楽しむ異世界生活

フーミン

39話 初の戦闘

俺と男は、冒険者達に囲まれた円の中にいる。


「ルールは簡単だ。相手を気絶させるか降参させたら勝ち。
 範囲外に出たら失格だ。
 武器の使用はありだが、殺しは禁止だ」


学園の戦闘訓練場と似たようなルールだな。


「じゃあ遠慮行かせてもらうよ」


俺は白い剣を抜いて構える。
 対人戦はそれなりに経験もあるし、レインの指導で相当な実力を持っている。


「駆け出し冒険者が調子に乗るなよぉっ!!」


男は剣を抜きながら俺に飛びかかってきた。
 しかし、身体強化が弱いのか知らないが、レインやネロの動きとは段違いに遅い。
 切りかかってきた男の剣を、脇の下の体ギリギリに通して体を貫通したと錯覚させる。


「「!!」」


周りの冒険者も、俺が殺されたと勘違いしている。


「ち、ちげぇっ! コイツが弱すぎたんだ!」


目の前の男も剣を刺したと勘違いしている。
 その一瞬の隙をついて、男の首に刀身を当てる。
 俺の刺された演技が見事に成功したお陰で、決闘の初戦は圧勝だった。


「な……なっ! ズルいぞっ! 騙したなぁっ!?」
「あぁ騙したよ。見事に騙されてくれてありがとう。
 約束通り全ての金を貰おうか」
「そんなズルい手で勝ったなんて、反則だ!!」


この男は何を言っているのだろうか。


「おい! 負けた奴がみっともないぞ!」
「そうだ!そうだ!! さっさと賭けた金渡せ!」


周りの冒険者達もそう言っていることだ。
 遠慮なく、腰についてる金貨の入ったポーチを貰うとするか。


「誰が渡す……か……! な、なんで俺の金を!」
「ん? これが決闘のルールだよね?
ありがたく貰っていくよ」
「ど、泥棒だっ! 誰が捕まえてくれっ! おい受付嬢!」
「その方は決闘に勝利したので、犯罪にはなりません。
 レム様、おめでとうございます」
「ありがとうございます」


男は有り金を全て失った事で、随分とショックなようだ。
 ポーチの中には 銅貨30枚に銀貨24枚。金貨4枚。なかなか持っていたようだな。
 俺はアイテムボックスの中にポーチを投げ入れる。


「レム姉! 凄いよ!!」
「まあね! お金も儲けたし、美味しいもの食べに行こっか!」
「お、おいおい。俺もつれていってくれよ」
「あ、ユウキさん居たんですね。影が薄くて気づきませんでした」
「気にしてることを……。まあいい、俺も一緒に食べに行っても良いかな?」
「良いよ〜」


盛り上がった冒険者ギルドから出て、ユウキにオススメの飲食店に連れていってもらうことにした。

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