楽しむ異世界生活

フーミン

10話 大事な話

 次の日の朝、両親に「真剣な話がある」と言って、椅子に座らせた。
 親は、何か察したように真剣な顔で話が始まるのを待っている。


 「お父さん、お母さん。僕はこのままずっと家にいて、親に甘えてばかりじゃダメだと思うんだ。
 人はいつか自立しなければならない。その為にも、僕は学校に行きたい」


 俺がそういうと、父と母は一度目を合わせて、口を開いた。


「レム。お前はいつかそういうだろうと思っていた。
 いつもお前に驚かされてばかりで、どこか大人のような雰囲気があった。
 お前は学校に行かなくても、充分に凄いじゃないか」
「でも、レムの言う通り。いつか自立して生きなきゃいけない日が来るわ」
「レムは学校で上手くやっていける自信はあるのか?」


父は、俺の覚悟を確かめるために質問をした。
 いままでに見たこともない、真剣な目で俺の目を見つめる。


「勿論です。お父さんとお母さんの子供ですよ?
 いつか胸を張って笑顔で帰ってくる為にも、僕は頑張ります」


 父と母の目をしっかりと見て、そう言った。
 リビングには静かな空間が漂う。


「……はっはっはっ。負けたよ。
 レム、学校には父さんが手続きをする。
 明後日には馬車が来る」
「あ、実は転移魔法を覚えまして、準備ができたらすぐに行こうかと」
「「転移魔法!?」」


父と母は声を揃えて驚いた。
 親でさえ魔法を使えないというのに、子供の俺が転移魔法なんて言ったら、そりゃ驚くだろう。
 俺は実際に見せるために、父と母の後ろに転移して肩を叩いて見せた。


「全く……レムには驚かされてばっかりだな」


父はそういって苦笑する。


ーーー


今日のところは家でゆっくりして、明日の昼に学校に向かう事になった。
 俺は自室へと戻ってベッドで横になる。
 なんとか親を説得できて、緊張が一気になくなる。
 親はまだ、下で色々と話しているようだ。


『良かったですねレム様』
『でも、親としばらく会えなくなるのも寂しいもんだ。
 だが、学校か……。友達は出来るのかな』


俺は学校生活について、妄想を膨らませる。
 俺はベッドでゴロゴロして時間を潰す。
 すると部屋のドアが開いて、父が入ってきた。


「レム。お前にはこれをやろう」


出されたのは一つの指輪。
 真ん中に綺麗な石が入っている。


「これは?」
「それは魔道具の1つでな、昔ダンジョンで見つけたんだ。
 その指輪に魔力を流すと……。まあやってみてくれ」


左手の中指にはめて、試しに指輪に魔力を流してみた。
 すると石が眩しく光り、あまりの眩しさに目をつぶった。
 光が収まり目を開けると、膝の上に黒い猫がいた。


「1人だと寂しいだろうからな。その猫は会話もできるし魔法を使える」


猫好きの俺には最高のプレゼントだった。


「ありがとうお父さん!!」
「俺達からしてやれることはそれくらいだ。学校に行ったら頑張れよ!」


父はそういって部屋から出ていった。
 後ろ姿はどこか寂しそうな雰囲気だった。


「君が俺の飼い主か?」
「あ、うん。レムっていうんだ。よろしくね」
「ふ〜ん……。君、もしかして転生者?」


なっ!? なぜ分かったんだ?
 

「魔力量がこの世界の人と桁違いだからね。君とはいい関係を築けそうだ。よろしくね」


黒猫はそういって左手をピョコンと差し出してきた。
 俺は反射的に掴んで肉球をプニッと……痛い!
 爪で引っ掻いてきやがった。


『レム様! 猫なんかと会話してばっかりだと私が嫉妬しますよ!』
『ああごめんごめん。レインの事も忘れないよ』


脳内のレインと可愛い黒猫が、話しかけてきて俺は忙しくなった。

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