ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第3話手に入れたものと失った『仲間』

迫り来る死へのカウントダウン
感じたことが無い体中の痺れと脱力感


『さぁて、仕上げだーー!!』


迫り来る、鋭く光る刃を見て
アリスはふと、自分の過去を思い出してしまう


アリスが、この世界にダイブした理由...。けして簡単に解決出来ない話だった


幼少期は、平穏な日々を送り
何不便なく育った。
だが、小学に上がる前...孤児院に預けられた
両親の喧嘩が、耐えなく...父親の方に引き取られたが、そっから数日後には孤児院へ、数年後には児童施設へと回された。


彼女が再び父親に引き渡された頃には、正気を感じない虚ろいた眼差しと無感情で、なんにも感じさせない空っぽだった。


喋らないせいで、いじめにあって
虚無の気持ちが、よりいっそう加速させる。人生無色で染まり、笑う事すらしない。
そんな時に、父親から1台のヘットギアを手渡されて『楽しくないならゲームの世界でその感覚を掴んで来い』っとさりげなく言い、後押しした


結果的に、この世界に囚われた
でも、楽しみなんてよく分からない
結局、死を早く見てる自分が居る方が勝ってしまう。
そして、それをつけ込まれて殺人メンバーの一員にされた...。自分の弱みに負けたって言い様がない


実績なんて、人を殺す人数...
私なんて一人も殺せないまま、殺したと嘘の報告をし続けた。
それが、あのオカマに...見抜かれて
忠告されたばかりだった
死ぬ事に恐れがなかった、だから、嘘偽りを続けたんだ。
そんな時に、彼とぶつかった...
別にかっこいい訳じゃない、でも...あの瞳の奥深くには悲しいなにかを背負っているのを感じた。
気が付けば、彼の行く先に自分までついて行っていた...理由は分からない
でも、ほっとけない何かを私は感じていた。


何となく、自分と同じ匂いを感じていた。


アリスは、静かに開いていた掌を静かに握りしめ、歯を軋ませ、迫り来る短剣を...転がり回避する。


ズドンっと真横に突き刺さる短剣
仰向けになりながら、嫌な顔を浮かべつつ...痺れた体を無理やり動かす


『あー?まだ躱す力あんのかよ?』
地面に突き刺した短剣を抜き取るレット、再びアリスに向かって振り落とす


その時、強く秘めた心の叫びが反応するかのように、麻痺状態をパァンっと言う軽い音が鳴り弾き飛ばす


レットの腕が止まり、アリスはレットの握る短剣を奪い取る
微かに荒い息を上げながら、ゆっくりと体を起こして、ふらつきながらも立ち上がる。


『し、死ぬ気なんて...サラサラ...ないわよ...っ!!』


何が起きたのか理解できないレット
この時、アリスの瞳は...光を宿しており生気を感じさせていた。
そして、アリスは短剣をもう一本脇差から抜き取りゆっくりと構える


レットは、目を細めて不気味な笑い上げる。
『なんだぁ?短剣が二本もつスキル?そんなもんねぇな、でもなんだ...そっちがその気なら...俺はこいつだな』


レットが取り出したのは細剣、鞘を投げ捨てて、アリスに向かって突き始める。体力が限界な状態で、必死に躱す
そして、アリスとレットはお互いスキルをぶっぱなす。


大量の火花と、フェクトが描き乱れる
激しい鉄音声が鳴り響くーー。


お互い、八連撃のスキル
あいこなので、アリスとレットの武器は弾き飛ばされる
虚空を舞う2本の武器、レットは飛ぼうとした時ーー


激しい赤いフェクトが、レットの顔を彩る。そう、アリスの二つ目の短剣から放つ赤い業火の様なフェクトだ


《リターズ・スピアー》


その場で高速回転して、勢いよく前進して、再び更に前進して戻るスキル
それが、レットの体に刻み込まれて、川に向かって吹き飛ばされる


ザバーーッンっと言う音と共に川から吹き上がる水飛沫がアリスに降り注ぐ
虚空を舞う2本の武器は、風を切りながら地面に向かって落ち突き刺さる


『はぁ...はぁ...っ...』


だが、レットは...不気味な声で言いながら川から歩いて出てくる


『今のは効いたな...。だが、今のでおめェは...俺達の敵となった訳だ』


レットはゆぴをパッチングする
すると、アリスの周りに複数の殺人メンバーが現れて武器を向けた


そして、レットは親指で殺せと言うデスチャーをしながら『あーあ、残念だったなぁ。生きていられれば、後悔せずに済んだのによォーー。』嫌になる声でそう言い放った。


一斉に振り落とされる武器に、アリスは心の奥底で願った


レクト...助けて...!


