楽しむ異世界生活

フーミン

43話 俺は異常だ

竜化しよう。
 念じただけで竜化が始まった。


「う、うおおお……」


全身に鱗が生えて、足もトカゲみたいになっている。
 そして大きな白い翼。四本目の手とも言う。
 そしてなにより……


「デカいっ! ちょっ!! どんだけでかくなってんの!?」


レインが、俺の手のひらサイズになっている。
 竜化したら体大きくなんの!?


「凄いですレム様! 魔力量が1京ありますよ」
「はあぁっ!? 竜化しただけで1京!?」
「ちょ!声が大きくて耳が痛いです!
体が大きくなった代わりに、体内の魔力も増えたようです。
 しかし、身体能力は低下してしまっています。
 基本的に空を飛んで、魔法を使う戦い方が有利でしょう」


いやいやいやいや!! こんな巨大な姿で誰が戦うかよ!
 まさか神様から最初に貰った能力が最強だったとはな。
 鱗を付けるだけと、翼を付けるだけじゃそんなに変化は無かったけど、竜化したとたんに体が変化するなんてズルイぞ。
 体も重いし、時の流れが遅く感じる。


「と、とりあえず竜化はやめだ!」


すぐに元の姿へと戻る。


「はぁ……はぁ……夢の中で疲れるはずないのに、なんか疲れたな……」
「やっぱりレム様は凄いですね……」
「流石僕の飼い主だよ」
「褒められても困る……」


まず桁違いな魔力量だ。これをどうやって使えというのだ。
 確かに《魔王化》できる時間は増えただろう。だが、それは《大天使化》を行えば良いだけだ。
 《竜化》なんて、脂肪が増えたデブと同じじゃないか。
 今後、ちゃんとした使い道を見つけないとな。


「魔王化は、魔物に襲われた時に使えば襲われなくなりますので、いざと言う時に使えますね」
「そうだな……そうやって冷静に物事を考えれるレインとネロが戦ってくれた方が良いがな」


ひとまず、一通りのスキルを確認した。
 あとは一番便利な《大天使》を使いこなせるよう、毎日訓練することだな。


「よし、起きたらケルミアに大天使の姿を見せるぞ」
「そうですね、では起きましょう」


ーーー


「……ふあぁ〜……っっ……」


目を覚まして、さっきの事が夢でありますようにと願った。


『夢ですよ? ですがあれは事実です』


うん……レインも進化したもんね……。
 ケルミアはまだ横でスースーと寝ている。
 もう起こしても良いだろう。


「ケルミア〜、起きて〜。見せたいものがあるんだよ〜」
「んんん〜……レム姉おはよゴホッゴホッ……」
「ちょっ! 大丈夫!?」
「ごめん、唾が肺に入った……。それで見せたいものって何?」


全く驚かせやがって……。まあこれからケルミアはもっと驚くだろうけどな。


「いまからケルミアに、僕の真の姿を見せよう!」
「えっ! 何何! 見せて見せて!!」
「じゃあ、ちょっと目を瞑っててね〜」
「分かった!」


ケルミアは両目を手で抑える。
 その隙に俺は大天使化を行う。目の隙間から見てないだろうね?


「……はい。目を開けてどうぞ〜」
「え? なんか声がかわ…………」


俺の姿を見せ、ケルミアもレイン達と同じように言葉を失っている。


「レム姉……なの?」
「そうだよ。どう? 綺麗でしょ?」
「凄い! それに声も可愛くなってて!なんか心が落ち着くの!
 レム姉! ずっとそのままで居てよ!」


そういって抱きついてきた。


「どうやったの?」
「えっとね〜。僕にしか使えない魔法で、変身したの」
「凄い! レム姉はこれからずっとこのままの姿でいるの?」
「いや、普段は元の姿に戻るよ。
 この姿は奥の手ってやつ」
「おぉ〜! 私も魔法使えるようになりたいなぁ……」
「あ、ちょっと待ってね」


ケルミアにも恩恵を与えよう。能力は魔力量UPだ。
 魔力量が多ければ、無理矢理魔法を発動することができる。
 俺の体から白い光でフワフワとケルミアの元に向かう。


「これなに?」
「そのままにしててね。その光が体に入ったら、ケルミアの魔力が増えて魔法が使えるようになるよ」
「ほんと!?」


ケルミアは、白い光をじっくりと見つめて、自分の体に入る様子を眺めていた。


「入った……これで魔法が使えるようになったの?」
「うん。試しに手のひらに集中して、炎をイメージしてみて」
「分かった」


ケルミアは、小さな手を上に向けて、魔力を集中させる。
 すると大きな炎が現れた。


「魔法使えた!!」
「良かったね!」
『ケルミアちゃんの魔力量は10万。この世界では相当な量ですよ。
 この世界の平均が1000くらいなので』


じゃあ今現在43億もある俺は異常だな。
 そうして元の姿に戻って、改めて自分の異常さを思い知るのであった。

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