楽しむ異世界生活

フーミン

36話 お姫様

「へっへっへっ。こいつぁ〜良い収穫だなぁ」
「やめてくださいっ! 離してっ!」
「誰が逃がすかよ! どっかの国のお姫様ぁ? へへっ、アンタを売れば金になるだろうなぁ。
 たっぷり可愛がった後に奴隷として売ってやるよ」


そこには金髪美少女の後ろ髪を掴んで引っ張っている男がいた。
 国のお嬢さま? だからあんなに可愛いのか。そして男の方は盗賊か? こんなに可愛いお姫様を放っておく訳にはいかない!


「待て! そこの盗賊!!」


勢いよく飛び出して、白剣を抜いて男に向ける。


「あぁん? お? お前もなかなか良い面してんじゃねぇか。大人しく捕まったら乱暴しねぇぞ」
「誰がお前なんかの言う事聞くか!
その女の人を離せ! さもないと……許さないぞ!」


良い言葉が思い浮かばなかったが、一応決まっただろう。
 それにしても、なんでこんな場所にお姫様が?
 まあいい、とりあえず助ける事を考えよう。


「へっ。そんなか弱そうなお前が俺に勝てると思ってんのか?
 俺は攻撃魔法が使えるんだぜ? 降参するなら今の内だ」
「攻撃魔法……!?」


男が攻撃魔法と言った瞬間、お姫様は酷く怯えた。別に攻撃魔法くらい使えるだろう。
 俺は一瞬で大きな氷を生成して、男の顔に向けて飛ばす。


「なっ! ゴガァッッ!!」


男は後ろに吹っ飛んで、気に頭を打ち付けた。気絶しているようだ。
 そんな様子をお姫様とケルミアは、ビックリして眺めている。


「お姫様様、怪我はありませんか?」


可愛い女性の前では紳士になる俺。下心は丸見えだ。


「まあ……とてもお強いのですね。お名前はなんというのですか?」
「ぼ、私はレムと申します」
「助けてくださりありがとうございます……。
実は私、ミルネスト王国のエレナと申します」


エレナ姫か。ミルネスト王国というのは聞いたことがあるぞ。
 ここから3番目に遠い王国で、他国の貿易が盛んな国だとか。
 そんな遠い国のお姫様が、なんでこんな場所に?


「実は、ある日王室に侵入者が入ってきまして。転移させられてしまいました」
「転移ということは、その侵入者は魔法使いですか?」
「いえ。転移する時、私に何か投げつけてきたので……。ダンジョンの魔道具かと思います」


ふむ。ということは姫を狙った計画的反抗という訳か。
 転移させて魔物にでも食わせるつもりだったのだろう。


「姫様、私が来たのなら安心してください。
必ずや王国に連れていきます」
「まあ、頼りになるわ」


といっても、転移してすぐに行けるんだけど。
 こんな美人な方と折角会えたんだ。1日くらい家に泊めても良いだろう。


「あちらの方はどなたですか?」
「あ、ケルミアといいます。
ケルミア〜! 姫様がお呼びだよ〜!」


ケルミアは、木の影からビクビクと歩いてきた。
 国の姫様となると緊張するのだろう。


「まあ! とても可愛らしい方ですね」
「でも、ケルミアは私以外にはなかなか心を開かないんですよねぇ……」
「は、初めまして……」
「初めましてっ」


緊張して、尻尾が立っているケルミアも可愛いなぁ……。


「それで、姫様。今日のところは行く宛もないですし、私の家で一晩過ごしませんか?」
「良いのですか?」
「はい。遠慮なく」
「転移で連れた言った方が早いんじゃない?」
「転移魔法が使えますの?」


ケルミア……君は何もわかっちゃいないな。


「つ、使えますが。こうして会えたのも何かの縁ですから」
「それもそうですわね!」


ふぅ。なんとか家に連れてくることができた。
 父と母は、ミルネスト王国の姫様と聞いてせっせと食事を作ったり部屋を片付けたりしていた。


「庶民の生活。私憧れてましたの!
楽しみですわ!レム様もどうぞお掛けになって」


いや……うん。ここ俺の家なんだけどね。
 エレナ姫の横に座って、膝の上にケルミアが座る。姫の横顔は、とても綺麗だった。
 ……ん? 耳が尖ってる?


「エレナ姫はもしかして、エルフですか?」
「いえ、ハーフエルフです」


あぁそうか。エルフはもっと自然の民族みたいなアレだよな。
 ハーフエルフかぁ……。やっぱり知識通り美しいんだな。


『レム様の方が美しいですよ』
『僕もそう思う』
『ははは……レインもネロもありがとう』


確かに、俺が大天使化した時の美しさは言葉にならなかったな。
 俺は姫様の顔をうっとりと眺めながら食事をとっていた。

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