現代魔法学は俺に向いていない

見習いのベル

プロローグ

「なあ、俺達って親友だよな?」

約1年前のことだった

「何を今更…当たり前だろ8年も一緒に戦ってるんだし」

「そうか…じゃあココア買ってくれ!」

「嫌だ」

つかさがそう答えると彼はいつも決まって不機嫌になる。

すると開き直ったように彼は言う

「じゃあ司!」

「今度は何だ」

司が答えるとすぐに

「約束しよう」

「…いきなりどうした?」

彼は司の目をしっかりと見て言った。
「俺とお前とクラスメイト達も生きて帰ろう全員欠けることなく」

「そんなことか…当たり前だろ。一ヶ月後また学校に全員で集まろう」

司はあの中学生最後の冬、の真っ白な雪が降り積もる日約束した。


「おーい。…ったく…おい、雪平ゆきひら!」

野太い声が耳に響く。

「あ?」

思わず間抜けな声が出た司は顔を上げるとそこには学年1怖いことで有名な山田先生が司を見下ろしていた。

この人の授業は子守歌を聴いているようだからつい寝てしまった。
とりあえず謝ろう。なるべく関わりたくない。
「すみませんでした。以後気をつけます」

「なんだ『あ?』って、雪平…貴様俺を舐めてるな…廊下に立っていろ。」

廊下に立っていろとかいつの時代だよ…最悪だ。

こうして長い長い30分を廊下で過ごした。

放課後。誰かが話しかけてきた。

「なーなー司!!ここの魔法詠唱教えてくれよー!お前頭いいだろー?」

司のたった一人の友。伊月いつき 大輔だいすけだ。運動神経抜群な彼は学力が少々乏しい。

「またか…で、どんなのだ?」

すると教室の奥から声が聞こえた。

「そんなのもわからないの?基礎中の基礎よ?」

クラスメイトの水瀬みなせ ゆい。彼女は学級委員長でクラスの人気者であり、さらには魔法基礎学の学年1位の完璧人間。

「んじゃ大輔、俺は先に帰る」

「なんでだよー!教えてくれるんだろー?」

「水瀬さんに教えてもらえ。あと俺はそんな約束はしていない。じゃあな。」

そうして俺はオレンジ色に照らされる教室を出ていった。

「なぁ水瀬さん俺ちゃんと約束したんだぜ?
勉強教えてくれって」

「そうなの?でもそれってあなたが一方的に押しつけただけじゃ……」

「ん??なんか言ったか?」

「いえ何も。あなたはいつでもそうね。だからいつも逃げられるのよ」

「せっかくこの優しい優しい俺がぼっちくんにかまってやってるのになー」

と、大輔は笑いながら言った。

「それと雪平君は約束とかは…多分しないわ」

「なんか理由でもあるのか?」

「さぁ…そこまではわからないけど約束事はしないって生徒達の間じゃ少し噂になってるわ」

「へぇ…だからあいつ友達いねーのかな」

すると立て付けの悪いドアをガラガラと開ける音がして担任の草野先生が顔を覗かせて

「お前らまだいたのか、とっくに下校時間過ぎてるぞ。さっさと帰れー!」

そうして伊月らは帰り、先に出た司は30分ほど自転車を走らせて家に着いた。

司は鍵を開けドアを開いた。

「ただいまー」

2階からドタドタと階段を駆け下りてくる音がすると元気な女の子が司に抱きつき見上げて言う。

「おかえり。お兄ちゃん!」

司の実の妹であり唯一の理解者だ。

「ただいま加代かよ

そう司が言うと加代は司の腕を引っ張って2階にある加代の部屋まで連れて行った。

「お兄ちゃん早く早くー!」

「そういえば今日は治療の日か」

「そうだよーお兄ちゃんがいないと死んじゃう病!」

「バカ言え」

しかし事実でもあった。司が週1で行う傷の治療は毎週しなければ最悪加代は死ぬ。

「ほら、上脱いでうつ伏せになれ」

「はーい!」

加代はパジャマを脱ぎうつ伏せになった。

司は加代の背中に当て六位魔法 ハイヒーリングを使用した。

しかしそれには司にも少々負担がかかる。とある理由で司は本当の力を封印している。その力は人に見せられるものではないからだ。

そしてその力は兵器にもなり得る。

そしてこの1週間に一度のハイヒーリングによる治療は魔力を封印した状態では使うことはできない。なのでこの時だけ力を少しだけ解放する。

「ねぇお兄ちゃんまだー?」

「ああ、ごめんごめん。もう大丈夫だよ」

すると加代は少し頰を赤くして言った

「私だって少しは恥ずかしいんだからねー」

「悪かったよ…もう戻っていいか?」

「うん。今日もありがとねお兄ちゃん!」

そう言って加代は司に投げキッスをしてきたが司はかわして加代の部屋を後にした。

午後8時 空が雲に覆われている今日、司は屋上に出て街を眺めていた。

ここから見える眩いまばゆ街の景色は最高に綺麗なのでいつも司は屋上に出て一人考え事をしている。

「うん。それにしても何度観ても街の美しさと言ったらすばらしい。まぁ加代はその100倍かわいい。 さて明日は2回目の実技試験か…」

年に8回ある普通魔法実技試験は成績にも勿論関わるが、何位魔法を使えるかによって学校では色々待遇等変わってくる。

「他の奴らはどのくらいまで使うことができるのだろうか。」

明日の試験で本気だしたら偉い騒ぎになってしまう。なので今回も加減が必要になる。

司は大きなため息をついた

「明日は忙しくなるな」

そう独り言を呟くと立ち上がり自分の部屋に戻って行った。

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今回はこの辺にしときます。
初投稿&ラノベはアニメしか見ない…なのでどうか暖かい目で…お願いいたします。

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