楽しむ異世界生活

フーミン

40話 寝床確保

少し豪華な店に入る。店内は金色の装飾が施されており、目がチカチカして痛い。


「いらっしゃいませ勇者様!」


男性店員が頭を下げて歓迎している。
 やはり勇者なだけあって、それだけ高い地位にいるのだろう。
 ケルミアも、こんな豪華な店に入るのは初めてで、小さくなっている。
 店の中には数名の貴族がいた。食事しているところを見ると、テーブルマナーは厳しそうだな。


「さぁ、二人とも座ってどうぞ」
「あ、はい……」


確かにレディーファーストとは言うけど、色々とマナーが厳しすぎてちゃんと食べれるか心配だ。


「あの……僕マナーとかそういうの全然分からないんですけど……」
「あ、しまった。いつものノリで来ちゃったよ」


こいつ……店を出たら殴り殺してやろうか。
 ここから俺、どうしたら良いんだ! 貴族が数名いるなかで、マナーも何も知らない子供二人がビクビクと座ってて!
 目でユウキに怒りの感情を伝える。


「そ、そうだね……。
急用を思い出しちゃったー! 時間ないから帰ろう!」


わざとらしい演技でそそくさの店を出る。


「ユウキ! もっと庶民でも楽に食べれる場所に紹介してよ!
 いつもナンパしてあの店に連れ込んでるの?」
「なっ、違う違う! ほんとにごめんよ!」
「なんか緊張して食欲無くなった……」


ケルミアもそういっている。
 仕方ない、食事は後にして今日泊まる宿屋に行くか。
 転移して家に帰っても良いけど、それじゃ冒険者らしくないからな。形だけでも冒険者したい年頃なのだ。
 勇者に、庶民でも泊まれる宿屋を教えてもらい、俺とケルミアは店の中に入る。
 勇者はもう用済みだから帰ってもらった。
 受け付けには犬耳の男性がいた。店で獣人族をよく見るけど、やっぱりそういう人達って冒険者じゃなくて店の作業が多いのかな?


「あの〜1泊泊まりたいのですが」
「では身分を証明する物と、代金の1銀貨を」


身分証明は冒険者カードで良いだろう。
 ついでにエレナの父から貰った黒いカードを見せる。


「っ! 王族の方ですか!? なぜそんな方がこんな宿屋に?」
「あぁ〜いや、王族じゃなくてエレナ姫のお父さんに貰ったんだ」
「国王様に!?」


エレナ姫の父って国王だったのか!?
 確かに何か威厳のある父親だなぁとは思ったけど……まさかそんなお偉いさんだったとは……。
 まあそんな事は良い。


「それで、無料で泊まれるの?」
「は、はい。どうぞ……」


部屋の鍵を渡された。鍵に『3』と書いてあるから、3号室か。


「あの、犬耳のお兄さん。名前を聞いても良いかな?」
「あの、犬じゃなくて狼です。
名前はバドスといいます」


覚えたぞ、白い狼のバドス。


「ありがとう。これからお世話になるからよろしくね」
「うう……これから無料で1部屋……」


店にとっては赤字になるだろうから、定期的にお金をあげよう。
 ケルミアと一緒に、店の奥にある部屋の3号室に入る。
 学校と違って、トイレは店に1つだ。それなりに高い宿屋ならそれぞれの部屋にトイレがある。


「ふ〜……休める場所確保!」
「ふぅ〜……」


俺とケルミアは同時にベッドに倒れる。


「ケルミア〜……ケルミアは可愛いね〜」
「そ、そう? えへへへ」


横になりながら、ケルミアの頭をなでなでモフモフ。ネロを呼び出し、モフモフモフモフ。
 モフモフに囲まれて俺は今天国にいるのではないだろうか。


『レム様! 最近私に構ってくれなくて寂しいですよ!!』
『あぁ〜レイン〜。構って欲しいなら実体化の努力をするんだね〜』
『ううう……だから実体化はレム様の魔力を使用するから危険だと…………あっ』
『どうした〜?』
『確か、この前レム様が獲得した《魔王》と《大天使》に魔力量UPがありましたよね? ということは実体化できる時間が相当増えたようです。
 大天使化すれば無現に実体化できますよ』


無限に!? だとしたら最強の剣士が常に俺のそばに居てくれるってことだよね?
 幻影魔法で召喚した幻影に、魔力を詰め込むことによって実体化することができる。
 実体化したレインに剣を持たせておけば、剣術も魔法もレインとネロに頼ってたら良いんだ。


『でも、大天使化した時の姿、レインとネロ以外に見せてないんだよね』
『この際ですし、ケルミアちゃんに見せましょうよ!』
『僕もレインの意見に賛成だよ』


ん〜……2人がいうなら……ってケルミア寝ちゃってるし。ケルミアが起きたら見せるか。
 とりあえず夢の中で魔王化の実験と大天使化の実験をしよう。
 ケルミアに布団を乗せて、俺も寝ることにした。

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