その叫びが通じたのか、聞き覚えがある声と叫びが聞こえた


ーーはぁぁぁぁぁ!!


アリスを囲む様にいた、殺人メンバーは次々と吹き飛ばされる
そして、アリスの側によりレクトは言う


『約束をまた変えてもらう、今度こそ鎖を断ち切りに来たぜ』
『れ...レクト...』
『やっぱりさ、無理でも...お前を見殺しに出来るほど安い男じゃないんだ。今度はさ、殺人メンバーとしてじゃなくて、最前線の柱となって一緒にクリアして見ないか?』
その言葉を聞いて、あの時の出来事を謝りたくなった。人から初めて優しさを知ったアリスからすれば、これほど嬉しい事はなく...思わず泣き言うーー。


『ば、馬鹿じゃないの...っ!』
レクトは、ニヤリと笑い視線をレットに戻す。
『さて、こいつを解放してもらおうか?』
『へぇ、なかなかキモイこと言った割には...結構な面構えじゃねぇか。解放?そいつは既に裏切り者ァ...お前がテイクアウトしたいならすればいい...だが、こっから抜け出れればの話だがなぁ』


ゾロゾロと姿を現す殺人メンバー
レクトは、肩に剣を乗せて、一瞬にしてレットの眼前に現れて言う


『そうか、ならお前を切った方が早いな』


レクトは、レットの腕を削いだ


『ーーあ?』
『おい、そんな強さとか言わないだろうな?』


レットの片腕が、地面に落ち転がり消滅する


『チッ...!』


そして、レットは何食わぬ顔でレクトを睨みつけながら、突き刺さる細剣を手に取る。



『ミャードルスピア、初期武器か...』
『て、てめぇ...何もんだ』
『ソロプレイヤーさ、攻略組の力を貸す一人さ』
『攻略組...くくっ。だから、つぇわけだなぁ...俺以上の強さを持つ奴と出くわすとか。運の良さにも折り紙付きか』


レットは細剣を何度か振り回して、レクトに差し向ける


『強い奴と戦うのが...俺の中の本望。さぁ、戦って貰うぞ』
だが、レクトは話を折る
『嫌だね』
『はぁ?』
『めんどくさいだろ』
『だからどうした?逃げるのか?』


レクトは、剣を無残に振る舞う
レットは、呆気なく真っ二つにされた


『呆気ない』
『クソっ...一コマで真っ二つとか有り得ねぇだろ!』
レクトは、レットの下半身を持ってきて連結させる
『なんの真似だ?』
『勝負が気に入らないんだろ、なら、もう1回だ。』


再びレットは歩き出して短剣を構える


『人が良すぎるバカめが...』



レクトに、向かって短剣を容赦なく振り回すレット。
その攻撃は的確さがある、それはプレイヤーだけしか通用しないスキル


だが、レクトは片眉を上げずに平然とした表情、レットを眺める瞳はまるで飽きたガムをひたすら噛んでる様な視線を送るだけだ
レットは、表情を変えないレクトと減らないHPバーに対して攻撃を止めて言う


『なんで、無表情なんだよ?』
『無表情?あぁ、悪いな...受けたダメージを眺めていただけさ』
『はぁ?よくそんな悠長な事出来るな?舐めてんのか?』
『舐めてなんかないさ、これも列記とした攻略さ。レットから受けた総合ダメージは...500だ。これくらいだと...第1層ボスには勝てないし、攻略組としても足を引っ張るだけの邪魔な人材だな』
『んなわけねぇだろ!500だぞ!?そんぐらいの数値で足で纏い?別に攻略組になろうとか思わねぇけど、人が殺せるなら十分だろうが』
『攻略組を雑魚に見ない方がいい』
『あ?カスの集まり場を褒めんのか』
『褒めやしないが...お前より遥かに強いっとだけは言っとく』


レットは、歯をこすらせながらスキルを放った。連撃を容赦なく放つ


すると、レクトは剣の柄を触り
ゆっくりと構えながら、反応を伺う様に動かない


連撃系スキルは、最後に大きく隙ができる...。そこを突けば...


