楽しむ異世界生活

フーミン

46話 お買い物

「レム姉〜……変身して〜癒して〜」
「はいはい……」


大天使化して、ケルミアとネロを癒す事になった。
 俺と同じ姿を実体化させて俺も癒されようかな……。なんて思って実体化したが、ケルミアが両方使って癒され始めた。
 大天使化した俺と実体化の俺に挟まれて、点に登りそうな顔をしている。


「はぁ……僕も休みたい……」
「3人目を作れば良いじゃない」
「そしたら3人目も使って癒されるでしょ……」


もう大天使化もただの道具だな……。もっと奥の手として使いたいのだが。
 大天使化した俺の姿は美しすぎる、そして周りを癒す能力がある。
 俺のそばにずっと居るだけで人生の一生を過ごすことができるだろう。だが駄目だ。
 俺は大天使化を解いて、出かける準備をする。


「もう出かけるの?」
「ケルミアも武器、欲しいでしょ?」
「欲しい!! 武器買いに行くの?」
「ついでに、服とかも買おうかなって考えてる、無料だし。
 買ったら帰って、ケルミアに秘密の特訓をするよ」
「秘密……!」


ケルミアは秘密の特訓と聞いて目を輝かせているが、実際はレインによる鬼畜な特訓だ。
 まずケルミアとレインは会ったことがないからな。それに人型のネロにも会ったことがない。
 夢の中で、俺と一緒に戦闘訓練や恐怖心の克服をしよう。


宿屋から出て、冒険者達に追われながら服屋へと入る。
 異世界だからって鎧着て戦うんじゃなくて、オシャレして楽しみたいのだ。


「レム姉〜! これレム姉に似合うと思うよ!」
「それは……」


ケルミアが持ってきたのは黒いワンピース。
 この世界にもワンピースってあるんだな。でも俺には似合わないだろう。


「レム様なら似合いますよ。ご試着してみてはどうでしょう」


店員さんまで勧めてくる始末。
 そこで断るほど俺の度胸があるはずもなく、試着室に入ってしまった。


「はぁ〜……」


深いため息をつく俺の手には、黒いワンピース。こんな俺に似合うのだろうか……。
 嫌々ながらも、上着を脱いでワンピースを着る。ワンピースとか着たことないからなぁ〜……。
 綺麗に着て前の鏡を見る。


「どう〜? 着れた〜?」
「わっ! ちょっ、いきなり開けるとビックリするでしょうがっ!」
「わぁ〜! 凄い似合ってる!!」
「お綺麗ですよ」


そう言われると照れる。
 か、買っちゃおうかな……。いやいやダメだ!
 こんな服、普段着るわけないじゃないか。あぶないあぶない……店員に見事に買わされそうになった。


「いや、買いません!」


俺はカーテンをシャッと閉めてすぐに元の服を着る。
 やっぱりワンピースなんて女々しい服は、俺の好みじゃない。


「ケルミアも何か買って着なよ」
「じゃあ私の服はレム姉が選んで!」
「えぇ〜……僕センスないけど?」
「大丈夫!!」


ん〜……じゃあ、普通にケルミアに会うサイズの、白いワンピースで良いんじゃないかな?
 俺が首をかしげながらケルミアに差し出すと、すぐにそれを手に取って試着室へと入っていった。


「本当に大丈夫かなぁ……」


着てみて駄目だったら俺のセンスが疑われてしまう。
 ケルミアが着替え終わるまで、ドキドキしながら待っていると、カーテンが勢いよく開かれた。
 その先には、ドヤ顔のケルミアが胸を張って立っていた。


「どう? 大人っぽいでしょ」


といって、髪をサラッとなびかせる。
 確かにケルミアに似合ってる。似合ってるけど。


「尻尾のせいでパンツ丸見えだよ」
「嘘っ!」


ケルミアは自分の尻尾を掴んで、ワンピースがめくれ上がらないようにした。


「やっぱり普段着ないような服だとダメだよ。
 いつも着てるような服にしよう」


結局、俺達のファッションセンスも、服を活かすビジュアルも持ってないと落ち込みながら、普段着ているような服を、黒いカードで無料にしてもらい購入して、アイテムボックスの中に入れる。


「んじゃ、次はケルミアの武器だね」
「私ね! レム姉みたいな大きい剣が欲しい!!」
「はいはい。買ってあげるから行こ」


なんとか街の中から武器屋を探し出して、店の中へ入る。


「あえ!? Sランク冒険者のレムさんじゃねぇか!
 こんな冴えない店に用なのか?」


そこまで有名になってるのか。


「この子が持てるくらいの剣を買おうと思いましてね。
 これから超一流の剣士に育てていくつもりです」
「ほぉ〜超一流にか……。じゃあ立派な剣が良いよな。
 これなんかどうだ?」


店主が持ってきたのは、青い装飾が施された綺麗な剣。
 俺の剣よりは小さいが、とても綺麗だ。


「ケルミア、持ってみて」


ケルミアは剣を持つと、かっこよく決めてるつもりでポーズをとっている。


「うんうん、似合ってるね。
おじさん、これ買います。このカードで」
「あぁ……無料ね…………」


おじさんに代金を払わずに店を出ていく。
 やはり無料というのは嬉しいが、罪悪感があるな。


「やった!! 私の剣!」
「こらこら、街中で振り回したら駄目だよ」
「は〜い」


さてと……帰ったらさっそくケルミアを特訓させるか。
 こんなに喜んでいるケルミアが、訓練のあとどう変わるか楽しみだな……。
 俺はニヤッと笑いながらいつもの宿屋の部屋に戻る。

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