ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第43話銃と剣の拡張世界

銃を手入れをする一人の少女
青く透き通るような銃口、モデル的にも存在しない...言わばオリジナル銃だ
彼女は、AROの序列4位の強者


賞金首は、それなりの額だ
では、ARの世界ではもちろん何不自由なく...アンチを射殺する日々だ
つまらなさと、アンチを倒すと楽しいだけの矛盾な世界で自分は何をしたいのだろうかと考えさせられる


その思考が、銃身の引き金を引く


唯一の、スナイパーでもありそして...序列階級で二例目の女性プレイヤーだ


荒野に設定されたフィールドに、足を踏み入れ射程内に収まるように高い岩肌の上で身を潜める。
理由は簡単だ、今回は...序列3位に当たる人物がこの荒野フィールドを通過すると予測されているからだ


ウィンドウを開き、一つのライフルをオブジェクト化して手に取り、平伏せるように地べたを這いつくばってライフルを地面にセッティングする
スコープを開き中をのぞき込みながら、その瞬間を待ち望むーー。



予測通過まで、約3分...そこが勝負の接点だわーー。
そして、3分経過後...予測通りに序列3位に当たる女性プレイヤー1人が姿を現して射程範囲内を優雅に歩く


射程ピンポイントに、差し掛かった瞬間...一つの銃声が鳴り響くーー。


空薬莢が、虚空を飛び交い
ライフルから放たれた、一つの螺旋に回転する弾丸は一直線に走り序列3位の頭に目掛けて放たれた


ほんの1秒未満の速さで、撃たれた弾丸は...序列3位の頭を外して岩肌に突き刺さる様に風穴が空く。


虚空を飛び交い空薬莢は、地面に落ちてチンと音をたて転がる
少しだけ驚き顔をする少女、辺りを見渡すと...間迎えの岩肌に同じ様にライフルを持つ一人の男性が居た


それで少女は何となく理解した


弾丸弾き(ピリヤード撃ち)...。


ピリヤード撃ちとは
一定方角に撃った弾丸を、サイドから狙い撃ち下ろす技で実践的に妨害以外には役には立たないが、実際に使うのはごく希いだ
何故ならば、高度な予測射撃が要求されるからだ



軌道がややズラされた...見たいね


少女は、少しだけムッとした顔で
立ち上がりライフルをウィンドウの中に入れた
その男は、完全に少女を狙い撃つように銃口をこちらに傾けた
それを見て、軽く笑みを浮かべながら
両足にあるポケットから2丁の拳銃を取り出して右手の握る拳銃をその男に向けて翳す



『あんたは、この拳銃で十分よ』


足元に目掛けて放たれた、弾丸を二回三回かわして飛ぶ少女ーー
そして、少女が動けなくなった所を、その男は引き金を引いて弾丸を放つ。少女は拳銃を翳して1発放つ、ライフルの弾丸は拳銃よりも螺旋が高い為早ければ威力高い。
結果的には、拳銃の玉の方が弾かれる


そんな理屈を、少女は知っている
そして、男はこう思う...


『これで勝てる』とーー。


だが、その考えと思考は覆す
何せ...私の弾丸は、ライフルよりも重いのよーー。


お互いの初撃にはなった弾丸は、ぶつかり少女の玉は弾かれてしまう
ここまでが、向こうの男の考え...。
しかしだ、その弾かれた先にもう一つの弾丸が隠れていた
その隠れ弾丸は、彼が放ったライフル弾丸を受け止めるようにその場で止まる


ーーー!?


1回で2発を放つ、それが少女の隠れた技...早撃ちだ
予測はあくまでも、予測内で終わらせるのが流儀なのだ
少女は、左側の拳銃を前に出して無限連射の様に撃ち放つーー




男は、慌てながら回避行動を起こすが
迫り来る少女の連射には、戸惑いを顕にする
岩肌に逃げ込んだ男は、手榴弾を手に取り少女が現れた瞬間、眼前に投げ飛ばした


爆発音が鳴り響き、砂煙が舞う
男は、微かに笑い始めてやがて
気狂いの様に笑い始めた
そして、こう言い吐いた


『無様な、死に方だなオイ!?序列4位とか、こんな単調な引っかかりに負けるとか...飛んだ雑魚だなぁ!ギャハハハーーー!!』


嫌なような狂った声で笑いをあげてる最中で..少女は小さく言う


『無様はどちらかしら...?』


その瞬間、気狂いのような笑いをしていた男の身体に複数の風穴が撃ち抜かれるーー


『がは...っ...?!』


男は地面に膝うちして、前屈みになりながら右手で地表に触れて倒れない様に体を支える


顔をゆっくりと上げる男は、近づいてくる足元を眺めながら言う


『死んだんじゃなかったのか...?』
『死んだなんて、決めつけるの早くないかしらね?あんな、ビキナー同然の技なんて通じると...でも?』
『くそがぁぁーー』


やり切りに、立ち上がろうとする男に
少女は容赦しない
その男の膝めがけて撃ち、地べたに倒れ込んだ瞬時に後頭部に拳銃を翳す


『てめぇ...!』
『序列階級を知らないわけじゃないわよね?200位の君』
『覚えてろよ...この次...絶対泣かせてやるからなーー!!』


一つの、銃声音と空薬莢が音を奏でた
男のアバターは解除され、ただ地べたに徘徊する様に転がっていた


次は絶対に泣かす...か。
次の序列階級戦で、また現れるかしらね...?


そう思いながら、少女は少し離れた路地に入り込みメガネ型の拡張機を取り外した
ブレザー姿に戻り、再び通った路地裏を抜けて表通りに出た
相変わらず、瓦礫と残骸が山々とする
そんな道を歩き
新設した、とあるアパートに帰宅して一息つく。


こうした日常が、あと何回続くのかさえ分からなくなる。
例えるなら、味気が無いガムを何度も噛み締めてるかのようにーー。

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