朝起きたら妹が魔王になってました
第22話「ユミスさんは乙女可愛い」
「ほらっ、燈矢、みんなの所に行こ?」
「ああ」
結婚のドキドキ感よりも、もっと別な何かが胸の奥を叩いている。きっと、ミクや鍵乃に話すのが怖いのかもしれない。いや、怖い。
「鍵乃ちゃん! ミク! 話があるの」
「突然どうしたのですか」
「なになに?」
そう言うとユミスは鍵乃とミクを連れて、どこかに行ってしまった。仕方が無いので俺は一人で部屋で待っていることにした。
「鍵乃はともかく、ミクは怒りそうだな……」
聞き分けがない訳では無いが、同じ神様である以上、結婚による恩恵だって知っているはずだ。まぁ、俺も聞いた話だし本当かどうかは分からないが。
「黙っててもヒマだな……おっ、そうだ」
窓から外を眺めると、まだたくさんの村人が外で談笑していた。
「「はああああっ!?」」
大声が家中に響く。俺、殺されたりしないよね?
ドンドンドンドン!!
「ヒイイイィッ!」
突然のノックに戦慄する。
「燈矢くん、入りますよ」
そこには泣きながらそっぽを向いているユミスを連れたミクがいた。
「話したいことがあります」
「はい…」
「結婚のことですが、あれはおとぎ話です」
「誠に申し訳ございま……ん?」
脳内で準備されていた謝罪の言葉が綺麗に流れると同時にハテナマークが喉の奥から出てきた。
「なんだって……?」
「だから、おとぎ話です」
「はぁぁぁぁっ!?」
無言でじっとユミスを見つめる。顔を真っ赤にして外を眺め続けている姿がなんとも言えず、見ているだけでこちらが恥ずかしくなってくる。
「ミクさんミクさん、その話詳しく」
「神族で昔から読まれている絵本ですよ、人間と女神の許されざる恋のお話です。二人は結ばれ、永遠の愛を誓い、その愛の力で世界を救うというなんとも訳の分からない話です」
「なるほど、マジで頭の中ラブアンドピースだな」
「まさか子供でもあるまいし、信じているとは思いもしませんでしたけど」
「ユミス……恥ずかしいな……この話……くくっ」
「笑わないでよぉっ!! もうやだぁ〜」
鍵乃はずっと苦笑いを浮かべている。ミクはこの話をしてスッキリしたのか清々しい表情を浮かべている。
「まぁ、これで燈矢くんとユミスが結婚する理由も無くなったということですね」
「ふえぇぇん……じゃないと燈矢連れて行ってくれないんだもん……」
「何を言っているのですか、ユミスが来たいなら来ればいいじゃないですか」
「ふぇ?」
「貴女がおとぎ話を信じるような可愛い乙女でも、一流のヒーラーなのですから。しかも神力も使えますし、むしろ来れない理由がないくらいです」
「燈矢、いいの?」
「分かった。着いてきてもいい、けど、戦闘中は俺の後ろにいてくれることを約束してくれるなら」
「絶対に燈矢の後ろにいるよ! 離れないよ!」
生き生きとして、受け答えする様はさながら子犬のような愛らしさがあった。
「じゃあ、結婚式は中止、普通に豊穣祭をやろう!」
「うんっ!」
家の窓を開け、めいっぱい息を吸い、大声で叫んだ。
「「お祭りだぁぁぁあーっ!!!」」
俺とユミスの声に村人は笑いながら、作業に取り掛かってくれた。俺も急いで手伝いに向かった。
「やぁ、燈矢。一緒に手伝おうか」
家の前にはネコ耳イケメン青年のリューズが立っていた。
「リューズ……なんか久しぶりだな」
「そうでもないでしょ」
作業の傍ら、リューズや他の村人から色々な話を聞いた。
「リージュの豊穣祭は毎年たくさんの人が王都からやって来るんだ。日時の遅れもあったけど、他の人がちゃんと伝えてるから大丈夫だよ」
「へぇ、そうなんだ。何目当てで来るんだ?」
「基本的にはユミス様の恩恵を授かりに来るかな、ユミス様は平和をもたらしてくれるからね。あとは、この景色を見に来るのかな」
確かにもう慣れてしまっていたが、日本でも見たことがないくらいにここの景色は綺麗だ。そりゃ観光客も来るだろうな。
「豊穣祭って具体的には何するんだ?」
「出店がでたり、作物や花の成長を祈って踊ったり、その他にも色々するよ。あと、これは言い伝えだし信憑性もゼロに近いけど、満月の日と豊穣祭が重なった時、湖で告白すると二人は永遠に結ばれるとか……ロマンチックすぎて笑っちゃうよね」
「はははっ、確かに笑っちゃうな」
ユミスはどうやらずっと前からおとぎ話を信じ続けていたらしい。
乙女だな。
「ああ」
結婚のドキドキ感よりも、もっと別な何かが胸の奥を叩いている。きっと、ミクや鍵乃に話すのが怖いのかもしれない。いや、怖い。
「鍵乃ちゃん! ミク! 話があるの」
「突然どうしたのですか」
「なになに?」
そう言うとユミスは鍵乃とミクを連れて、どこかに行ってしまった。仕方が無いので俺は一人で部屋で待っていることにした。
「鍵乃はともかく、ミクは怒りそうだな……」
聞き分けがない訳では無いが、同じ神様である以上、結婚による恩恵だって知っているはずだ。まぁ、俺も聞いた話だし本当かどうかは分からないが。
「黙っててもヒマだな……おっ、そうだ」
窓から外を眺めると、まだたくさんの村人が外で談笑していた。
「「はああああっ!?」」
大声が家中に響く。俺、殺されたりしないよね?
