ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第46話絶命の淵

荒れ果てた路面、割れたアスファルトを眺め行先を辿るように歩む。


周りには、破壊されたビルなどが多数ありまるで戦後の世界を物語っていた
現段階では、人が住めるのはごく一部のみ...それでも新都市に移住しない都民は諦めが悪いだけなのかもしれない


めくれ上がるアスファルトの先に一つの高層ビルが聳え立つ
だが、その目の前には大きな川があり
渡るための橋が崩落していて先に進むことは出来ない。


他のルートか...この地図崩壊前の奴だからほぼ使えない。
どう行くか...サバゲー並に地を這うか?


折れた橋の先端に佇む様に空斗は、そこに立つ。
見に感じるのは、強い日差しと少しだけ鉄臭い匂いを漂わせていた
そんな感じていると、突如何台という数の救急車のサイレンが鳴り響きこだまする。


間迎えにある高層ビル付近の通りを数台通り過ぎれば、数台また行く...。
まるで大複してるようにも見えた。


なんで救急車が...?っと思った瞬間
背後から殺意が滲み出るようなゆっくりと低い声で空斗に話しかけた来た


『おい、お前...レクトかァ?』


空斗は少々驚いた、知らない奴にアバター名を口にされた
少なくても、彼はアバター名を繋がりがある人以外教えてはいない


それに、このARは素顔がボヤかされてわからないはずだ。
なら何故、俺のアバター名を知ってるんだ...?


微動すらしない空斗に、その男は『ちっ、人違いか...?』っと舌打ちをしつつどっかに向かって歩いていった。


その数分後、空斗は微かに感じ取れる物があり...ゆっくりと地べたに座る


知ってる...?いや、俺を知ってるとすれば...NSOの世界しかない。
生存者だとすれば、あんなむき出しな殺意なんてサラサラない...
だとすれば...俺が倒したレットプレイヤーの誰かだ。


だが、確証がない...。
言い切る根拠もない、だとすれば...いったい誰なんだ?っと思わずにはいられない。


空斗は、ゆっくりと立ち上がり
自分の頬に軽く叩き気合いを入れ直す


後だ、今は...この戦いを終えてから真相を探す。


空斗は、来た道を帰るように辿り戻る
交差点の中央付近に差し掛かり、信号機は赤で点滅を繰り返す
さびつき始めた自動車が数台、置かれるようにその場に佇む。


すると、間迎え側から一人の男が歩き
ながら話す


『さて、この世界にも起きてしまった『死』。それを、君一人の力で救えるか?』
空斗に映るカーソルとランキング順位
が頭上に表示された


序列2位...。俺からにしたら好都合だな


『ふふっ、君の瞳には迷いがある。僕からすれば...迷ってる選択肢なんて時間の無駄。さて、英雄くんショーの開幕と行こうじゃないかーー!!』


散弾銃を片手に持ち放つ
弾丸は勢いよく放たれ、そして、枝分かれのように無数の小さい玉が飛び散る。


さぁ、回避が不可能な攻撃だ
君はどう躱すーー?


空斗は、もう一つの棒状の武器を左ポケットから引き抜く。
一つの刀身が現れ、無数の散りばめた玉をすべて弾いた


指関節を軸に回転させていた


引き金のリングを指を軸に回すとは中々...君、すっごくいい考え。


だけど、遠距離と至近距離とは全く違うってのを舐めすぎてるね?


男は、次々に銃弾を放ち始める
空斗は、軸に回していた剣を手に取り走りながら次々に弾丸をたたき落とす


またまだこれからだ!


