楽しむ異世界生活

フーミン

44話 Fランク冒険者

俺は充分戦闘能力はあるし、あとは魔物に対する恐怖心の克服だけだ。
 ケルミアはこれから魔法の特訓をしてもらって、戦闘能力を上げてもらおう。


「レム姉、これからどうするの?」
「そうだねぇ〜……冒険者ギルドで依頼でも受けようか」


まだ俺達はFランクの冒険者だ。早くランクを上げて魔物討伐依頼を受けたいな。


 俺とケルミアは、冒険者ギルドの中にある掲示板の前に立っていた。


「Fランクで受けれる依頼って……」
「配達…………」


Fランクで受けれる依頼のほとんどが、手紙や荷物を届けるものばかりだ。


「おいお前らか? 冒険者登録したばかりで、男を叩きのめしたってのは」


突然後ろから声をかけられ振り返ると、そこには優しそうな太ったおじさんがいた。


「え、ええそうですけど」
「そうかそうか。俺の名前はマーランドってんだ。この街で配達依頼ばっかり受けてる」


配達依頼だけで、報酬も少ないのに生活していけるのだろうか。
 確かにこの人は、戦闘なんて向いてなさそうな体型をしている。


「マーランドさんは、配達依頼しか受けないんですか?」
「まあそんなとこだな。こう見えても体力だけは自信があってな、国から国を渡って配達してるって訳だ。今日も隣の国からやってきた。
 なにやら新米冒険者が配達依頼を見て困っているように見えてな。俺に手伝えることがあれば手伝うぞ」


手伝ってくれるのはありがたい。でも、俺にはアイテムボックスもあるし転移魔法もある。
 配達依頼もあっという間に達成して帰ってくるだろうし、手伝ってもらうまででもないな。


「ん? その指輪……アイテムボックスじゃねぇか!
 それさえあれば、1度に沢山の物運べるんだろ?
 10金貨でどうだ!? 売ってくれ!」


マーランドさんが叫んだことにより、周りの冒険者達の視線が集まる。


「いや、ごめんなさい。大事な物なので……」


いくら10金貨貰えるとしても、アイテムボックスさえあれば配達依頼を簡単に達成できるし、一気にランクも上げれる。
 そうしたら10金貨くらい簡単に集まるだろう。


「そうか……。呼び止めて悪かったな、頑張れよ」
「はい。マーランドさんもお元気で」


特に何事もなく話は終わり、掲示板へと向き直る。
 一先ず、いくつか依頼を受けて達成した方が早いな。


「レム姉、はやくランク上げよう?」
「そうだね」


俺は掲示板に貼ってある紙を、4枚ほど取って受付嬢に渡す。


「え、えっと……配達依頼を4つですか……。
それぞれ目的地が離れていますけど、大丈夫ですか?
 それに荷物も多そうですし……」
「アイテムボックスと転移魔法が使えるから問題ないよ」
「そ、そうですか……転移魔法!?」


受付嬢が叫んだことにより、また冒険者達の視線が集まる。


「う、うん。そういうことだからもう行くよ」


俺とケルミアは紙を持って冒険者ギルドを出る。
 沢山の人に見られるのは懲り懲りだ。


「まずは依頼人から荷物を受け取るんだよね?」
「そうだよ。場所は紙に書いてあるから転移して早く終わらせよう」


ケルミアと共に、転移して荷物を受け取りアイテムボックスに入れていく。
 随分と大きな荷物もあったが、アイテムボックスには問題なく入るようだ。
 全ても荷物を回収した後は、目的地に転移して届ける。
 全く知らない国に来たり、昔父と来た街にも転移した。
 あっという間に依頼内容を終わらせて、配達先からそれぞれ金を受け取ったので、達成報告をするために、元の冒険者ギルドの前に転移する。


「うぅ〜……転移する時体が熱いね」


あぁそうか、ケルミアは耐熱体制がないから熱いんだったな。
 次から転移する時は気をつけよう。既に10回ほど転移してるけど。
 ギルドの中に入って、さっきの受付嬢に紙を渡す。


「全部終わりました」
「えっ!? さっき出ていったばっかりですよね!? 冷やかしですか?」
「冷やかしじゃないよ、酷いなぁ。
ちゃんと荷物を届けてお金も受け取ったよ」
「ん……転移魔法が使えるのは本当のようですね……。だとすると相当な魔力量を持っているようで……。
 1度魔力量を測ってみませんか? 結果によってはランクを一気に上げますけど」


魔力を測ったらランクが一気に上がる?
 それってこれ以上配達依頼を受けなくても良いってことか?


「は、はい!お願いします!!」
「では水晶も持ってきますので、少々お待ちください」


まずはケルミアからランクを上げてもらおう。
 確かケルミアの魔力量は10万だったっけな?


『はい。合ってます』


うん。魔力量が多すぎて水晶が壊れるってことは流石にないよな……?
 なんだが心配になってきたな。俺でも10億あるって言ってたし、絶対壊れそう。


「お待たせしました、この水晶に魔力を流してください。
 方法は……分かりますよね? イメージです」
「ケルミア、できるかな?」
「頑張ってみる」


ケルミアの脇を持って抱き抱える。小さな手で水晶に触れると……。
 ピシッとヒビが入った。どうやら頑丈そうだな。


「えっ……水晶にヒビ? す、すいません。いますぐ取替えてきます」
「いやいや、いいよいいよ。次は僕の番だね」


受付嬢は水晶が壊れているのかと思っているようだ。
 水晶に触れて、魔力を流し込む。壊れてしまわないように精一杯魔力量を調節した。
 すると、水晶は真っ白に光り輝いた。


「すっ、凄すぎます!! 国一番の魔術師と同じ……いや、それ以上に光ってます!
 貴方一体何者なんですか!? 」
「な、なんなんでしょうねぇ……」


なんとか壊さずに済んだな。
 しかし、それでも圧倒的な魔力を送ってしまったらしい。
 周りの冒険者が驚いている。


「え、ええっと……この量だとあっという間にSランクなのですが。戦闘技術の方も求められるので、闘技場で戦闘試験を受けますか?」
「それを受けたらSランクになれるの?」
「はい! もうFランクから一気にグワッと!!」


そりゃ受けるしかないだろう。
 俺は、ケルミアを連れて闘技場へと向かった。

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