魔王LIFE
55話 撮られてた
俺は今、アキの部屋のテーブルに置いてあるブツを見つめていた。
「……どう考えても私のスマホだよね」
そこには、俺が以前使っていたスマホがあった。
ㅤアキが俺の家から貰ってきたのだろうか。
「スマホ、持ってきてやったんだから料金は自分で払えよ」
「えぇ……なんで」
「ニートで良いのか?」
「っ……魔王っていう職業がある……」
「それは職業じゃないよ。とりあえず今月分のは俺が支払ったから……ありがたく思え」
「はい」
まあ金ならサハルが作ってくれるだろう。バレなきゃ犯罪じゃない。
ㅤ早速スマホの電源を入れて、パスワードを入れる。
ㅤ俺は個人情報が漏れないようにパスワードはしっかり付けている……が、無駄な手間を入れたけない為、0を入力するだけでロック解除できるようにしている。
「懐かしい〜……うわっRAINめっちゃ通知きてる……チュイッターフォロワー減ってるし、このゲームもログインしてねぇ〜……」
色々と面倒くさいので、気分を新しくする為に本体の情報全て消去した。
ㅤこのスマホは、悠人の物ではなく今からルトの物だ。
ㅤ完全にデータを初期化した後に、さっそくIDを作ってレイン、チュイッターをインストール。
ㅤアキの端末で作ったチュイッターアカウントをこちら側でログインして、レインも新しく作ったメールアドレスで登録。
「はい。友達0人!」
「わかったからQRコードを押し付けてくるな」
レインの最初の友達はアキ。それも当然だ。以前していたアカウントでも、追加してるのは家族とアキとネ友だけ。
ㅤ通知が溜まっていたのはネ友が心配して、大量にメッセージを送ってきたからだ。
「スマホ……現代技術ってすげぇ〜」
改めて、魔法を使わずに遠くの人とコミュニケーションが取れる便利さを思い知った。
「で、今日は何すんの?」
アキは既に出かける準備をしていた。
ㅤここでテレビゲームして遊ぼう、なんて言ったら冗談でも怒られそうなのでやめとこう。
「売名活動……だよ」
ニッコリと笑って親指を立てた。
ーーーーー
今日はアキと俺二人きりでの売名だ。思い切った行動は出来ない。ではなにをするのかというと……。
ㅤ
ㅤチュイッターと連携を取ると、生放送ができるというチュイキャスだ。
ㅤ俺を顔を映しながら、いつものロングコードで街を散歩。チュイッターのツイートから生放送に来た人がコメントして、それを読み上げる。
ㅤなんて簡単な作業だろうか。
「今、三角公園に来てるからオフ会しよっか」
そう呟いてから10分後。公園には100名の男性女性が集まった。
ㅤ警察なんかもやってきて注意しにきてる。
「アキ……どうしよう」
「とりあえず皆と握手してマジック見せれば」
「大丈夫なの?」
「少しの魔素くらい大丈夫」
仕方なく、100人近い俺のファン達と握手してマジックを披露することにした。
「ルトちゃ〜ん! どこの国の人〜?」
「に、日本だよ〜……」
「モデルさん?」
「一般人」
「スタイル良いね〜」
「鍛えてるからね〜」
マジックできない。
ㅤ仕方なく、手を1回叩いて皆を落ち着かせた。
「今からマジックします」
「「おぉぉぉおおお!!」」
それから幾つか簡単なマジックを披露した。
ㅤ破った紙幣を復元したり。近くにいた男性の体を動けなくしたり。更には空を飛び回っている鳥を、一瞬でバレないように手元に転移させたり。
ㅤ皆のリアクションはかなり良かった。これで撮られた動画がピューチューブに投稿され、俺が有名になっていく。
ㅤ更にはこの場にいる人達は俺の魔素を吸う。つまり更に好感度が上昇する訳だ。
「皆〜今日はありがとう!」
異世界からの転生者という設定の俺は、子供からも中高生からも人気になった。
ㅤ大勢の人は、ニュースで有名になった空に浮かぶ大地に乗っかったネタだと思っている。
ーーーーー
思いつきで始まったオフ会。それは1時間弱で終わり、解散した。
「はぁ……疲れた」
だが、まだ安心はできない。
ㅤ住所を特定しようと、俺達の後をつけてくるファンもいる。
「あ、チュイッターフォロワー5000人だ。……ん?」
歩きながらチュイッターを見ていると、とあるダイイングメッセージが目に止まった。
ㅤどこかの情報雑誌の取材のようだ。
「アキ〜これどうしたらいい?」
「ん? あ〜取材か。俺の家じゃない場所でするなら良いと思う。多分更に有名になるぞ」
「分かった」
俺は取材を行う場所と日時を聞くメッセージを送って、スマホをポケットに入れた。
ㅤさっきから歩く人達の目線が多いな。流石にこの服は目立つもんな。
「そろそろ帰るよ」
「早いな」
後ろから着いてくるファンから逃げるように、人気の少ない場所に入って転移した。
ーーーーー
「涼しい!」
こうして、毎日少しずつ売名行為を続けていけば確実に有名になれる。SNS、生放送。他にもピューチューブに動画上げるか?