予測通りに、レットの短剣の刃は迫りきて、大きな隙を感じさせる。レクトはそのレットが放つスキル速度と同じくらいに合わせるように振り抜く


ーーーパキャン!!


レットの武器は破壊され、本人は少々驚いた顔をしつつ地面を転がる



『PKなんざ、俺には悪趣味にしか過ぎない。それに、リーダーの癖にダメージ量が少ない、さてはおめェ...ギルメンをこき使い報酬をもらうただのカスな人材だな?』っと嫌みたらしい声で言った。格下を見下した眼差しも兼ねていた。



数歩下がり、ストレージを開きまた別な武器を装備するレット。
それを見つつ、レクトは背後にいるアリスに言う


『アリス...逃げられそうか?』
『むりよ、体力がない...。走る余力も...』
『なら、俺から離れるなよ』
『うん...』


レクトは...肩に剣を乗せて、レットの方を向いたまま


『スイッチ出来るか?』
『わからない...どうやるのよ?』
『俺が、レットのスキルを弾く。その隙にアリス...お前がスキルを放つんだ』
『わ、分かったわ...やってみる』



レットは、不気味な笑いを、レクトは隙を見切り、アリスはスキルを放つ
こんな、異様な空気が満ち溢れる事態は誰もが想像しない。


レットは、レクトに向かって突進
振り落とされる剣を、見切り弾く


『アリススイッチだ!!』
『ーーーっ!!』


アリスは、レクトの前に出て《スピアー&スラッシュ》を放つ
突進し突き抜けて、背後に回り込み2回回転切りしてから突き抜けるスキル。
同時に得られる効果は、ドレンだ
敵から体力を奪い、自身を回復する


レットを突き抜けて、背後に回り込み勢いのまま2回転切りを放ち最後に突き抜ける一撃を放った。


当然、レットは空に突き飛ばされ舞う


アリスは、レットゾーンからイエローゾーンの手前まで回復して言う


『レクトスイッチお願い!』
『あぁ!!』


レクトは、剣を握りしめて高く飛び上がる。レットは空を見上げてるタイミングーー。


レクトは、右手の拳を強く握りしめて
レットの腹部に突く、空気が破裂するような音が鳴る


地面に叩きつけられたレット
立ち上がる余力は残ってない
レクトは、左手に剣を構えて前に突き出すーー。


青いフェクトが剣からゆらゆらと線を引きながら、レットに向かって激突
轟音が鳴り響くーー。


レクトは、突き刺した剣を抜き取り鞘に収める。そして、外したレットに言う


『投獄に行って自分の罪を償え』
『は?そこまでやって...その言い草かよ。どれだけ人がいいんだてめぇは』
『なら、殺せばどうにかなるのか?』
『いちいちむかつく野郎だな...。負けた、負けを認めてやる』
『なら、今からでも遅くない...攻略組に素直に出頭すべきだな』
『嫌だねぇ、それはそれで面白そうだが...力のなさには勝てねぇ。いっちょ投獄の果てに拝むか?』



このまま、大人しく監獄へ行ってくれ。でないと、攻略組がここに来て殺人メンバーと衝突すれば、このエリアは...当分入れなくなる


レットの反省したような喋り方に妙な違和感もある。
開き直ってる、裏をかけば何かを待っているようにも見えなくはない


レクトが、その思想が的中した様に
突然高笑い始めるレット
狂った様なバカ笑いは、森林を反響させる程だ。


『何がおかしい?』
『面白い、おもしろずぎなんだよぉ。この状況、この敗北感...そして、臨場感も兼ねて馬鹿なお人好しソロプレイヤーが殴り込んできた。これだけ、待遇をやって来たんだ?だからお礼をしないってわけにはァ...行かねぇんだよーー!!』
『お礼?なら、VIPホテルにして欲しいな』
『VIPってもんじゃねぇよ。寝て覚めるホテルなら、もう予約済みなんだよ』



