クリームソーダ的恋愛事情。

アビコさん。

2章。5

僕らは、その後すこしばかり繁華街を進むと適当なハンバーガーショップへと入った。全国展開をしている店であり、別になんてことは無いフツーのところである。
ラーメンは嫌いと言いながら、この典型的なファーストフードであるハンバーガーのことはボクは好きだ。
何かを挟んでたり、中に何か入ってるモノとか、とにかくいっぺんに幾つかを楽しめることが好きである。


例えば、バイキングなんか最高に楽しい。
ボクは比較的小食なので、沢山食べれるわけではないが、何十種とある品を見ていると楽しくなる。


ちょっとずつ、色んな味をあじわえる環境がなんでも好きだ。
基本的に飽きっぽいということもある。
同じものをずっと食べ続けることが苦手であるし、何か一つのことをずっと続けてやっていくこともどうも居心地が悪い。
女性関係でもそうだ。ずっと同じ相手と付き合っていくことがどうも難しい。
飽きてしまうというと失礼な言い方になるが、事実飽きてしまう。


だが、人間なんてそんなもんだ。
皆、本当はなんでもすぐに飽きてるのだが、それを捨てずに、まだ関心があるフリをしている。そんなことをは無いと自分に言い聞かせている。それに気がついていないだけである。




ボクは、照り焼き味のバーガーとメロンソーダ、そしてオニオンリングを注文する。彼女は、コーヒーとホットドッグとポテト。
「私が取ってくるからいいよ」と、ボクを奥の座席のほうへと送り、彼女は手前の席へと座った。




店の中は、都会のど真ん中とは思えないほどに、平和そのものである。
バーガーショップにしては若干、値段が高めに設定されているところであるからだろうか。一個100円なんて、格安の店舗が増えている中、ここは値段を一切下げることがないために、あまり学生らしき人が入っていない。


ボクは、メロンソーダを一口、口の中に含んでみて、もう興味を失った。
メロンソーダの香りも、見た目も好きなのだが、この炭酸の感覚がどうも苦手だ。一瞬、美味しいとは思えるのだが、すぐに、もういいやとなる。
よく、大学でも自販機で、炭酸飲料を買っては一口飲んだ後、捨てていた。
なんともったいないことをするのだと、周りの者に注意され、それからは誰かにあげることにした。
それくらい、ボクは飽きっぽいというわけである。


彼女との関係も、このメロンソーダのように、一口含んだあとは、もうシュワっと飽きてしまったと思われる。
それとも、まだしばらく、炭酸が抜け切って、ただの砂糖水になるまで関係を保たたせていくのであろうか。





コメント

コメントを書く

「文学」の人気作品

書籍化作品