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異世界で最弱の職についた僕は、最強を目指しました。

海美 蒼衣

6✤街に迫る鰯

梅雨が過ぎ、少し暑くなりかけてるとある日のお昼ごろの話だ。
『緊急!緊急! 冒険者の方々は直ちにギルドへお集まり下さい!!!』
突然の緊急警報が町中に鳴り響く。
そんな中俺は、
「すぴー……zzZ。」
眠っていた。
先程アイリスに呼ばれていた気がするが、眠いので寝ることにした。
1度起きて、時間を確認する。(まだ12時過ぎくらいか……二度寝するか。)
再び寝に入った瞬間、
「ぐふっ!!!!」
腹に強烈な一撃が放たれた。
「うぅ……あ、アイリス、いきなり殴ることは……。」と
アイリスが犯人と言わんばかりに名前を呼ぶと
返事がない。代わりに、
「戯け! 貴様はあの警報が聞こえなかったのか!!」
怒りをあらわにしたステラが腕をぷるぷると震わせながら怒っている。
「す、ステラ……おはよっ!」
言い訳も出てこなかったので取り敢えず挨拶をすると、
「何がおはようだ。さっさと用意しろっ!」と大剣を抜く動作をしながら俺を叩き起した。
そ、そんな怒ることないよね!?挨拶は大事!
心ではそう思いながら、
「は、はいっ!!!」と
急いで用意するのだった。

✤✤✤✤✤

ギルドに入るとそこには多くの冒険者とギルド職員が立っていた。
「この者達は、優汰よりやる気があるのだな……。」と
小声で呟くステラ。
おーぃ……聞こえてますよ。
そこに、俺たちを見つけたアイリスが、
「あ、優汰、ステラこっちだよ!」
手招きして俺たちを呼ぶ。可愛いなぁ。ステラとは大違い!!
癒されているとギルド職員の1人が、
「お集まり頂きありがとうございます。早速ですが本題に入らせていただきます。」
そうとう焦っているのだろう、軽く感謝だけ述べ本題にはいる。
「今回の緊急クエストは鰯の討伐です。予定より早く鰯が旬を迎えこの街に接近しているので緊急とさせて頂きました。」
ん????鰯??
「なぁ、鰯って魚の鰯か?」
隣で話を聞いているアイリスに尋ねると、
「他に何がいるんですか?」と
素で返されてしまった……。え、俺が悪いの!?
するとステラが、
「何だ、鰯も知らんのか……やはり戯けだな」と罵ってくる。
「いや、鰯は知ってるよ?でも旬を迎えたら美味しく食べるだけだろ?討伐って釣りでもすんのか?」とまたも尋ねる。
「優汰、何言ってるの?鰯は空から来るのよ?」
「貴様は何を言ってるのだ。鰯は空から来るのだぞ。」と
2人とも口を揃えて鰯が空から来ると言った。
「え……。」
そんな反応を見せる俺に、
「まぁ、実際に見れば分かるだろう」と
ステラが言った。
それから、30分ほどたっただろうか広場に集まり空を見上げていると銀色に光るくもが…………
「い、鰯だ……。」
雲と思ったのは、鰯だった。
鰯の姿を俺が目視したと同時にギルド職員から声がかかった。
「それでは、皆さんお願いします!!」
冒険者達に声をかけギルド職員は足早に建物の中にこもって行った。

「行くぞお前らーー!!!!」
1人の掛け声によって士気を高められた冒険者達は戦闘態勢に入った。
その声が鰯達にも聞こえたのか体を回転させライフルの銃弾のように一匹一匹風をまとい突っ込んできた。
「おらっ!!」
その一匹を剣で弾くと軌道がそれ、地面に突き刺さり鰯から魔力が消え気絶した。
(よし、いける!)
他の鰯も受け流し軌道を地面に突き刺さるように変え難なくこなしていたが……。
「くっ、数が……」
鰯の数が多く、苦戦していると

『ストームブリザード』

アイリスのスキルが鰯の大群のど真ん中で発動し一気に冷凍鰯が完成した。
「さすがアイリスだな。」と一人で呟いたつもりが聞こえていたらしく
「ありがとう優汰。」と可愛らしい返事が返ってきた。
その様子を見ていたステラが
「優汰、次は私を見ていろ」と言ってきたのでステラを見ていると……凄かった。
第二の鰯の大群目掛け大剣に炎を宿し放った斬撃が中心で弾け丸焦げの鰯が完成した。しかし、そこに追い打ちをかけるように今後は風を宿らせ炎を何倍にも膨れ上がらせた。
「どうだ優汰」
感想を求めてくるステラに俺はただただ
「凄いよ……。綺麗だ」と言う。
すると、何故かステラは照れながらぶつぶつと何か言っていた。
「き、綺麗……だと……。」
まぁ、放っておこう。

他の冒険者も次々と鰯を倒し、夕方ごとには一匹残らず蹴散らしていた。
安全なことを確認し建物から出てきたギルド職員が、
「お疲れ様でした。今日は緊急のお呼び立てだった為、ギルド本部で宴の準備をさせて頂きます。」
それを聞いた冒険者達は歓喜の言葉を雄叫び混じりに上げる。
「「「よっしゃぁああああああああ」」」
その雄叫びを沈めることもせずギルド職員は
「つきましては、今夜19:00から開始させていただきます。それまでに、疲れた身体を休ませ楽しい宴に致しましょう!」
そして、みんな心を弾ませながら宴に向けて用意をするのだった。

✤✤✤✤✤

「「ただいま」」
俺とアイリスが家に入るのを確認した後、ステラが
「お邪魔します」とよそよそしく入ってきた。
「疲れたー」リビングに入った途端に俺はソファにぐったりと横になった。
アイリスはお茶の用意をしてくれているらしく、いい香りがリビングを包む。
ステラに関しては住んでいるところが違うためこの家に慣れてはなく、どこか緊張しているらしい。そんなステラに俺は何気なく、
「なぁ、ステラ。一緒に住まないのか?」と尋ねる。
するとステラは、
「え、私は……少し考えさせてくれ」と言いアイリスが用意してくれた紅茶を飲む。
「別に王女だろうが仲間なんだから気にしないぞ」
その一言にアイリスが、
「えっ!!!」と驚きの声を上げ
ステラにいたっては、紅茶が気管に入ったのかむせていた。
「き、気づいていたのか」
「まぁ、うん。」と
曖昧な返事を返しソファから起き上がる。
「どこかで見た顔だなって思ってたらほらっここ」と新聞の一面を二人に見せた。
「これ、お前だろ?」
そこには、ドレス姿のステラが写真にうつっていた。
「そうか……バレていたのだな」と
落ち込んだ様に顔を下げたステラに俺はもう一度聞く
「で、一緒に住まないのか? ステラ・レッドフィールド」
先程言ったようにステラは王女だ。
この国の第1王女ステラ・レッドフィールド。そんな人物が冒険者などしているのはまずい事だ。ましてや、その事を知りながらPTを組むことも。
しかし俺は言う、
「俺は気にしない」と。
アイリスも
「一緒にいて欲しいです」と。

ステラは、
「大罪だぞ……私から誘っておいて言いにくいが……。」
「処刑対象にされるかもしれない……。」
そんな不安を口にする。
だが、俺たちは引かない。

「「なら、国王を黙らせてやる」」  「よ」 「です」
 
声を合わせてステラに伝える。一緒にいたいと。

そんな二人の言葉にステラは涙を流すのだった。

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