楽しむ異世界生活

フーミン

最終話 生活とは1番の幸せ

次の日の朝、さっそく俺達の家にいくつかの手紙が届いた。
 父と母からも届いたし、学生時代友人だったヤンキーのリーダーシャールからも。
 エレナ姫からも、マルコフはと言うと、魔王の1人を倒したとかいう報告が。


「こんなに手紙を貰ったの初めてだよ……」
「あ、ラブレターなんかも貰ってるじゃん」
「え? 見せて見せて……」


ラブレターって……ユウキさんじゃないか。
 勇者のくせにまともな店を紹介してくれない奴め。どうせ手紙出すなら会いに来い。シバキ倒してやる。


「レム姉は男の人と付き合ったりするの?」
「しないよ? 僕はケルミアが一番大事さ」
「えへへ〜」


しばらく手紙を眺めていると、ケルミアが突然立ち上がった。


「どうしたの?」
「レム姉さ、何かしたい事ってある?
この10年間眠り続けて、色々と損したことあるよね」
「そんなことないよ。ケルミアが元気に生きてるだけで僕は充分だよ」
「でもさ、このままずっとこの家で暮らすの?
 どこかに冒険に行っちゃったりしない?」


なるほど、ケルミアは俺がまたどこか遠くに行かないか心配してるのか。


「大丈夫。ずっとケルミアと一緒だよ。
 僕はもうどこにも行かない」
「本当?」
「本当だよ」
「良かった……じゃあ今日も甘えて良いかな?」
「うん」


俺はそういって両手を広げると、ポフッと倒れ込んできた。


 俺は今、最高に幸せで楽しい生活を送っている。
 好きな人と一緒に生活しているだけで、これだけ幸せと感じられるのはおかしいだろうか。


 俺は異世界に転生して、やっと目的を達成したと思う。これ以上の幸せは求めない。今を大事に生きよう。
 普通に生きて、普通に生活していることが一番の幸せなんだ。


 俺の残りの人生、どれだけの時間幸せでいられるか分からない。
 でも、少しでも幸せな時間を伸ばすためにも、現状を維持できればそれで良い。


ケルミア、レイン、ネロ、アキヒト。俺を幸せにしてくれてありがとう。
 そしてこれからもずっと、一緒に幸せでいよう。


ユウキ、お前は別だ。

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