レットは、拍手を3度ほど鳴らす
すると、二人を囲むように次々と現れる殺人メンバー


『レットさん、呼びましたかぁ?』
『ふっ、勤勉なるPKユーザー諸君。俺を雑魚とコケよわばりした、この、酷く、憎い、正者なお人好しを...ぶっ殺す』
『久々の獲物がァ、こんなまともなガキ一人とはぁ...殺しがいがぁあるってもんだ。なぁ?』
『しらねぇ、有害民と違う僕に話しかけるな』
『オイオイ?そいつァねぇよな?』


レクトは、微妙な表情を浮かべながら


『真面目に予約済みなんだ〜?へぇ〜、でもさぁ...これはなんか違うんだよねぇ。だってさ、こんな殺気がムンムンしたオッサンがお迎えに来るなんてさ...100%有り得ねぇ』


半ギレ気味な顔をしつつ目元は流血
目を疑いたいあまりに眼力に必要以上の力が加わっていた。


想像していたやつと違う!!っと心の叫びがでかける。


すると、一人の少女は男に対して剣の柄で顔を殴った。


『誰だ...アイツ?』


そして、綺麗に向こう山林方面へと消し飛んだ。
そして、ゴミを見下すような眼差しで殺人メンバー見渡しながら言う


『僕はただ、見物として来てるだけだ。邪魔だったから消し飛ばしたけど気にしないでね』
見た目は小柄な少女、紫色の髪の毛と瞳、そして、かなりの軽装服だ
異様な空気になる殺人メンバー
すると、もう一人の男が少女の後ろに立つ。


『なんだこいつ?』
『君も、山林方面希望?』
すると、レットが微かな声で言う
『おい、『主』勝手な事すんな...』


主と聞いてレクトは即座に理解する


『主』...?この少女が...殺人メンバーの一番の頭って事か?
レットさえ、あんな恐縮な顔してる位の上位プレイヤーか...?



すると、レクトの視線に気づき
静かに落ちてきて言う


『君、これ程のバカ達に立ち向かう気があるの?まぁ、全部脳筋だけどね』


近くにいるとよりわかる、この子の『異質感』を顔にビシビシと伝わってくる
少女にして、油断さえ許されない
それぐらい危険と、肌と目が総訴えてくるぐらいだ。


レクトは、息を殺すかのように生唾を飲むように言う


『あぁ、挑むさ...』
『ふーん、ここにも馬鹿...。でも、君はこいつら以上に強いね?』
『そうかもな、でも...君ほどじゃない』
『へぇー、君は僕を見ただけで分かるんだ...。普通なら、あそこで口開けてるバカ達と見たいに僕に攻撃してくるけど...君はひと回りも、ふた周りも違うね。んー...気に入った』
『へ?』


少女は、レクトに顔をずいっと前に出して至近距離でいう


『僕の片割れとなってよ』
唐突の提案、レクトは唖然とする
少女の吐息がかかる範囲で更に話す
『悪くない話だと思うよ?片割れになれば、殺人メンバーと縁を切るし、君がピンチなら僕が助けるしね...どうかな?』
『ど、どうって...顔近い!!』
『あ、ごめん。ちょっと興奮した』
少女は、レクトの顔から離れた


『わ、悪くない提案...。なら、なってやる代わりに...殺人メンバー以外の奴らとつるまないって言うのなら...』
『本当!?なら、掃除してくる』
『えっ?お、おい!?』


殺人メンバーは、次々に彼方に飛ばされて星になったーー。
悲鳴と絶叫がなかなかの感覚で響く
後ろにいたアリスが言い出す


『あの子...なんで殺人メンバーにいたんだろ?』
『わからない、でも...あれだけ真っ直ぐで人を信じるタイプってなかなかいないと思う...』
『あら、私は...?』
『不器用かな』
『そう...』


何故か残念そうな表情を浮かべるアリスをみて、『なんかまずい事言ったかな...』っと内心思った。


ものの数分で、殺人メンバーをゼロに変えた少女。手をパンパンと鳴らして


『約束通りに、片割れになってよ』
『う、うん...』
『さて、僕は用事があるから...これで。あっ、フレンド申請したから後で返してね!じゃねーー』


風のように去った少女、レクトはウィンドウを開いてフレンド申請項目をタップしてみる。
名前は『ミフル』と書かれており
書かれていたメッセージを読む


『フレンドになってくれてありがとう!僕は、興味を持ったらすぐ惹かれてしまうタイプで...それを止めてくれる人が現れるまで待っていたけど...ようやく現れた...それが君だよってええっ?!』っと興味を持ったら制御不可能通告を知らせる内容だった
つまりそれを止めてくれそうな人、それがレクトに選ばれたわけで...かなりアウェイ感が滲み出る


