楽しむ異世界生活

フーミン

17話 転生者との出会い

首の痛みを覚えつつ、目を覚ました。
 場所はよく分からないが、周りを見るとカーテンで仕切られていて、椅子にソルが座っていた。


「あっ、おはよう」
「ここは?」
「保健室だよ」
「なんで保健室に?」
「レムさんが暴れてて先生が危険と感じたのか気絶させたみたい」


てことは、あの時首に攻撃を入れたのは先生なのか。
 一瞬で気絶させれるって凄いな。


「でも、あの時のレムさんカッコよかったよ。いつも僕を虐めてる子達を泣かせたんだから。
 少し口調が変わって怖かったけど……」


あの時のことをよく覚えてはいないが、確かにいつも僕と言っていたのが、俺って言っていたな。
 普段口調を抑えている分、感情が高まると漏れてしまうのだろう。


「おお起きたか」


カーテンを開いて姿を見せたのは見知らぬ男性。
 この人が俺を気絶させた先生だろう。


「あの、迷惑をかけてすみませんでした」
「何、良いよ良いよ。職員達もあの2人には手を焼いていたんだ。これを機にイジメが無くなるといいが……」


男性は顎に手を当てて悩むような仕草をする。
 雰囲気は随分と優しそうな先生だが、この人が本当に気絶させたのだろうか。


「君が新入生のレムさんだよね。俺は剣術指導をしているアキヒトだ」
「アキ……ヒト……?」
「珍しい名前だろう? 俺の故郷ではこういう名前が普通なんだ」


アキヒトって日本語だよな?


「先生って日本から来たんですか?」


俺が先生にそう聞くと、一瞬目を真ん丸くして、ゲホゲホとむせはじめた。


「…あ、あぁすまない。唾が肺に入ったようだ。
 ソルナント君、ちょっとレムさんと2人で話したいから帰っててくれないかな?」
「え? ええ」


ソルはまだ何のことか分からずに戸惑っているが、保健室から出ていった。


「さてと……。月に変わって……?」
「おしおきよ」
「はっはっはっはっはっ!マジかよ!!
 お前も転生者か!!」


アキヒト先生は、とても嬉しそうに膝をパンパンと叩いて笑っている。


「やっぱり先生も転生者だったんですね!」
「ああそうだ! いやぁ……まさかこっちの世界に来て日本人と会えるなんて思わなかったよ!」
「僕もですよ!」


そこから2人の話は盛り上がった。
 日本の事、こっちの世界に来て驚いたこと。
 そして2人の能力の事。


「俺は剣聖っていうスキルでな、光属性の魔法全てと剣術に長けたスキルだ」
「僕は竜の力っていうスキルで、竜に変身できるんです」
「……え?」
「え?」


流石に、変身スキルとなるとアキヒト先生も羨ましがるようだ。
  試しに目の前で翼を出してみた。
 すると先生は乾いた笑い声で翼を触った。


「あっ、ちょっ。擽ったいです」
「おっ?そうなのか? こちょこちょこちょこちょこちょ!ほれほれ!」
「あはははははは!ちょっ!やめてぇっ!!」


日本人の悪いノリでどんどん盛り上がっていく。
 俺は笑いすぎて呼吸困難になりそうだったが、なんとか呼吸はできるところで終わった。


「はぁ…はぁ……っはぁ……」
「なんかお前エロいな」
「先生がしたんでしょうが!」
「あはははは悪い悪い!」


久しぶりにこんなに笑った気がするな。
 今後、この人とは良い関係が築けそうだ。


「それで、先生は前世ではどんな人だったんですか?」
「あぁ〜…それ聞く?聞いちゃう? 実はさぁ〜……。俺前世ではニートだった訳よ。もう生活にも行き詰まって、首吊り自殺しちゃってさ。
 気がつくと白い空間にいて、頭の中に声が響いたの。
『くだらない何の生産性もなく生きてるくらいなら、転生して役に立ちなさい』ってね。
 気がついたらイケメンになってたって訳」


とんでもない話を聞いた気がする。
 というか謎の声からの扱い酷いな。


「んで、レムはどうだったんだ?」
「俺は普通の大学生だったよ。いや、俺は普通だったが、普通の生活はできなかったな。
 ヒステリックな母親1人に育てられてな。んで、ある日夜中に寝たら白い空間にいて。
『5000年に1度の転生者の資格なんちゃら』って言われて、人生を精子からやり直したわけ」


確実にアキヒトよりはマシな転生方法だろうな。
 俺はドヤ顔で先生の顔を見つめる。


「どうせなら俺も美少女に生まれ変わりたかったな……。まっ、転生者同士仲良くしよう!」
「だな!」


俺とアキヒトは拳と拳を合わせて約束した。

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