朝起きたら妹が魔王になってました
第1話「異世界転生とかヤバいけどとりあえず妹は可愛い」
今日もなんてことない一日が終わる。再び目を開けるのが億劫になる。明日だって今日と同じくだらない一日を過ごすのだろう。
「ホント、自分が嫌になるな」
眠気と脱力感に身を委ね、夢の世界へと歩み寄る。現実から目を背けたい、その一心で。
「うっ…」
突然の違和感にうめき声を上げる。
普段では決してありえないこと、窓からの光を感じて起きるなど引きこもりで部屋のカーテンも閉め切って生活している俺にとって異常なことなのだ。
「なんで…ってうおっ!? しかもここどこだよ…」
自分の隣にはきらきらした紺色の髪の毛に色白の肌を持ち合わせる天使、妹である鍵乃が眠っていた。木造の部屋に妹と添い寝していた。状況も飲み込めぬまま夢だと信じ両頬を思いっきりつねる。
「いってぇぇぇええ!!!」
部屋中に俺の声が響く、痛い。明晰夢とかいうやつだろうか、感覚あるっていうアレ。
「んっ…うぅ…うるさい…」
どうやら起きたらしいこの状況でうるさいとかツッコめるなんて、神経図太い。そういうところも好き。自分に少々の気持ち悪さを感じつつ、心の中を整理する事にした。
昨日の夜に自分の部屋で眠りにつき、朝起きると全く知らない場所で妹と添い寝していたと…。
「最高かよ」
なんてバカなことを考えていると
「な、なにここ!? どこ!? なんでお兄ちゃんと一緒に寝てるの!?」
それはこっちが聞きたいよ。
「目が覚めたか、なぁ、ちょっとだけ自分のほっぺたつねってみてくれないか? ほら、夢かもしれないし」
おもむろに頬に手を伸ばしつねると
「いったぁぁぁああい!!!」
そんなに強くつねらなくてもいいのに。
「だ、大丈夫か? 夢じゃないっぽいな…とりあえず部屋を出ないか?」
「なんで得体の知れない場所でそんなにアグレッシブに動けるの? バカなの? 寝てるあいだにバカになっちゃったの?」
妹からの罵倒ならそれすらも心の洗浄液になってしまう。ジ◯イとかキ◯キュ◯トだよ。汚れ落ちちゃうよ。
「それもそうだな…ってはぁ!?!?」
適当に返事をしつつ窓の外を見るとここはどうやら、大きな街の中だったらしいそれも中世ヨーロッパのファンタジーに出てくるような街だ。そこらじゅうにエルフやドワーフなど想像上の存在だと信じていたものが普通に買い物をし、普通に生活している。
「これって異世界ってやつ…? ははっ…」
とうとう頭おかしくなったのかな、俺。不意に横を見ると鍵乃が窓の外を眺め目を輝かせている。
「お兄ちゃん、これってあれだよね絶対ドラゴンとかいるよね。」
「いるだろうな」
「魔法とかあるよね」
「あるだろうな」
「使えるかな…?」
「まぁ、なんでか知らないけど召喚されたんだから俺らには特典あるだろ」
俺は適当に山を指差し、
「あれとかいいんじゃね」
小馬鹿にしながら魔法の発動を促した。
「やってみるね…」
鍵乃が右手を山に向けながらおそらく手作りの詠唱を唱え始める。
「悠久の時を超え、終焉の業火に包まれし我が右手よ…その痛みよ、悲しみよ、穿て! 創世の業火!《ジェネシス・ヘル・ファイア》」
そういえば中二もとい厨二だったのを思い出した。いつだったか食事中に右手がどうのこうの言ってた気がする。
すると、鍵乃の右手に何層もの魔法陣が作られた。瞬間、とてつもない轟音と共に山のおよそ半分が消し飛んだ。
「は?おいおいおいおい嘘だろ?なにそれチート?」
放った張本人は口をパクパクさせて慌てている。青ざめた顔も可愛いが、今はそんな悠長なこと言ってる場合じゃない。
この世界を知る必要がある。自分や妹についても。とりあえず俺にも使えるんじゃないかと少しの期待と共に見よう見まねでやってみる。
「炎でもなんでもいいから出ろっ!」
ボッ
小指に魔法陣が生まれ、ライター程度の小さな火がついた。
「…ちっさ」
「それちょっと傷つくからやめて」
妹にバカにされ半分泣きそうなところにコンコンと乾いた音が響く。
異世界生活始めての来客だ。恐る恐るドアを開けるとペストマスクを着けた真っ黒な装いの長身の男が立っていた。
「燈矢様、鍵乃様でよろしいですね?」
丁寧な口調で語りかけてくるこの男は、黙り込んだ俺らを見て