アリスは、ニヤニヤとしながら
『好かれたんだね?』っと意味ありげに言う。
レクトは『いや、こればかりは何ともな...』っと理不尽を感じえない状態で言った
すると、どっからとも無く声が聞こえる。森林のちょっとした崖の上にいた一人の甲冑を着る男の姿ーー。


『間に合ったか...』
『か、火焔!?』
『おう、お前が敵陣に突っ込むと聞いていたんが...なんだ、壊滅してるじゃねぇかよ』
『あ、あぁ...なんていえば良いやら』
『ん?なんか訳ありかーー?』


すると、火焔の背中を誰かが突き飛ばして川に滑落させた。
神々しく光る前歯、そして、ゆっくりと光らせる鉄製の鎧


『よぉ?兄ちゃん大丈夫か?』
『あ、アルク...。眩しくて姿わかんねぇ!』
『アカンアカン、スポットライト当てすぎやで。って誰もスタンドおらんし、それに太陽の光や!これは!』


相変わらずなノリツッコミを果たす
だが、火焔が川から頭を出して叫ぶ


『てめぇ!人の背中を押すなって親から習わなかったか!!』
『いやまぁ、押すなと言われれば押したくなる性や。それが人間や、カンニンな』
『そんな性の問題に収めるのかよ!?俺は危なく、HPがアウトする所だったんだぞ!!』
『でも元気に出てきたやん?』
『そこからダメなんだよ!』


ぎゃあぎゃあ騒ぐ二人を、レクトは微かに笑い始める
そんな最中で、次々に攻略組が姿を現して笑ってるレクトを眺めつつ


『なんか、楽しんでね?』
『うわぁ、やられた...』
次々に伸ばされた殺人メンバーを見つけ始める、攻略組達ーー
『なるほど、先陣切って全部伸ばしたのか...。全く世話が焼けるな...』
『無鉄砲で無謀って思ってたけどさぁ、レクト...見所あるやつだな』
『心配して損したぜ...』


その安心をぶち壊すように、黒いフードを被った集団が姿を現す
周りでは、戦闘音を探知するレクト達
アルクは、川に飛び込み火焔の後ろ襟を掴み陸まで引っ張る。
陸地に付いて、レクトの元によるアルクと火焔。そして、レクト言った


『ゴキブリかよこいつら?!』っとーー。
顔も見えない相手を、火焔は苦笑いしながら言う


『さて、ぶちかますか?隊長』
『隊長って誰だよ?』
『決まってるやん、我らが隊長...レクトに決まっとる』
『そ、そこまで立てる人間じゃない』
『無愛想な奴だな...そこは、『俺についてこい!』っと言うべきとこだぜ?』
『せや、『ワイの後に続け三下』とか言うてもええんやで?』


レクト、無限な笑みで二人の首元に剣を起き刃を光らせた。


『へぇ?なら、俺がお前ら二人を粛清しても...問題ないよなぁ?』


二人は身震いして、首を左右に激しく振って拒否反応を示した。


『なら、隊長とか言うなよ。さて、茶番してるところだけど...来るぞ』


レクトがそう告げた瞬間、次々に黒いフードを被った集団が襲い始めた
応戦する、4人...激しい激戦が繰り広げられた。


数時間にも渡る長期戦は終わりを告げ、予想通り殺人殺人メンバーを鎮圧に成功するが...反面死んだ奴もいる
予想外だったのは、謎の集団の奇襲だった。
何者かさえわからない、そんな敵を相手にして犠牲を出したのだ。