ㅤまあ色々と売名の方法はある。気長に続けていこう。
「ルト、ニュース」
「おっ新しいの?」
それは空中都市についてだ。
『最近、あの都市の人間ですっていう嘘をつくのが流行ってるみたいですね』
『でも、それが嘘だとは限りませんよ。宇宙人や妖怪、UMAというのは我々の生活の中に溶け込んでいます。もしかすると……皆さんのすぐ側にいるかもしれませんね。
ㅤ……もしかすると、貴方が宇宙人なのかも!』
そういって司会者に話を振ると、大きな笑いが起きた。
ㅤこの人はミステリー作家らしい。UFO、UMA等について調べたりもしている有名な人だ。
『そうそう。あの都市があった場所に近づいたメディアが居たんですよ』
『え? 本当ですか?』
あのヘリコプターの人達の事だろう。
『えぇえぇ、ヘリで調べに行ったらしいです』
『それで何かあったんですか?』
『何やら……不思議な浮遊物体に襲われたらしいですよ』
『おぉっ! 詳しく詳しく!』
本人は真面目に話しているが、他の司会やゲストは笑いながら聞いている。信じてないようだ。
『黒くてお〜きな球体がね、8つくらい飛んで囲んできたらしいんです』
『ほぉ〜宇宙船かな?』
『かもしれませんね。それで、突然エンジントラブルが起きてヘリが落下し始めたって。宇宙人の技術ですね。
ㅤ皆、その時に"死ぬ"と悟ったらしいんですが……突然美少女が機内に現れて、気がつくとビルの屋上に居たと。落下した時にカメラは落としたそうですが、写真に撮っていた物があります』
え?
ㅤミステリー作家のオッサンは、胸ポケットから1枚の写真を取り出した。
『これ、見えますかね?』
そういってカメラの方に向けた写真には、ヘリの機内から外側を写した写真。端には俺のロングコートが写っていた。
『落下する寸前だったらしいですよ』
『ええぇ〜! 凄いですねぇ〜……』
撮られてたとは知らなかった……。でもまぁ、このコートはシンプルなデザインだしバレないだろう。
「ん? どこに行くんだ?」
「そろそろ帰るよ」
最近は地上に居てばかりで、リアンやミシェル、サハルに構ってあげれてないからな。チヒロとフェンディアは建築の手伝いをしてるし、フェンディアはコスプレと偽って秋葉原でオタク達とイチャイチャしてる。
「じゃあ、また明日来るね」
「おう。あ、充電器大丈夫か?」
「魔法があるから大丈夫。じゃあね」
「はいよ〜」
俺はその時、ニュースでミステリー作家がもう1枚の写真を取り出したのを知らなかった。
ㅤその写真に、自らの顔が写っているとは思いもしなかっただろう。
「……どう考えても私のスマホだよね」
そこには、俺が以前使っていたスマホがあった。
ㅤアキが俺の家から貰ってきたのだろうか。
「スマホ、持ってきてやったんだから料金は自分で払えよ」
「えぇ……なんで」
「ニートで良いのか?」
「っ……魔王っていう職業がある……」
「それは職業じゃないよ。とりあえず今月分のは俺が支払ったから……ありがたく思え」
「はい」
まあ金ならサハルが作ってくれるだろう。バレなきゃ犯罪じゃない。
ㅤ早速スマホの電源を入れて、パスワードを入れる。
ㅤ俺は個人情報が漏れないようにパスワードはしっかり付けている……が、無駄な手間を入れたけない為、0を入力するだけでロック解除できるようにしている。
「懐かしい〜……うわっRAINめっちゃ通知きてる……チュイッターフォロワー減ってるし、このゲームもログインしてねぇ〜……」
色々と面倒くさいので、気分を新しくする為に本体の情報全て消去した。
ㅤこのスマホは、悠人の物ではなく今からルトの物だ。
ㅤ完全にデータを初期化した後に、さっそくIDを作ってレイン、チュイッターをインストール。
ㅤアキの端末で作ったチュイッターアカウントをこちら側でログインして、レインも新しく作ったメールアドレスで登録。
「はい。友達0人!」
「わかったからQRコードを押し付けてくるな」
レインの最初の友達はアキ。それも当然だ。以前していたアカウントでも、追加してるのは家族とアキとネ友だけ。
ㅤ通知が溜まっていたのはネ友が心配して、大量にメッセージを送ってきたからだ。
「スマホ……現代技術ってすげぇ〜」
改めて、魔法を使わずに遠くの人とコミュニケーションが取れる便利さを思い知った。
「で、今日は何すんの?」
アキは既に出かける準備をしていた。
ㅤここでテレビゲームして遊ぼう、なんて言ったら冗談でも怒られそうなのでやめとこう。
「売名活動……だよ」
ニッコリと笑って親指を立てた。
ーーーーー
今日はアキと俺二人きりでの売名だ。思い切った行動は出来ない。ではなにをするのかというと……。
ㅤ
