楽しむ異世界生活

フーミン

15話 戦闘訓練

一先ず、自己紹介なんかしといた方が良いだろう。
 

「先輩の事はなんと呼んだら良いですか?」
「ん〜そうだね〜…。名前はカナザだから好きに呼んで良いよ」
「じゃあ女っぽいですがカナ先輩で」


カナ先輩は長い茶色の毛をした、一見暗そうな見た目だが、話すと明るい人物だ。
 ネロを抱えながら、学園内を案内してもらっている。
 学園内は校舎が5つに戦闘訓練所が3つ。授業は自由参加型で、習いたい授業がある部屋に行くだけだ。
 先輩に戦闘訓練所へと連れてきてもらって、訓練の様子を見学することになった。


 校舎の外の、運動場のような場所があり。それぞれ剣の訓練や杖を持って魔法を使った訓練をしている。


「後輩も先輩も合同で訓練をしている。それぞれの強さに関係なく訓練相手を選べるんだ。
 レムさんも試しに参加してみる?」
「えっ? 良いんですか?」


戦闘は夢の中でしかした事がない俺は、まともに戦えるのだろうか。


「心配しなくても、僕は手加減するから全力で来て良いよ。武器は剣と杖どちらか選んで、剣なら木刀を。杖なら自分のを使ってね」


戦闘訓練にはいつでも参加できるようだ。
 丸い枠内で戦闘して、枠の外に出るか武器を奪う。もしくは相手を降参させたら勝ち。
 骨折以上の怪我をさせたら反則負け。単純なルールだ。


「じゃあよろしくお願いします」


俺は訓練用の木刀を取って、枠内へと入る。
 他の生徒達が、新入生の強さを見るためにゾロゾロと集まってきている。
 ネロはどこに行ったか分からないが、どこかで見ているのだろう。


「き、緊張します」
「そうだね。僕もこんなに人に見られる試合は久しぶりだよ。
 最初は軽く打ち合いしよう」


打ち合いというのは、剣同士を合わせる防御と攻撃の練習だ。
 片方が相手のどこかにゆっくりと剣を振って、相手は剣で受け止める。
 それを交互にやっていき、だんだん速度を上げていくのだ。
 先輩から剣を振ってきた。右から腹を狙っての攻撃。
 最初はゆっくりなので、しっかりと剣で受け止める。


「うんうんそんな感じ」


交互にやっていき、速度もだいぶ上がってきた。
 周りの生徒達も続々と集まってきて、他に訓練をしている人はいなくなった。
 戦闘訓練で指導している先生も、何人か見ているようだ。


「レムさんは戦闘経験とかあるの?」
「い、いえほとんどありません」
「ほとんどっていう事は、少しはあるんだね。新入生でこの速度まで来るのは珍しいよ」


レインとの戦闘で基礎動作が分かっているからね。


「そろそろ本格的な戦闘に移るよ。一旦離れて、好きなタイミングで攻撃してくると良い。
 全力で来てね」


カナ先輩は、ニヤッと笑って地を蹴り距離をとった。
 俺も距離をとって、集中する。
 周りの生徒達は


「ついに戦闘か」
「でもカナザ先輩、新入生にはわざと負けてるんだよな」


という声が聞こえてくる。
 しかし、周りの声に集中力を奪われては駄目だ。
 しっかりと集中して攻撃するタイミングを見計らう。
 タイミングは相手の呼吸の、吸う時と吐く時の間。その一瞬は息をしていないので、一気に仕掛けることができる。


「では、行きますよ」
「全力でね」


カナ先輩の一瞬の隙を見計らい、身体強化で足を強化して、地面を蹴る。
 一瞬で距離をつめてカナ先輩の左脇腹へと攻撃する。


「うおぉっ!」


一瞬驚いたようだが、剣でしっかりと受け止められた。
 そこから俺は体を回転させて、右脇腹へ一撃を与える。
 流石に体を回転させるとは予想しなかったのか、しっかりと攻撃が当たって枠外へと吹き飛んだ。
 

「「うおおぉぉ〜!! 凄いぞ新入生〜!」」


周りからは大きな歓声が湧いた。
 カナ先輩は大丈夫なのだろうか。俺はすぐに吹っ飛んだ先輩の場所に行って、倒れてる先輩に声をかける。


「だ、大丈夫…ですか?」


声をかけると、指がピクリと動いて、ゆっくりと体を起こす。


「いたたた……。いやぁ驚いちゃったよ。
 これは僕の負けだね」


すると、また俺とカナ先輩の周りに生徒達が集まって拍手している。
 

「あ、あっはっは……」


頭の後ろを掻きながら、苦笑いを浮かべる俺であった。

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