楽しむ異世界生活
27話 尊敬と憎しみ
俺は後輩達から尊敬の目で見られるようになり、先輩達からは一目置かれる存在になった。
あのヤンキー達はというと、いつもと変わらず俺の部屋に遊びに来たり。授業中俺の周りに集まって集中力を乱す存在となった。
ネロはと言うと、ほとんど魔界にいるようだ。指輪を通じて移動ができるようで、特に用がない時は魔界でゆっくりしている。
そんなある日、ケルミアちゃんを肩車して私服で校内を散歩していると、1人の男子生徒が手紙を渡して去っていった。
「レムお姉ちゃんも罪な女ね」
「あはは……男はちょっと苦手なんだよねぇ……」
ラブレターを貰う事が多くなり、俺の部屋の前にはラブレターが溜まっていることが多くなった。
確かに俺は可愛いと自分でもそう思う。前世にこんなクールな美女がいたら俺だって告白していただろう。
男達には悪いが、俺は女の子が好きなのだ。中身が男なだけあって、男を恋愛対象として見るのは辛い。
以前、屋上に呼び出されて直接告白された時は心が痛んだ。
そんなこんなあっても、俺の学園内の成績は上位。先生達からも将来有望な存在として優遇された対応をしてもらってる。
アキヒトとはいつもと変わらず、仲良く接している。
勿論、そんな俺が嫌いだという生徒も何人かいる。今日はそんな生徒に呼び出されて屋上へと来ている。
ケルミアに迷惑をかけるわけには行かないので、1人だ。
屋上で長い時間待っていると、やっとドアが開いて1人の生徒がやってきた。赤髪の長髪で、オールバック。シャールのようや知的な雰囲気だ。
シャールは知的じゃないが。
「すまない待たせたな」
俺の事を嫌っているのに、礼儀はしっかりとしている。こいつも成績上位の優等生だ。
「それで。今日は一体何のようですか?」
「そうだな、まず何から話そうか……。
レム。お前は何が目的だ? あれほど熱心に勉強して、成績も上位を維持しているという事は、それなりの理由があるのだろう?」
「別に、努力するのに理由なんていらないさ。
僕は将来、楽しむために今出来ることを精一杯するだけだ」
それが既に理由となっているのだが。相手の男子生徒は納得したように頷いている。
「レムに影響されて、他の生徒達も勉強熱心になって成績が良くなっている」
「それは良いことだね」
「だが、俺にとっては良くない事だ。
君達のように何の目的もなく勉強している人達とは違って、明確な目的を持っている。
それなのに、少しずつ上位を維持するのが大変になっているのだ」
「じゃあ、今こんな事してる暇ないんじゃない?」
俺が的確なツッコミをすると、少しだけ眉間にシワを寄せた。
それほど重大な目的があるのだろうか。
そりゃ、何の目的もない生徒に追い抜かれたら悔しいだろう。だが悔しいだけだ。
そんな中、大事な時間を使ってまで俺に何の用があるというのだろう。
「まずは君の目的を教えてくれるかな?」
「そうだな。俺の目的は勇者になって魔王を討伐する事だ」
魔王。この世界の全ての魔物を支配している、魔の王。
しかし、この広い世界には魔王が数人いる。そして戦闘能力もそこらへんの魔物とは比べ物にならないらしい。
そういうところは授業で習ったから相手も理解しているだろう。
「まず魔物との戦闘経験もない生徒が、勇者を目指すなんて馬鹿馬鹿しいとは思うだろう」
「別に馬鹿馬鹿しくはない、十分に尊敬できる目標だよ。
でも、現実的ではないね」
魔王達が本気を出せば、世界を支配することができる。
支配というのは、人や獣人。魔の物以外の全ての生物を消滅して、完全なる魔世界だ。
それらを阻止するのが勇敢な者、勇者と呼ばれている。
「君は魔王を討伐する事が、そんなに大事だと思うのかい?」
「魔世界が完成してからじゃ遅い。さっき君が言ったように、今自分に出来ることを精一杯するんだ。
だが、勇者になるにはそれなりの学力と戦闘能力が必要だ。
このままだと僕は勇者になれない」
「でも、そうすると他の生徒達が勇者になってくれるでしょ。
話を聞いてると、君は勇者になるために周りを蹴落とすことしか考えていない」
俺をここに呼び出した理由は、本当に無駄な時間だったようだ。
こんな奴が勇者になんて慣れるはずがない。
「俺はお前が嫌いだ。だが、尊敬もしている。
学力も戦闘能力も、十分に備わっている。君が本気を出したら勇者に簡単になれるだろう。
俺の目標に1番近いお前が、何の目的もなく存在している事が憎い」
相手の男子生徒からは、殺気が感じられる。しかし、なんとか抑えているようだ。
どうやら俺は、知らないところで怒りを買っていたようだ。
