ゼロから始める異世界救済

ゲーマー黒の剣士

9話 正義とは

修を倒してから、俺達4人はシェレールの部屋に移動していた。
「…さて、さっきの奴、一体なんなのか説明してもらうわよ」
「…多分、『特殊スキル』の欄にあった、憤怒(イラ)って言うスキルだと思う。発動条件は、怒りや殺気とかの負の感情が一定数まで達すると発動するらしい。制限時間があって、制限時間内はステータスが強化されるらしい。当たってるか?シェレール」
「え?なんでシェレールに聞くのよ?シェレールが知ってる訳無いじゃない。そうでしょ?」
美琴はそう言いながら、不安そうにシェレールの方を向いた。
シェレールは、美琴の問いに無言で答えた。
「…知ってるんだね。シェレールちゃん…」
「…はい。憤怒(イラ)と言葉は、この世界では有名ですから」
「有名?そうなのか?」
「はい。憤怒(イラ)と言うのは、この世界に7つしかない特殊なスキルの1つなんです」
「7つ…あぁ、なんとなく他のスキルの名前が分かった気がする…」
「え?なんで分かるのよ?」
「あー、あれだよ。強欲とか色欲とか傲慢とか怠惰とか暴食とか嫉妬とかの奴だよ」
「…あぁ、あれね」
全部言った所で、ようやく分かったようだ。
「皆さんの世界にも、同じような言葉があるんですね。驚きました…っと、話が脱線しましたね。皆さんは、『大罪』スキルについて何が知りたいのですか?」
「…じゃあ、憤怒(イラ)以外のスキルって、どんな能力持ってるんだ?」
「能力、ですか…」
俺が能力について聞くと、シェレールは少し難しい顔つきになった。
「実を言うと、今の段階で能力が判明しているのは、和人さんの憤怒(イラ)だけなんです…」
「……え?」
シェレールが物凄く申し訳なさそうな顔をしている。
なんか酷な質問をしてしまったようだ。
「えっと、その…なんかすまん…」
「い、いえ…何も知らないのにあんな事を言った私も悪いですから…」
「……」
「……」
気まずい空気が、シェレールの部屋に充満している。
(どうしよう…凄く気まずい…)
暫くこんな空気が続いて、それに耐えれなくなったのか、それとも、元々話すつもりだったのか。
シェレールが口を開いた。
「…和人さん、2人で話してた時の事、覚えてますか…?」
『2人で話してた時の事』とは、十中八九『あれ』の事だろう。
「「??」」
美琴と雪篠が首を傾げている。
それもそうだ。
2人はあの時、その場にいなかった訳だしな。
「…覚えてない」
「嘘です」
あっさり見破られた。
まぁ最初からバレないなんて思ってないけど。
「…もうあの話は終わりだ」
「いいえ、まだ終わっていません。続いています」
「くどいぞ」
俺が殺気を混ぜて言葉を放つ。
「ッ!?」
シェレールは怯えていた 。
俺の殺気を受けたせいだろう。
(威力を1番低くしたつもりだったんだが、それでこれか…)
「……和人さん。私は、貴方に諦めてほしくないんです…」
「……なぁ、シェレール。正義ってなんだと思う?」
「え…?」
「俺にとっての正義は、悪い奴等を倒して、人々を守る。それが俺の正義だった。でもな、ある日思い知ったよ。正義なんて存在しない……いや、正義は確かに存在する。何故なら、正義ってのは、『これが俺の正義だ』と思ってしまえば、例え殺しや世界を消滅させる事だって、正義になってしまうからだ」
「ッ!?」
「シェレール。お前の正義は正しい。でもな、生きている人全員が、己の正しいと思う正義を持っているんだ。そして、それがお前みたいな善意に溢れた正義とは限らない。それを覚えておけ」
「……」
シェレールが俯いたまま顔を上げようとしない。
(許せシェレール。これもお前の為なんだ。)
「…そろそろ自分の部屋に帰る。それじゃ、また明日会おう」
俺は、美琴達を置いたままシェレール部屋を出た。

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