さらに男は、早打ちを次々に繰り出す
近づけさせない様な攻撃に、空斗は走るのをやめて中距離付近で放たれた弾丸を打ち下ろし始める


『いつまで耐えられるかな?!』


弾数が無数にうち痺れるような衝撃が徐々に空斗を追い詰める
そして、腕の振りを緩めた瞬間右胸に2発の風穴が生まれた


実際に肉体に受けた訳では無いが、専用コート自体にヒットし、HPバーが約半分ぐらいまで低下した。
その後も、右肩に1発、左膝に当たり
体制を崩す空斗。


剣を地に突き刺して片膝を地についた状態で、その男が握る拳銃から白い煙が上がる


迫り来る男に、空斗は力任せに足に力を入れて踏ん張る。



『たっていられるのもやっとかい?』
『あぁ...仮想とは違い自分の身体能力を問われるこのAR。やっぱ俺には不向きだった様だな』


男は自信が握るトリガーを引き、ガチャっという音が鳴る。
そして、ゆっくりとこちらの額に向けて銃口を向ける。


『言い分はあるか?』
『あるとすれば...お前がなぜ誰かが死んだ事を知ってるんだ?』
『あ?』


空斗は、握りしめる剣を勢いよく引き抜き、男が握る拳銃に強く当てる
鈍い鉄音がなり、男は大きく頭上に腕が弾かれた



この瞬間を逃がさないーー!!


空斗は左手で握りしめる剣で、無数の連撃を男の懐に一気に叩き込む。


『ぐぁっ?!』
『うぉぉぉぉーー!!』


加速する連撃、容赦ない一撃、一撃が男のHPバーを大きく削り取る


これで、終わりだ!!


トドメの一撃を腹部に強く突き刺したまま廃墟ビルに向かって一直線に押しながら激突させた
崩れゆく廃墟ビルと砂煙が一瞬にして吹き荒れた。


倒した...のか...?
立ち上がって来る気配は感じない
だが妙な事に、奴が負けた気配すら感じない。


ただしきりに、砂煙が舞うその場所を眺めている最中ーー
背後に感じ取れた、また別のさっきに気付く。


空斗は、後ろを振り返るとそこに佇む大釜を持った白髪の男と視線がぶつかる。


妙な殺気を漂わせ、強気な姿勢を見せ付ける。
完全に舐められたようにも少なくても感じ取れた。


『ーーで?』
『......?』


白髪の男は、頭をガシガシ描きながら
話しだす


『あ?説明必要系か?短縮に短くわかりやすく説明すりゃ...『狩り』に来ちゃいましたって事かぁ。』
『狩り...?な、何言ってんだお前?』
『狩り』だよ狩り。生物を殺す...理解できないわけないよな?』
『分かるが...。殺せるはずがないだろ?アバターが身代わり、実物だとしてもこれは映像投影されてる武器だ。殺傷能力なんてないだろ』


空斗の発言を聞いて、笑い始める


『な、何がおかしいんだ...?』


笑い飛ばしながらあることを言う


『ばっかだなおめぇー、普通路線ならそうだぜ?だがな、けして普通じゃねぇ事が無いわけじゃねぇ。』
『何が言いたい?』
『実物財産って言葉わかるか?実物...詰まり物に財産の塊がつぎ込まれてるって事さ。つまり今俺が持ってる、此奴は...実物さ』


空斗は耳を疑った、それは違反と言えるべき愚行な行為であることを...。


あの時の大量の救急車と白髪の男が放つ異質感で殺意がむき出しである彼を見ればそこの全てが重なる。


つまり、死を起こし招いた張本人だという事だった


普通なら、イベントが中止レベルなのに...なぜ行われてるんだ?
疑問を、抱かないわけにはいかない状態に陥ってはいた空斗だったがーー



カラ鉄音が擦れた乾いた音が鳴り響き
自分の背中から前に向かって何かが通り過ぎた様な感覚が伝わって感じた


視線を自分の体を見るようにずらし
穴が空いた服と滲みかけた赤い楕円状の血と焼け焦げた跡。
そこから血がたれ流れるように地面に数滴落ちる。


一瞬で何が起きたか、よく分からなかった。
鼻腔に漂わせる、硝煙の匂い
後ろを振り向けば、男が放ったであろう銃口がこちらを向き白煙が上がっている


揺らぐ視界と遠のく意識が重なるようにぶれて自分が地面に倒れたことさえ鈍っていた。


ゆ、油断した...!