あのヤンキー達はというと、いつもと変わらず俺の部屋に遊びに来たり。授業中俺の周りに集まって集中力を乱す存在となった。
ネロはと言うと、ほとんど魔界にいるようだ。指輪を通じて移動ができるようで、特に用がない時は魔界でゆっくりしている。
そんなある日、ケルミアちゃんを肩車して私服で校内を散歩していると、1人の男子生徒が手紙を渡して去っていった。
「レムお姉ちゃんも罪な女ね」
「あはは……男はちょっと苦手なんだよねぇ……」
ラブレターを貰う事が多くなり、俺の部屋の前にはラブレターが溜まっていることが多くなった。
確かに俺は可愛いと自分でもそう思う。前世にこんなクールな美女がいたら俺だって告白していただろう。
男達には悪いが、俺は女の子が好きなのだ。中身が男なだけあって、男を恋愛対象として見るのは辛い。
以前、屋上に呼び出されて直接告白された時は心が痛んだ。
そんなこんなあっても、俺の学園内の成績は上位。先生達からも将来有望な存在として優遇された対応をしてもらってる。
アキヒトとはいつもと変わらず、仲良く接している。
勿論、そんな俺が嫌いだという生徒も何人かいる。今日はそんな生徒に呼び出されて屋上へと来ている。
ケルミアに迷惑をかけるわけには行かないので、1人だ。
屋上で長い時間待っていると、やっとドアが開いて1人の生徒がやってきた。赤髪の長髪で、オールバック。シャールのようや知的な雰囲気だ。
シャールは知的じゃないが。
「すまない待たせたな」
俺の事を嫌っているのに、礼儀はしっかりとしている。こいつも成績上位の優等生だ。
「それで。今日は一体何のようですか?」
「そうだな、まず何から話そうか……。
レム。お前は何が目的だ? あれほど熱心に勉強して、成績も上位を維持しているという事は、それなりの理由があるのだろう?」
「別に、努力するのに理由なんていらないさ。
僕は将来、楽しむために今出来ることを精一杯するだけだ」
それが既に理由となっているのだが。相手の男子生徒は納得したように頷いている。
「レムに影響されて、他の生徒達も勉強熱心になって成績が良くなっている」
「それは良いことだね」
「だが、俺にとっては良くない事だ。
君達のように何の目的もなく勉強している人達とは違って、明確な目的を持っている。
それなのに、少しずつ上位を維持するのが大変になっているのだ」
「じゃあ、今こんな事してる暇ないんじゃない?」
俺が的確なツッコミをすると、少しだけ眉間にシワを寄せた。
それほど重大な目的があるのだろうか。
そりゃ、何の目的もない生徒に追い抜かれたら悔しいだろう。だが悔しいだけだ。
そんな中、大事な時間を使ってまで俺に何の用があるというのだろう。
「まずは君の目的を教えてくれるかな?」
「そうだな。俺の目的は勇者になって魔王を討伐する事だ」
魔王。この世界の全ての魔物を支配している、魔の王。
しかし、この広い世界には魔王が数人いる。そして戦闘能力もそこらへんの魔物とは比べ物にならないらしい。
そういうところは授業で習ったから相手も理解しているだろう。
「まず魔物との戦闘経験もない生徒が、勇者を目指すなんて馬鹿馬鹿しいとは思うだろう」
「別に馬鹿馬鹿しくはない、十分に尊敬できる目標だよ。
でも、現実的ではないね」
魔王達が本気を出せば、世界を支配することができる。
支配というのは、人や獣人。魔の物以外の全ての生物を消滅して、完全なる魔世界だ。
それらを阻止するのが勇敢な者、勇者と呼ばれている。
「君は魔王を討伐する事が、そんなに大事だと思うのかい?」
「魔世界が完成してからじゃ遅い。さっき君が言ったように、今自分に出来ることを精一杯するんだ。
だが、勇者になるにはそれなりの学力と戦闘能力が必要だ。
このままだと僕は勇者になれない」
「でも、そうすると他の生徒達が勇者になってくれるでしょ。
話を聞いてると、君は勇者になるために周りを蹴落とすことしか考えていない」
俺をここに呼び出した理由は、本当に無駄な時間だったようだ。
こんな奴が勇者になんて慣れるはずがない。
「俺はお前が嫌いだ。だが、尊敬もしている。
学力も戦闘能力も、十分に備わっている。君が本気を出したら勇者に簡単になれるだろう。
俺の目標に1番近いお前が、何の目的もなく存在している事が憎い」
相手の男子生徒からは、殺気が感じられる。しかし、なんとか抑えているようだ。
どうやら俺は、知らないところで怒りを買っていたようだ。
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