楽しむ異世界生活

フーミン

20話 ソルナントの本性

「それにしても、レムの私服オシャレだな」
「一応母が選んでくれましたからね」


剣も服も白だらけだ。
 別に白は好きだから良いけどな。


「可愛いよ」
「えっ……」


ソルって消極的なのか積極的なのか分からないな。
 たまに嬉しい事言ってくれる。
 でも俺の中身男だからな。男を好きになるってのは無い。
 内心ではソルの事を恋愛対象としては見れない。
 ソルにはすまないが、俺の恋愛対象は女だ。それを伝えるわけにもいかないが、いつか分かれる時が来るだろう。


「ホモ(ボソッ)」
「アキヒト先生何か言いましたか?(ニコッ)」
「おい待て待て。その魔力で威圧するのやめろ」


中身ニートのイケメン。残念要素が勝っていてモテないだろうな。
 というかデートっていう予定なのに色々と狂ってしまった。


「アキヒト先生、僕達は図書館とかに行きますので。邪魔しないように」
「わ、分かってる分かってる」


なんとかアキヒトの邪魔から逃れて、校内へ戻る。


「先生と随分仲良くなってるみたいだけど、保健室で何があったの?」
「ん〜。故郷が同じだから話が盛り上がっただけかな」
「そうなんだ……。なんか先生とレムちゃんの話を聞いてると妬いちゃう」


たまに可愛いことを言うもんだから、調子が狂ってしまう。


『レム様! 私にもたまには構ってくださいよ!』


レインの事をすっかりと忘れていた。
 明日はレインとネロと一緒に遊ぼうか。


「ねぇレムちゃん。もう部屋に戻らない?」
「ん? 良いけど、デートしたいんじゃないの?」
「なんか、もういいかなって。
 ちょっとお願いごとを聞いて欲しいんだ」


お願いごととはなんだろうか。
 イジメっ子から守る約束は聞いてるし、特に悩みがあるようにも思えない。


「分かった。じゃあ転移で帰ろうか」


そういってソルの方に手を触れて俺達の部屋へ転移する。
 ソルは、俺が転移魔法が使えることを最初は驚いていたが、もう慣れたものだ。
 ひとまずベッドに2人で座ってお願いとやらを聞くことをした。


「その……お願いっていうのはね……
 あっ、そういえば昨日、僕、あんなことしてたよね……」
「うん。そうだね、僕の服であんなことしてたよね。それがどうかしたの?」


俺はあえて、ソルが恥ずかしがるように言った。
 しかし、恥ずかしがる様子がない。


「その……僕、男だからさ。しばらく出来ないと溜まっちゃうんだ。
 今日、レムちゃんにキスした時から、ずっと我慢できなくて」


この子は女の子に一体何を相談してるのだろうか。
 この世界の人ってこれが普通なの?


「その…僕達付き合ってるんだからさ。
ヤらない?」
「えっ……」


何この子供。いつそんな行為を覚えたんだ?
 いまいち性格が分からなくて、不思議に思えてきた。


『レム様。ソルナント君がその行為を知っているのには理由があります。
 この子も転生者なんです』


ファッ!? 転生者!?
 嫌でも待てよ。俺と先生が保健室で「日本」って言葉を出してもソルは反応しなかったぞ?


『ソルナント君は、前世でも別の世界にいました。
 その世界で覚えた後に転生してきたのでしょう』


だとすると、ソル君も中身は大人なんだよね?
 こんな可愛い子の中身が大人……。なん悲しくなってきたな。


「昨日、僕の触ったよね……また触ってくれるかな……」


やばいソル君の顔が犯罪者みたいに笑ってる。
 喋り方とか行動は子供っぽいけど、変態だったってことか。


「ごめんなさい。僕達まだ子供だからさ、そういうのするのは、もっと大人になってからで良いんじゃないかな?」


こんな変態に俺の初めてを二つも奪われるなんて絶対にごめんだな。
 くそっ……ソル君の性欲が溜まりすぎてて理性を失っている。まさかこんなに危ないやつだったとは思わなかったな。
 俺はベッドから降りて、部屋の外へと逃げる。


「逃がさないよっ!」


足を何かに掴まれて、俺は倒れて地面へと顔を強く打ち付けた。
 足を見ると、黒い影のような手が俺の足首を掴んで離さない。


「へへへ……折角転生して、こんな可愛い子に出会えたんだ……。
 僕達は運命共同体なんだよ……。
 今日、キスをした時君の感覚を操る魔法をかけてたんだ。気づいたかな?
 君も、だんだん興奮してきたでしょ……」


ソルは、ゆっくりと俺の方へ近づいてきている。
 このままだと不味い、俺が使える魔法は少ないし。剣もテーブルの上に置いてある。


『レイン! この場からどうにか逃げる方法は!?』
『安心してください。ネロがいるじゃありませんか。
 現在、ソルナントがレム様に近づいたら、ネロが攻撃を仕掛けると言ってます』
『でも……俺の方もだんだん我慢出来なくなってきた……』
『もうすぐなので大丈夫です』


俺の体も、だんだんと火照ってきて興奮してしまっている。
 そして足を掴んでいる影も、どれだけ蹴っても放れない。


「さぁ……運命の人……僕といグヘェッ!!」


ソルナントが俺の足に触れた瞬間、執事服を着た人型のネロが一瞬で現れてソルナントを蹴り飛ばした。


「レム。こいつは僕が職員の元まで事情を話して届けてくるから安心して」


ネロはそういって、気を失っているソルナントを抱えて転移した。


「はぁ……なんとか助かったけど…ソルナントにかけられた魔法の効果は……無くならないの?」
『では、精神操作の魔法を取り除きます』


《レインの効果で魔法が取り除かれました》


脳内に声が響き、俺の精神状態も落ち着いてきた。
 俺はなんとか立ち上がり、ネロの帰りを待つだけであった。

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