ラノベ厨の異世界戦記

ノベルバユーザー251204

魔物の町

魔物達の町と呼ばれるカルマという町がある。元は人族の町であったが過去に戦争があり人族が破れ魔物の町となった。

当時人族の王:ジョーン・ブリッジ・ストーンという男がいた。賢王として名を馳せていた彼だったが、ある日を境に人族選民主義を掲げ人族以外の種族は下等な生き物と決めつけ、排斥しようと各国へ攻め込んでいった。

だが、人族は他の種族と違い秀でた能力がなく、多種族の王はジョーンの暴挙に徹底抗戦をと、世界各地で人族と多種族間で戦争が勃発。戦力差、能力差等で圧倒的に不利な人族だが突如攻勢を覆す出来事が起きた。
後世に伝わる悪法勇者召喚である。

勇者召喚が悪法と呼ばれるのには理由あった。何故なら召喚をする為に自国民を5万人生贄に捧げないといけないからだ。しかもただ単に生贄に捧げるだけではなく、5万もの人間達を互いに殺させ合い、残った最後の一人の心臓を生きたまま抜き取りそれを利用するのが条件だった。まさに蠱毒である。

人族が召喚したその者の力は甚大で戦場の各所で不利だった人族陣営を助け、攻勢に出、数々の武功を立て続けた。
各国の王達はそれまでは国々で協力することも無かったが、勇者召喚を機に対人族連合を創立。人族対多種族間での戦争は激化していった。

お互いが種の存続をかけて戦う規模の戦争になっていったが、突如終わりを告げる。

勇者が突然姿を消したのだ。

多種族の王達は人族の罠だとより一層警戒したが、幾度の戦場でも勇者が現れない状況を好機と見て、人族の首都へと攻め入ったのだった。
首都へと攻め入った際の詳細が書かれている書物は現存していないが、それがキッカケで和平へと至ったとされている。

終戦後、恐るべき勇者召喚の条件が明らかになると王達は悪法と定義し、二度とこのような事がないよう、犠牲になった町にカルマ(業)と名付け後世に残す事とした。こうして魔物の町として現在に至っている。

「、、、と言うのが今から向かうカルマの町ですわ。成り立ちからわかると存じますが、人族には少し肩身が狭いかもしれません。」

もう町の由来からして何か起こる気しかしない浩介。

「セシル、そんな町に人間が行っても大丈夫なのか?肩身が狭いで済むとは思えないほど重いぞ?」

「200年も前の話なので、今では人族に対しては当時よりだいぶん感情も緩和されてます。もし何か起こったとしても法に則って対処されます。魔物の町と呼ばれていますが、法治されてますので安心くださいまし。」

「浩介さんっ!何か起きてもフェリスが何とかしますので安心してくださいっ!!」

何故かセシルに乗っかってくるフェリス
そんな二人に

「、、、、心配事しかねぇ」

と呟いく浩介であった。

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「あっ見えてきました!!あれがカルマの町ですっ!」

セシルの視線の先には綺麗に舗装された町の外壁が見えてきた。

「おぉ~!!」

やはり根っからのラノベ厨。先程の心配事もなんのその、初めて見る異世界の町に感動している浩介。

「早く行こうぜっ!フェリス!!セシルも案内ありがとな!また会えたらいいな俺たち」

「ありがとうございますセシルさん!!」

とさりげなくセシルと別れようとする浩介達だが

「おいおいおいっ!人族がいるぞっ!しかも見たことねぇ顔だっ!」

とイキナリ緑色の小鬼二人組に絡まれた。

(この場でテンプレはいらねぇよ!しかもゴブリンかよっ!スライムの後はゴブリンってRPGかここは!)

穏便に別れられると思ったらイキナリのイベント発生で浩介は怒っていた。

「セシルっ!このゴブリン達は町の住人か?それともモンスターか?、、俺には判断が出来ないんだが」

セシルはゴブリン二人組を見て、浩介へと回答をする。

「住人ですわね。、、、、まぁ少しチンピラみたいな感じですが。」

「サンキュー。、、、んで何か用か?お二人さん。」

浩介がそういうとゴブリン達は、笑いながら

「用も何も、人族がカルマの町に何の用だぁ?!過去の事忘れてんじゃねぇよなぁ?お前らのお陰で俺らの同胞がどれだけ傷ついたかわかってんのかっ!!カルマの町へ入りたいならまずは有り金全てよこせっ!後そこの女もなっ!」

200年以上昔のことを今でも行ってくるゴブリン達。浩介はセシルの方見るとセシルは身体を横に振り

「、、、浩介さん。彼らはカルマの町の極一部の過激派ですね。話をしても話にならないと思います。宜しければ私が話をつけましょうか?」

そう言ってくれるセシル。浩介は再びゴブリン達の方に視線を向けると

「あぁっ?!何見てんだっ!!どうするんだっ!早く決めろっ!」

なんて言ってくる。もうめんどくさくなって来たのでセシルにお願いする浩介。

「セシル。頼む。」

「はい、かしこまりました。」

そう言いセシルがゴブリン達の元へと歩く。ゴブリン達も卵が近づいてくるのに最初は驚いていたが次第に威嚇しだす。

「おぃ!卵っ!何の用だっ!お前に用はねぇんだよ!人族に用があるんだ俺たちはっ!!見逃してやるからとっとと失せろ!!」

それでもセシルは歩みを止めない。一歩、二歩とゴブリン達の足元までやってきた。その瞬間

ガンッ!!

と一匹のゴブリンが棍棒をセシルへ振り落とした。

「セシルっ!」
「セシルさんっ!」

浩介とフェリスは予想外の展開に驚き慌ててセシルの方へ向かおうとするが

「、、、大丈夫ですのでお気になさらないでください。」

殴られたセシルはダメージを全く受けてない様子で答える。ゴブリン達はそんなセシルにイラついているのか二人掛かりで棍棒を振り下ろしてきた。

ガンッ!
ガンッ!!
ゴンッ!!

ペコッ!!
ギャーーーッ!!

何だか変な音が聞こえたと思ったらゴブリンの片割れが悲鳴を上げ地面をのたうちまわる。
浩介とフェリスは何が起こったかわからない。セシルが殴られていたと思ったらいきなりゴブリンがのたうち回るのだからビックリだ。

ペコッ!!
グギャーーーッ!!

さらにまた変な音が聞こえたと思ったらもう一体のゴブリンも同じくのたうち回る。2回目だったので浩介はその現場をしっかりと見ることができた。

なんとセシルがペンギン足でゴブリンの脛をチョンっと蹴っていたのだ。セシルの足が当たった瞬間、ペコッとなり崩れ落ちてるゴブリン。そんなゴブリン達に

「目障りだから消えてくださいまし」

とセシルが言う。浩介、フェリスから見てもセシルは全く本気なんか出してる気配はなく、種族としての格の違いがわかった。それはゴブリン達もそうだったようで

「悪かったっ!!帰るっ!帰るから許してくれっ!!」

そう言って二人で肩を抱えながら足を引きづり歩いていく。そんな二人組をみてセシルは

「全く、ヤンチャが過ぎて困ってしまいますわ。」

とお嬢様キャラ全開。

「セシルさん、、ぱねぇっす。」

フェリスがポツリともらした言葉だが浩介も同じ事を思っていた。

「さてと、邪魔者もいなくなりましたし、町はすぐそこです。」

そう言って歩き出すセシルに浩介とフェリスは別れるタイミングを完全に逃していたのであった。

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