフェ...どこに消えた...?』っとゆっくりと言う
瀬那は『私の体内よ』っと軽々とした口調で言いながら『で、何故にメニュー板を大事そうに抱えてるわけ?』っと目を細めながら言う


何故ーーあれだけの物を食って足りないのか?っと口から出かけるが、飲み込み抑えて別のことを話す


『足りないのか...?』
『何が?』
『パフェだよ、あんだけ食べて...小腹程度っておかしいだろ』
『おかしい?そうかしら、私からしたら足りない方だと思うけど...』
『甘い物が好きなのは分かるけど...普通女子ってカロリーとか気にするところだろ?そんな感じでいいのか?』
『確かに、そうかもしれないわ、カロリーとかそうゆうの気にするのが女子かもしれないけど...それはあくまでも《概念》よ!』
『なんだと...?』
『時には食べたくなる...ダイエットしてる子ほど意欲が膨大に膨れ上がる。私は、ダイエットはしなくてもいい体だけど、糖質を食わないと思考が回らない。そう詰まり、私は脳にエネルギーを与えるために食べてるだけよ』っと言い空斗のメニュー板を奪い取りベルを鳴ら、来た店員に注文を言い伝え、メモ帳に書いて店員は厨房へ歩いて戻る。


飛んだ理屈を並べられ、出る言葉がない。空斗は席を立ち上がりテーブルの上に300円を置いて


『札が崩れてないし、食べてもないけど...取り敢えずこれ置いとく。じゃ、ちゃんと来いよーーー』っと優しい声でいいながら店を抜け出る。瀬那は、その300円を眺めながら
『はぁ...またやっちゃったかな...』っと小さく呟いた。


空斗は、どこにも寄らずに自宅マンションに一直線に帰る。
自宅の鍵を解除して、鉄扉を開けて中に入り、鍵をかける。
靴を脱ぎ捨て、すぐ目の前にある扉を開き、少し歩き椅子に腰掛けて、くるりと回転し、机の上にあるパソコンと向き合う。


さてと、調べますかね...っとパソコンの電源ボタン押した瞬間ーーー
変な音が鳴り響いた、モニター画面がブロックノイズで起動画面がズレを演出する。その後、画面が静止画見たくフリーズしたまま起動した音声だけが流れる。そんな状態を空斗は確信する


クラッシュしたな...っと椅子から立ち上がり電源プラグを引き抜き、ドライバーを引き出しから取り出して中を開く。無数な線が貼りめぐる中で、大きな円盤見たいのが目に止まる。それをよく見ると、黒く焦げているのがわかる...、恐らくショートしたのだろう。
専門外技術のため、直せるわけなく
空斗は、開けた中身を再びドライバーで閉めて元の位置に戻して、ベットの上に背中から倒れ込む。
時計は一時を示していた、仕方がなくレクトはメガネ型ギアを手に取りファクトリーオンラインへダイブする


目を開けたレクト、周りを見渡すと...生気がない枯れ木はすべて蘇り
分厚い雲は消え、日差しを取り入れ青空を見せるまで雲がない。
そして、シャルネットはレクトの目の前に現れて話し出す


『ようやく起きた!待ってたよ』
『お、おう...それで、何があったんだこれ?』
『システムが追加されて更新されたみたい、どうやら《帝国戦記》の続きが今回の更新で出来る見たい。私達は《その後ストーリー》って思っていたけど、《序の章》だった見たいよ』
『序の章か、その後ストーリーと何が違うんだ?』
『その後ストーリーは、本当はジャッチマスターが死ぬ瞬間を目の当たりにして終わる。だけど、序の章だとそこに続けるように追加された話があるって事ね』


...って事は、死都の跡に新たなストーリーが展開されるって事か。


シャルネットは、主つかない顔つきで『でも、まだ公式に発表されてないストーリーです。しかも、登場するNPCさんは...普通とは違います』っと言う。


公式が発表してない...?
どうゆう事だ...発表してないイベントの追加と更新...。
シャルネットがあんな顔するって事は
相当おかしい事がわかるな...


レクトは、立ち上がり死都がある方に足を向ける。歩くこと数十分、死都の入り口付近が整備されており、見上げると空高く聳えた塔が見えるーーー


まるで、NSOのグランドタワーを思い出させる。ボロけた城跡では無く、全く別物を思わせる。


『シャルネットこれは...どうなってるんだ?』
『分からないわよ、でもあの塔の構造...NSOと同じもの』
『あの世界の...塔かーーー』


何故だろうか、久々に嬉しさを感じた
あの世界を最後まで攻略できなかったからーーー余計に感情が高まる。


だが、塔の前には兵士が二人立つ。
門番に違いはないが、中にいる筈の青年とジャッチマスターはどうなってかは分からないな


シャルネットは、あの門番兵士を眺めながら『やっぱり人種か...』っと小声ながら言う。


いや、人種か...って言うお前はそもそも同じく存在しない天種だろうが。
白い翼を背につけ、白い輪っかの空いた中心部はアホ毛は貫通してるし...何よりも天使なのに...胸幅が断罪的にない欠点は、運営の補正対象にならないってある意味悲しいヤツだよな。


『あ、なんかいやらしい視線感じますねぇ〜?』
ハッとした顔をして、シャルネットを見直して言う


『何でもない...ただ悲しい虚妄に狩られていた』
口先を尖らせながらシャルネットは『悲しい虚妄って誰のことかしら♥』っと深い笑を滲ませた


シャルネットさんは、何でもお見通しだ、ネットワークで生きる存在。
だから、レクトのスマホの画面内にたまに姿を現しては、寝たり、梨紗との通話中に変な声を出して乱入され誤解された事だってある。


ハッキリと言えばーービッチがある
...っと断言したい。
そんなことはさておき、身を潜めるこの茂みにも限界がある
何故ならば、見張りの兵士...やけにこの茂みを眺めている。その眼差しは、既に存在に気づいていたかのような目をしていた
だが、けしてこちら側に踏み込んで歩いてくる気配はない。
ただ立ち尽くしてる、ゲームシステムの仕様にそってるかのように。


さて、どう動くか...。
どちらにせよ、抜け出るのは難しいだろう。真っ向から、後ろにゆっくりと退避か突撃かの二択。


レクトは考えていると、門番の前に一人の黒い鎧を着た赤い髪女性が姿を現す。
その時、レクトは驚愕した顔を浮かべた、何故ならば、その女性の後ろ姿が夢で見たエンジュそのものだった。

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