此処で死んだやつは皆、現実でも即死判定される
簡単に言えば、高度の電波で脳の細胞が死滅する...仮想の死が現実の死に直面することを意味して教えらた。



それと、仲間も失った...
アルク戦線中、死角からの投擲で被弾した。
あの時、もっと早く危険を知らせていれば...奪われることなんて無かった


白い柱にはその生きた証として名が刻み込まれていた。
その柱を見るたびに思い出すことを決意して、後ろを振り向き街並みを歩き始める。


レクトの背中には、アルクが所有していた『アザルドソード』が光っていた。
第1層の街並みは、今日も賑やかだ
あの日の事件が嘘のように葬り去るかのように...日にちだけが過ぎ去っていた。
そして、第1層を攻略する為に...一人の少女が加わった。


『レクト、手伝ってよ』
『それ、女性用クエストな...俺男じゃん』
『いや、案外いけると思うよ?女装すれば...バレないって』
『女の子になれってかよ!?頭おかしい奴しか考えない発想だぞ!』
『大丈夫、二次元の世界だから...アリっとおもうよ?』
『なんで疑問系?てか、俺の顔見て話せ』


ーーーって言う位他愛ない話が尽きなくなった。
アリスは、2次元が好きで...その中でもコスプレが何故か引かれたようだ
知られざる何かを知った気分に晒された気がした。
あっ、そうそう...ミフルはたまに会う
相変わらず活発な性格で、辺り触らず
店の用心棒までやってしまう程だ
たまに、街に出会うが...なんか昭和感感じる木箱に布キレを括り付けて、首から下げて、何かを販売していた
ちょっと覗いてみると、ポーション瓶が何本か置かれて、その脇にある何かを束ねた本だった
タイトルは『ソロプレイヤーの日々』っと書かれており、中にはどっから撮影したのやら写真が載せられていた。


それを買い求めるユーザーがあとを絶たなく...中には2時間待ちするって言う記録をたたき出した。
とゆうか、無許可で何撮影して、なんで販売してんだっと叫びたいが、これだけの人気だとそうとは行かないので声を押し殺して呑んだ。



で、なんで今...宿屋の前にまたせられているのかって言うとーー


アリスの衣装チェンジ。


これ以上、以下でもない...これだけ退屈して、暇を持て余す
そこら辺の、モンスターを狩るだけなのに衣装変える必要があるのか疑問を抱く中ーー


『お待たせーー!』


黒いゴスロリを着こなしたアリスが姿を現す。頭には猫耳カチューシャを付けており、外見からすれば外人さんがコスプレしたようにも見える


『に、似合うかなぁ...?』


照れ隠しのつもりか、頬を指て軽く描く仕草。間違いない、破壊レベルの可愛さの爆誕だ。頭から電撃を喰らうレベルだ。


だが、欠点...胸元がちょっと足りない
絶壁まな板というレベルじゃないが...なんというか、質が足りない。
レクト、ジャッチスカウター働きすぎて故障気味。


そうこうしてるうちに、アリスは誰かから突き飛ばされる


『きゃっ!?』
『えっ、うわぁぁぁぁ!?』


アリスは、レクトに抱きつくように倒れ込んだ。当然、レクトは...唖然として空を見上げる。


『ちょ、ちょっと...さっきの人最低よ...』
『あ、アリスさん...どいてくれませんか?』
『えっ?あ、えーと...分かった...』


必死に見ないようにするが、結局アリスが体を動かすと顔が視界に入る
無駄に緊張感が走る。
アリスは、ようやく立ち上がったが
この位置からのレクトの視線は、スカートの中身が絶頂に見える角度。


く、黒い...パンツが...(語彙力不足)


レクトの視線をみて、アリスは気付きスカートに手で抑えながら


『へ、変態!』っと、言う声と同時に右足がレクトの顔を強く踏みつけた。


あ、なんか最高な終わり方だな


その痛さは、得した痛さと錯覚する


『なんで、レクトは私の下着ばかり見るのよ!!』
『見たくてしてない、勝手に飛び込んでくるんだ』
『どうゆう意味よ!?それじゃまるで私のパンツはレクトに引き寄せられるって言ってるようなもんじゃない!!』
『わぁぁぁぁーー!違うってばぁぁぁぁ一ー!!』
『コラァ、逃げんなぁぁぁ!!』



他愛のない会話と絡みで...アリスは見違えるほど変わった。
反面、意図的ではないが...それなりの女子を引き寄せる何かが関係してるせいかもしれないーー。


まだ、駆け出しだけどゆっくりと進むさ...これからはどんなときも一緒なんだからなーー。

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