ドンドンドンドン!!
「ヒイイイィッ!」
突然のノックに戦慄する。
「燈矢くん、入りますよ」
そこには泣きながらそっぽを向いているユミスを連れたミクがいた。
「話したいことがあります」
「はい…」
「結婚のことですが、あれはおとぎ話です」
「誠に申し訳ございま……ん?」
脳内で準備されていた謝罪の言葉が綺麗に流れると同時にハテナマークが喉の奥から出てきた。
「なんだって……?」
「だから、おとぎ話です」
「はぁぁぁぁっ!?」
無言でじっとユミスを見つめる。顔を真っ赤にして外を眺め続けている姿がなんとも言えず、見ているだけでこちらが恥ずかしくなってくる。
「ミクさんミクさん、その話詳しく」
「神族で昔から読まれている絵本ですよ、人間と女神の許されざる恋のお話です。二人は結ばれ、永遠の愛を誓い、その愛の力で世界を救うというなんとも訳の分からない話です」
「なるほど、マジで頭の中ラブアンドピースだな」
「まさか子供でもあるまいし、信じているとは思いもしませんでしたけど」
「ユミス……恥ずかしいな……この話……くくっ」
「笑わないでよぉっ!! もうやだぁ〜」
鍵乃はずっと苦笑いを浮かべている。ミクはこの話をしてスッキリしたのか清々しい表情を浮かべている。
「まぁ、これで燈矢くんとユミスが結婚する理由も無くなったということですね」
「ふえぇぇん……じゃないと燈矢連れて行ってくれないんだもん……」
「何を言っているのですか、ユミスが来たいなら来ればいいじゃないですか」
「ふぇ?」
「貴女がおとぎ話を信じるような可愛い乙女でも、一流のヒーラーなのですから。しかも神力も使えますし、むしろ来れない理由がないくらいです」
「燈矢、いいの?」
「分かった。着いてきてもいい、けど、戦闘中は俺の後ろにいてくれることを約束してくれるなら」
「絶対に燈矢の後ろにいるよ! 離れないよ!」
生き生きとして、受け答えする様はさながら子犬のような愛らしさがあった。
「じゃあ、結婚式は中止、普通に豊穣祭をやろう!」
「うんっ!」
家の窓を開け、めいっぱい息を吸い、大声で叫んだ。
「「お祭りだぁぁぁあーっ!!!」」
俺とユミスの声に村人は笑いながら、作業に取り掛かってくれた。俺も急いで手伝いに向かった。
「やぁ、燈矢。一緒に手伝おうか」
家の前にはネコ耳イケメン青年のリューズが立っていた。
「リューズ……なんか久しぶりだな」
「そうでもないでしょ」
作業の傍ら、リューズや他の村人から色々な話を聞いた。
「リージュの豊穣祭は毎年たくさんの人が王都からやって来るんだ。日時の遅れもあったけど、他の人がちゃんと伝えてるから大丈夫だよ」
「へぇ、そうなんだ。何目当てで来るんだ?」
「基本的にはユミス様の恩恵を授かりに来るかな、ユミス様は平和をもたらしてくれるからね。あとは、この景色を見に来るのかな」
確かにもう慣れてしまっていたが、日本でも見たことがないくらいにここの景色は綺麗だ。そりゃ観光客も来るだろうな。
「豊穣祭って具体的には何するんだ?」
「出店がでたり、作物や花の成長を祈って踊ったり、その他にも色々するよ。あと、これは言い伝えだし信憑性もゼロに近いけど、満月の日と豊穣祭が重なった時、湖で告白すると二人は永遠に結ばれるとか……ロマンチックすぎて笑っちゃうよね」
「はははっ、確かに笑っちゃうな」
ユミスはどうやらずっと前からおとぎ話を信じ続けていたらしい。
乙女だな。
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