吾が輩は、シュレーディンガーの猫である

橋本クラリネット

1 人類は、自然に生かされている。

キーンコーン カーンコーン
授業の終わりを告げる鐘がなった。

号令が終わると、クラスの皆は、出来立てほやほやの友達と、カラオケや、ボウリングの約束をするなりして、せっせと帰る。俺に声をかける者などまずいない。

東京都にある、国立秀英学園高校には、全国から高校生が集まる。てっきり成績が優秀な、お坊っちゃんたちが集まるかと思いきや、そうではないらしい。

髪を金色に染めた、いかにも不良のようなトラブル製造機や、日本語の話せない英語だけがペラペラな、ちょっと変わった美人女子だっている。そんな人種のサラダボウルのような学校だ。

俺はどうやら流行に乗り遅れ、世間で言われる「ぼっち」という役になってしまった高校一年生である。

この学校では、何もかもが充実している。遅刻をしても単位だって、失うことはないし、カンニングだって構わない。犯罪だって、この学校のルールで裁かれる。

「国が運営する学校なんだから、何でもありなんだなー」と、入学当初の俺は、どこか違和感を持ちながらもそう感じてしまった。

はっきりいって、学歴すら公開されていない俺が、なぜ入れたかは、正直俺にも分からない。

入学式からおよそ1ヶ月が過ぎた今現在、そんなどこか異様なこの環境に、俺を含めた学生らは、適応しようとしていた。皮肉なことに、この現象はまるっきり世の中と似ている。

なんだかんだ暇を持て余した俺は、午後22時13分29秒、睡眠をとろうと、目を閉じた途端、脳裏をなにかが横切ったが、生理的欲求に負けてしまったのか、それとも、嫌な思い出が蘇ったのか、気づいたら朝になっていた。

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