ゼロから始める異世界救済
6話 利害の一致
彼女は泣いていた。
俺のせいで泣いていると分かっている。
(でも…それでも、俺には守りたい奴等がいる。だから…俺は…)
「…私は、ここで諦める訳にはいかないんです!お願いします…どうか…力を貸してください……」
「……どうすればいい」
「……え?」
「俺はどうすればいい?何をすればいい?俺に何を求める?」
「…協力、してくれるんですか?」
「…守りたいものがあるんだろ?」
「…!」
「俺にも、守りたい奴等がいる。だからお互い、守りたいものを守ればいい。俺は仲間を、あんたは国と民を。」
「…ありがとうございます。お礼は、いつか必ずします…」
「お礼?俺達は、偶然利害が一致しただけだ。守りたいもの達を守るのに、邪魔になる存在が一緒なだけだ。そうだろ?だから、お礼なんていらねぇよ」
(あの王様は、必ず俺達の障害になる。美琴と雪篠を守る為には、舞台から退場してもらわないと困る。)
「……」
お姫様は、ポカーンとした顔で俺を見ている。
「な、なにか文句でも?」
「い、いえ…あの、何故急に協力的になってくださったのかと思いまして…」
「さっき言っただろ?利害が一致しただけ……いや、違うな」
「?」
「…お前の目、昔の俺によく似ている」
「似ている…ですか?」
「あぁ。真っ直ぐで…正義感に溢れている。俺も昔はそうだった…」
「…今は違うんですか?」
「……俺は昔、正義の味方に憧れていたんだ。悪い奴等をやっつけて、いろんな人達を助ける。そんな人間に」
「『いた』って…諦めたんですか?」
「あぁ……ある日気づかされたよ…正義の味方なんて、ただの綺麗事だったって事がな…そんな事、もっと早く気付けば良かった」
「……そんなことありません」
「……は?」
「確かに、正義の味方なんて、ただの綺麗事なのかもしれません。でも、そんな綺麗事に救われている人も、確かにいるんです」
「……馬鹿馬鹿しい」
「ふふっ、そうですね。でも、少なくとも私は救われました」
「……」
「…だから、諦めないでください!」
「ッ!?」
「諦めなければ、きっといつか、願いは叶うんです!。だから…だから…!」
ゴーンゴーンゴーン
彼女がなにかを言おうとした時、執事さんが言っていた『夕食の時間を知らせる鐘』が、王宮に響き渡った。
「……そろそろ夕食の時間だ」
「…そうですね。ありがとうございました。詳しい事はまたあとで話します」
「分かった。またあとでな」
そう言って俺は、ドアノブに手をかけ、彼女の部屋から出た
俺のせいで泣いていると分かっている。
(でも…それでも、俺には守りたい奴等がいる。だから…俺は…)
「…私は、ここで諦める訳にはいかないんです!お願いします…どうか…力を貸してください……」
「……どうすればいい」
「……え?」
「俺はどうすればいい?何をすればいい?俺に何を求める?」
「…協力、してくれるんですか?」
「…守りたいものがあるんだろ?」
「…!」
「俺にも、守りたい奴等がいる。だからお互い、守りたいものを守ればいい。俺は仲間を、あんたは国と民を。」
「…ありがとうございます。お礼は、いつか必ずします…」
「お礼?俺達は、偶然利害が一致しただけだ。守りたいもの達を守るのに、邪魔になる存在が一緒なだけだ。そうだろ?だから、お礼なんていらねぇよ」
(あの王様は、必ず俺達の障害になる。美琴と雪篠を守る為には、舞台から退場してもらわないと困る。)
「……」
お姫様は、ポカーンとした顔で俺を見ている。
「な、なにか文句でも?」
「い、いえ…あの、何故急に協力的になってくださったのかと思いまして…」
「さっき言っただろ?利害が一致しただけ……いや、違うな」
「?」
「…お前の目、昔の俺によく似ている」
「似ている…ですか?」
「あぁ。真っ直ぐで…正義感に溢れている。俺も昔はそうだった…」
「…今は違うんですか?」
「……俺は昔、正義の味方に憧れていたんだ。悪い奴等をやっつけて、いろんな人達を助ける。そんな人間に」
「『いた』って…諦めたんですか?」
「あぁ……ある日気づかされたよ…正義の味方なんて、ただの綺麗事だったって事がな…そんな事、もっと早く気付けば良かった」
「……そんなことありません」
「……は?」
「確かに、正義の味方なんて、ただの綺麗事なのかもしれません。でも、そんな綺麗事に救われている人も、確かにいるんです」
「……馬鹿馬鹿しい」
「ふふっ、そうですね。でも、少なくとも私は救われました」
「……」
「…だから、諦めないでください!」
「ッ!?」
「諦めなければ、きっといつか、願いは叶うんです!。だから…だから…!」
ゴーンゴーンゴーン
彼女がなにかを言おうとした時、執事さんが言っていた『夕食の時間を知らせる鐘』が、王宮に響き渡った。
「……そろそろ夕食の時間だ」
「…そうですね。ありがとうございました。詳しい事はまたあとで話します」
「分かった。またあとでな」
そう言って俺は、ドアノブに手をかけ、彼女の部屋から出た
「ゼロから始める異世界救済」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
世界最強都市"ヨミ"の魔王
-
6
-
-
いつか夢見た夢の跡
-
3
-
-
魔科学
-
5
-
-
記憶改竄的現世界物語
-
4
-
-
精霊たちと契約戦争
-
39
-
-
Frontier・Friend
-
3
-
-
主人公は誰? (仮)
-
7
-
-
魔王と歩む世界
-
6
-
-
神殺しの狂戦士達
-
42
-
-
異世界へ行く準備をする世界~他人を気にせずのびのびと過ごします~
-
9
-
-
神の代理人
-
10
-
-
幸せに暮らしたいだけなのに
-
14
-
-
魔王の娘を嫁にした後のハーレムなお話~世界最強の勇者は嫁の数だけ強くなるそうです~
-
29
-
-
バカと天才は“神”一重
-
10
-
-
魔法科高校白百合学園底辺クラス1年C組〜実力で示してみろよ〜
-
13
-
-
今日も俺は採取系の依頼をこなす。
-
3
-
-
落ちこぼれの冒険者だけど、地上最強の生き物と共に最強を目指すことになりました。
-
10
-
-
異世界は割とどうでも良かったけど地球もピンチらしいので行ってきます。但し相棒のおかげで胃がマッハです。
-
13
-
-
度重契約により最強の聖剣技を
-
108
-
-
適当過ぎる勇者召喚に巻き込まれ、適当に割り当てられたスキルが《神調整》とかいう、もはやスキルとは呼べない神の力だった物語。
-
33
-
コメント