朝起きたら妹が魔王になってました

猫撫こえ

第3話 「イチャイチャ」

 夢中で逃げ、休んでいた翼竜を一匹奪う。飼い慣らされているのか全く暴れる気配がない。安全に逃げられることが分かり、胸をなで下ろす。


 まず、これから俺たちがすべきことをリストアップしてみる。
 新しい家を探し、生活を安定させる。身バレを防ぐために冒険者稼業でもしようか…などと色々考えていると震えた、か細い声が聞こえる。


「お兄ちゃん…ありがとう。その、守ってくれて」


「当たり前だろ、兄として当然の務めだよ」


 内心めちゃくちゃ怖かった。だってついこの前まで学生(不登校)だったんだぞ!?普通なら上から下からいろいろ飛び出していると心から思う。


「強がりじゃないの?」
 クスクスと鍵乃が微笑む。笑えるなら大丈夫だろう。


「バカにしやがって…覚悟しとけよ、死ぬまで守ってやるからな」


 すると、キュッと服を掴まれ、耳元で囁くように
「死ぬまで、なの?」
と寂しそうな仕草をこれでもかと見せつけてくる。


「死んでも、来世もそのずっと先だって守ってやる。俺の大切な人だからな」
「ふぁ…///あの、その、いきなりそういうの禁止!」


 ヤバいどうしよう鼻血が出そう。てかもう出てるんじゃないかこれ。この鍵乃は俺的鍵乃ランキングの中でも上位にくい込むレベルだ。もっと具体的に言うと時間を凍結させる魔法があるなら速攻使って写真撮りまくるレベル。


「可愛い」
「あ、あーあれお金!お金ってどうするの?」


 全力で話を逸らしてくるな。まぁ、お金については問題ないだろう。城の中で輝いていた純金の像の腕をへし折って、持ち帰ったからだ。


 俺の攻撃魔法は恐らくクソザコナメクジなのだろうが、腐っても魔法。衝撃波などであれば上手く使うことで簡単に物を破壊することが出来るのだ。


 殺されかけたのだからこれ位貰っても別に神様も怒らないだろう。いや、何もしていない俺の高校生活を潰した神様のことだ、もしかしたらすごい天罰が待っているかもしれない。


「じゃじゃーん、これを売ろうと思う。」
「なにこれ!?持ってきちゃったの!?」
「大丈夫大丈夫、多分」
 とりあえず芸術作品であることがバレないように適度にバラバラにして持っていくつもりだ。


これで金銭面と家に関しては多分大丈夫だと思う。あとは魔王と勇者のイメージを上から塗りつぶす何かが必要になる。


「なぁ、冒険者ギルドに行ってみないか?そこで名前をみんなに知ってもらおう」


「何でわざわざ目立つようなことするの?」


「今名を上げることが出来れば、魔王と勇者のイメージがつく前に腕利きの冒険者のイメージをつけることが出来るだろう」


 我ながら完璧な作戦だと思う。国中に反逆者として手配されなければの話だが。
 

「でもそれじゃ結局危なくなるんじゃないの?」


 それも一理ある、が鍵乃の地形を変えるほどの攻撃力があれば並大抵のモンスターなら一撃だろう。危なくなったら俺が守るし。


「まぁ、何とかなるだろ」


 街の中心《ユリシス広場》に到着した俺たちはとりあえず換金所を探すことにした。


「でっか…いな…」
「ここならたくさんお金ありそうだね」


 おそらく街で一番大きいであろう換金所は図書館や博物館のように大きな作りになっていてとても上品なデザインだった。


 俺たちは期待と金の腕を抱き格調高い扉を開いた。

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