「お待ちしておりました、勇者様、魔王様」
と告げた。
「ホント、自分が嫌になるな」
眠気と脱力感に身を委ね、夢の世界へと歩み寄る。現実から目を背けたい、その一心で。
「うっ…」
突然の違和感にうめき声を上げる。
普段では決してありえないこと、窓からの光を感じて起きるなど引きこもりで部屋のカーテンも閉め切って生活している俺にとって異常なことなのだ。
「なんで…ってうおっ!? しかもここどこだよ…」
自分の隣にはきらきらした紺色の髪の毛に色白の肌を持ち合わせる天使、妹である鍵乃が眠っていた。木造の部屋に妹と添い寝していた。状況も飲み込めぬまま夢だと信じ両頬を思いっきりつねる。
「いってぇぇぇええ!!!」
部屋中に俺の声が響く、痛い。明晰夢とかいうやつだろうか、感覚あるっていうアレ。
「んっ…うぅ…うるさい…」
どうやら起きたらしいこの状況でうるさいとかツッコめるなんて、神経図太い。そういうところも好き。自分に少々の気持ち悪さを感じつつ、心の中を整理する事にした。
昨日の夜に自分の部屋で眠りにつき、朝起きると全く知らない場所で妹と添い寝していたと…。
「最高かよ」
なんてバカなことを考えていると
「な、なにここ!? どこ!? なんでお兄ちゃんと一緒に寝てるの!?」
それはこっちが聞きたいよ。
「目が覚めたか、なぁ、ちょっとだけ自分のほっぺたつねってみてくれないか? ほら、夢かもしれないし」
おもむろに頬に手を伸ばしつねると
「いったぁぁぁああい!!!」
そんなに強くつねらなくてもいいのに。
「だ、大丈夫か? 夢じゃないっぽいな…とりあえず部屋を出ないか?」
「なんで得体の知れない場所でそんなにアグレッシブに動けるの? バカなの? 寝てるあいだにバカになっちゃったの?」
妹からの罵倒ならそれすらも心の洗浄液になってしまう。ジ◯イとかキ◯キュ◯トだよ。汚れ落ちちゃうよ。
「それもそうだな…ってはぁ!?!?」
適当に返事をしつつ窓の外を見るとここはどうやら、大きな街の中だったらしいそれも中世ヨーロッパのファンタジーに出てくるような街だ。そこらじゅうにエルフやドワーフなど想像上の存在だと信じていたものが普通に買い物をし、普通に生活している。
「これって異世界ってやつ…? ははっ…」
とうとう頭おかしくなったのかな、俺。不意に横を見ると鍵乃が窓の外を眺め目を輝かせている。
「お兄ちゃん、これってあれだよね絶対ドラゴンとかいるよね。」
「いるだろうな」
「魔法とかあるよね」
「あるだろうな」
「使えるかな…?」
「まぁ、なんでか知らないけど召喚されたんだから俺らには特典あるだろ」
俺は適当に山を指差し、
「あれとかいいんじゃね」
小馬鹿にしながら魔法の発動を促した。
「やってみるね…」
鍵乃が右手を山に向けながらおそらく手作りの詠唱を唱え始める。
「悠久の時を超え、終焉の業火に包まれし我が右手よ…その痛みよ、悲しみよ、穿て! 創世の業火!《ジェネシス・ヘル・ファイア》」
そういえば中二もとい厨二だったのを思い出した。いつだったか食事中に右手がどうのこうの言ってた気がする。
すると、鍵乃の右手に何層もの魔法陣が作られた。瞬間、とてつもない轟音と共に山のおよそ半分が消し飛んだ。
「は?おいおいおいおい嘘だろ?なにそれチート?」
放った張本人は口をパクパクさせて慌てている。青ざめた顔も可愛いが、今はそんな悠長なこと言ってる場合じゃない。
この世界を知る必要がある。自分や妹についても。とりあえず俺にも使えるんじゃないかと少しの期待と共に見よう見まねでやってみる。
「炎でもなんでもいいから出ろっ!」
ボッ
小指に魔法陣が生まれ、ライター程度の小さな火がついた。
「…ちっさ」
「それちょっと傷つくからやめて」
妹にバカにされ半分泣きそうなところにコンコンと乾いた音が響く。
異世界生活始めての来客だ。恐る恐るドアを開けるとペストマスクを着けた真っ黒な装いの長身の男が立っていた。
「燈矢様、鍵乃様でよろしいですね?」
丁寧な口調で語りかけてくるこの男は、黙り込んだ俺らを見て
「お待ちしておりました、勇者様、魔王様」
と告げた。
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