口からよだれ血が混ざった様なのを口から吐き出す
そして、必死に体を起こそうとするが
鉄重りがついた瞼が閉じらせようとする。


『死に狂いか?俺がトドメを刺さなくても、おめェは野垂れ死ぬ。さて...獲物を横取りされた分...楽しませてくれんだろうなぁ...?』


遠のく意識は、やがて視界さえ奪い去った。



.........。


...............。


.....................。


暗い世界、何も無い、感じさせない
黒一色の世界。


自分は死んだのか...?分からない。


そう考えてるうちに、俺は立っていた。
みしらない場所、ただ直進経路を示すような地面が点滅する白いライト。
そんな場所に何故かいたんだ。


あの時の世界に、確かに似たような場所があった。だがこれは...違う
その道をたどっても、どれだけ進んでも見えないければ変わることない景色
どれが正解で外れかさえ...。



そしたらさ、背後から物凄い光に包まれてさ...。
次目を開ける時は、見覚えがあるが頭がイマイチ回らなくて...困った。
なんとなく回って、森や茂みを抜けた先に一つの都市が目に止まったんだ


それを見た瞬間、思い出したんだ...あの世界に今自分が居ることをーー


そして、一人の銀髪でショートヘアのゴスロリ姿の女の子が涙ながらいきなり抱きついてきたことを...。



そう、レクトは俺で空斗がリアルネームだ。
やがて記憶を読み起こして、みんなを集めて会議を開いた。
思ったより早く集まりすぐさま会議を始めた。


俺は、AROについてすべて話した。
みんなの反応は、騒然としていた


『で、レクトは...不意つかれて死にかけたわけね...。』
『あぁ、そうだ。でも、なんで仮想世界に居るのか...分からないけど』
『うーん...分からない』
『私達は、レクトが病院に搬送されたってアリスから聞来ましたし。それ以外の話は...分かりませんね』


レクトはアリスの顔を見るが、首を横に二回左右に振った
すると、頭の中に問いかけるような音声が聞こえた


『誰だ?』
アリスとレクト以外2名はん?って言う表情をしていた


レクト君、意識が回復したみたいだね


この声質はどっかで聞き覚えがある
久しく聞いて、そして、懐かしい
すると、アリスが目をつぶりながら言う。
『アストロック、いや...国枝聡さんですよね?』


その名を聞いて2名を驚く顔をする。
レクトとアリスはお互い顔を見合わせて頷き天井を見上げる


ふ、懐かしの名だな。
レクト...いや空斗君、
君の意識レベルと微弱な脳波を仮想世界とリンクさせておいた。
それにより、君の意識は仮想世界にある事になる。


『意識が仮想世界に...?俺は死んだのかよ?!』


死んではいない、ある一定の脳波を超えれば君は体に帰ることが出来る
だが、君が眠って2週間が経とうとしてる...。


あの日から2週間も過ぎてるのか?
俯くレクトにアリスが訪ねた
『私からいいですか?』


なんだね?
『彼が参加していたAROのイベント戦...どうなったんですか?』


死に物狂いの激しい戦闘だった
ゲームなんかじゃない、本当に殺しあっていた...。
結末は、どちらも相討ちで終わらせた


『つまり...?』


2人とも深い傷を負って...つい一週間前に両者死亡した。
このランキングイベントの覇者は、空斗君の者となる。
だが、リアルで殺し合いなんてしたゲームで人気的にも落ち始めてる。


妥当の結末に、誰も声が出なかった
PvPなんて、争うだけ...だけどことが大きくそれただけで...一瞬にして『死』を漂わせるデスゲーなり変わってしまう。


最善未然に防げなかったが、あと残りの悪さに...気分を害する。


『レクト...』
『分かってる...アリス心配しないでくれ』


優れない顔色にその発言に、アリスは言葉を詰まらせた


無理しているに違いないのに...君はいつも私に頼らないよね...。
そう内心的に思い描く。


では私は...また戻る。


その言葉を最後に、頭に語りかけるような声はなかった。

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