楽しむ異世界生活

フーミン

51話 恋愛対象はメス

 それから、俺はケルミアやアキヒトに食事の手伝いをしてもらって、栄養を取り始めた。
 なんとか喋れる状態になった俺は、25歳の俺の声を初めて聞いた。
 透き通った綺麗な声だった。


『大天使化してるからですよ』
『えっ!? まだしてたの?』
『どうやら10年間大天使化を行っていた影響で、元の体に戻ることができなくなりました』


まあ別に良いか、大天使化した姿って美人だし。……今はやせ細ってるけど。


「レム。10年間眠った感想はどうだ?」
「そりゃもう熟睡できたよ」
「そうか。こっちはレムが目覚めるまで死んだ魚の目をしながら働いてたよ」
「ついにニートが働いたのか」
「おい。今の俺はニートじゃないぞ」
「はいはい剣聖アキヒト様〜」
「ったく……。
そういやレム。お前、この10年間どうやって取り返すつもりだ?
 あっという間に25歳になったんだろ?」


そういえばそうだな。
 人生の10年を損したんだ。女らしいこともしないで、ずっと眠り続けた。
 まだちゃんとした恋愛も、冒険もしていない。


「はぁ……俺の人生……」


俺は天井に手を伸ばしながら、過去の時間を惜しむ。
 《時空旅行》でも、10年間命の危機で眠っていた事を無かったことにするのは不可能なようで、10年の間に行くことはできなかった。


「そうだなぁ……レム。お前まだ処女だろ?」
「なっ、なんでそんな事聞くんだよ」
「……1度くらい経験しなくて良いのか?」
「言っておくが、俺は男とする気はない。可愛い女の子と生涯イチャイチャして過ごしたいんだ」


恋愛対象じゃない男に俺の処女を奪われてたまるか。
 10年の眠りから覚めたらいきなり処女喪失? そんな事で俺の10年がかえってくるわけでもない。
 もっと他に……女の子と色んなことができる経験が……


「レムならそういうだろうと思ったよ。
そこでだ。お前、ケルミアがお前のことをどう思っているか分かるか?」
「え? そりゃあ、頼れるお姉さんとか、憧れの人みたいなもんだろ?」
「それがよ。ケルミア、お前のことを恋愛対象として見ているらしい。
 もうケルミアも23歳、良い歳だろう。そんなケルミアが、お前と付き合いたいと言っている」
「……つまり何が言いたい」
「レムのリハビリが終わったら、豪華な宿屋に無料で二人。泊めてやる。
 そこで何するかは二人次第だ。お前も得だろう?」


んん〜……確かにケルミアは可愛い。ちょっと筋肉がついた腕も足も良い。そんなケルミアが俺を恋愛対象として、か。
 確かに、小さい頃から一緒に過ごしてきたもんな。男らしいところを見せたりもした。
 しかしだ。10年の間にケルミアがどのような性格になっているのか分からないとな。


「うん、アキヒトの考えはなかなか良いな。俺にとってもそういうプレイは好きだ。
 だが、リハビリ中にケルミアと話して、性格とかを確認したい」
「ああ、会うなとは言わない。好きなだけイチャイチャしてくれ」


俺はニヤッと笑って、アキヒトと拳を合わせる。
 リハビリ頑張らないとな。


ーーー


その日は、ベッドから起き上がって立てるまで行こうとしたが、なかなか体に力が入らなかった。
 途中からケルミアも手伝ってくれたが、2人に体重を預けてるだけにしかならなかった。
 そしてケルミアの手付きがいやらしい。


「レム姉、少しずつ動けるようになれば良い。
 少しずつ頑張ろ!」
「そ、そうだね」
「とりあえず一旦休んで、色々と話そっか」


ケルミアは、案外気軽に話してくれる積極的な性格になっていた。
 尻尾をパタパタを振りながら、10年の間に起きた出来事を話してくれた。
 2人で笑いながら話していると、いつの間にか夜になっていた。


「あっ、夜だね。ケルミアは今日はどうするの?」
「この部屋に泊まって良いかな? 久しぶりにレム姉と一緒にいたいし」


そういってニコッと笑うケルミアの笑顔は、天使そのものだった。
 ケルミアと恋愛できるなら俺は問題ないな。


「ねぇレム姉。レム姉はどんな人がタイプなの?」
「えっ? いきなり恋バナするの?」
「折角の夜なんだしさ! いろんなこと話そうよ! ほらほら、タイプは?」
「タイプかぁ……。可愛くて、甘えてくれる女の子かな」


無理に男が好きという必要はない。それにケルミアも俺のことを好きなようだし。


「ほんとっ!? ねえねえ!私って可愛い!?」
「うん可愛いよ。ケルミアと付き合っても良いくらい」


リハビリ初日で付き合うことになれば、俺も活力が湧くしな。


「えっ? ……ほんと?」
「本当」


ケルミアの顔が赤く染まり、照れたように体をモジモジとさせている。


「じ、実はね。この10年間、私、レム姉の事しか考えられなかったの。
 いつからかな……。その不思議な感情が恋だって気づいたのは……。
 私ね、レム姉の事が好きなんだ」


照れくさそうに、『好き』と伝えてくれるケルミアの顔もまた可愛い。


「僕もケルミアの事好きだよ。そしてこの世界で一番大事な存在」
「レム姉……10年前のあの日、私のこと守ってくれたよね。そのせいで、レム姉は10年間眠ってしまうことになった。
 でも、今度は私がレム姉を守る番なんだと思う! そのために、冒険者として頑張ってきた。
 今日は……頑張った私を、あの時のように頭を撫でてくれますか……?」


そういって、頭をこちらに向けてくる。ピクピクと動く耳が可愛らしい。
 俺は、優しくケルミアの頭を撫でる。とても気持ちよさそうに声を出すケルミアの顔は、とても嬉しそうだった。


「んっ……レム姉ぇ……。今日は甘えても良いかな……」
「うん、一緒に横になろうか」


ケルミアは赤く染めた顔で、同じベッドに横になる。
 向かい合っていると、ケルミアの息が聞こえる。


「ケルミア。僕はケルミアの事が大好きだよ。そして、これからもずっと大好き。
 ずっと一緒に居てくれる?」
「勿論……レム姉も、急にいなくなる事なんてしないでね……。
 あ、レム姉の足だ……」


俺のふとももを触るケルミア。


「擽ったいよ……」
「すべすべ……内側はどうなのかな……?」
「ケルミア、ちょっと変なとこ…んっ……」
「感じてるレム姉可愛い……」


その日の夜。動けない俺の体に、ケルミアから一方的に攻められた。


ーーー


「レム姉おはよっ!!」
「……おはよぉ〜……」


甘えてくる犬のように体をこすりつけてくるケルミアを、優しく抱きしめる。



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