ㅤチュイッターと連携を取ると、生放送ができるというチュイキャスだ。
ㅤ俺を顔を映しながら、いつものロングコードで街を散歩。チュイッターのツイートから生放送に来た人がコメントして、それを読み上げる。
ㅤなんて簡単な作業だろうか。
「今、三角公園に来てるからオフ会しよっか」
そう呟いてから10分後。公園には100名の男性女性が集まった。
ㅤ警察なんかもやってきて注意しにきてる。
「アキ……どうしよう」
「とりあえず皆と握手してマジック見せれば」
「大丈夫なの?」
「少しの魔素くらい大丈夫」
仕方なく、100人近い俺のファン達と握手してマジックを披露することにした。
「ルトちゃ〜ん! どこの国の人〜?」
「に、日本だよ〜……」
「モデルさん?」
「一般人」
「スタイル良いね〜」
「鍛えてるからね〜」
マジックできない。
ㅤ仕方なく、手を1回叩いて皆を落ち着かせた。
「今からマジックします」
「「おぉぉぉおおお!!」」
それから幾つか簡単なマジックを披露した。
ㅤ破った紙幣を復元したり。近くにいた男性の体を動けなくしたり。更には空を飛び回っている鳥を、一瞬でバレないように手元に転移させたり。
ㅤ皆のリアクションはかなり良かった。これで撮られた動画がピューチューブに投稿され、俺が有名になっていく。
ㅤ更にはこの場にいる人達は俺の魔素を吸う。つまり更に好感度が上昇する訳だ。
「皆〜今日はありがとう!」
異世界からの転生者という設定の俺は、子供からも中高生からも人気になった。
ㅤ大勢の人は、ニュースで有名になった空に浮かぶ大地に乗っかったネタだと思っている。
ーーーーー
思いつきで始まったオフ会。それは1時間弱で終わり、解散した。
「はぁ……疲れた」
だが、まだ安心はできない。
ㅤ住所を特定しようと、俺達の後をつけてくるファンもいる。
「あ、チュイッターフォロワー5000人だ。……ん?」
歩きながらチュイッターを見ていると、とあるダイイングメッセージが目に止まった。
ㅤどこかの情報雑誌の取材のようだ。
「アキ〜これどうしたらいい?」
「ん? あ〜取材か。俺の家じゃない場所でするなら良いと思う。多分更に有名になるぞ」
「分かった」
俺は取材を行う場所と日時を聞くメッセージを送って、スマホをポケットに入れた。
ㅤさっきから歩く人達の目線が多いな。流石にこの服は目立つもんな。
「そろそろ帰るよ」
「早いな」
後ろから着いてくるファンから逃げるように、人気の少ない場所に入って転移した。
ーーーーー
「涼しい!」
こうして、毎日少しずつ売名行為を続けていけば確実に有名になれる。SNS、生放送。他にもピューチューブに動画上げるか?
ㅤまあ色々と売名の方法はある。気長に続けていこう。
「ルト、ニュース」
「おっ新しいの?」
それは空中都市についてだ。
『最近、あの都市の人間ですっていう嘘をつくのが流行ってるみたいですね』
『でも、それが嘘だとは限りませんよ。宇宙人や妖怪、UMAというのは我々の生活の中に溶け込んでいます。もしかすると……皆さんのすぐ側にいるかもしれませんね。
ㅤ……もしかすると、貴方が宇宙人なのかも!』
そういって司会者に話を振ると、大きな笑いが起きた。
ㅤこの人はミステリー作家らしい。UFO、UMA等について調べたりもしている有名な人だ。
『そうそう。あの都市があった場所に近づいたメディアが居たんですよ』
『え? 本当ですか?』
あのヘリコプターの人達の事だろう。
『えぇえぇ、ヘリで調べに行ったらしいです』
『それで何かあったんですか?』
『何やら……不思議な浮遊物体に襲われたらしいですよ』
『おぉっ! 詳しく詳しく!』
本人は真面目に話しているが、他の司会やゲストは笑いながら聞いている。信じてないようだ。
『黒くてお〜きな球体がね、8つくらい飛んで囲んできたらしいんです』
『ほぉ〜宇宙船かな?』
『かもしれませんね。それで、突然エンジントラブルが起きてヘリが落下し始めたって。宇宙人の技術ですね。
ㅤ皆、その時に"死ぬ"と悟ったらしいんですが……突然美少女が機内に現れて、気がつくとビルの屋上に居たと。落下した時にカメラは落としたそうですが、写真に撮っていた物があります』
え?
ㅤミステリー作家のオッサンは、胸ポケットから1枚の写真を取り出した。
『これ、見えますかね?』
そういってカメラの方に向けた写真には、ヘリの機内から外側を写した写真。端には俺のロングコートが写っていた。
『落下する寸前だったらしいですよ』
『ええぇ〜! 凄いですねぇ〜……』
撮られてたとは知らなかった……。でもまぁ、このコートはシンプルなデザインだしバレないだろう。
「ん? どこに行くんだ?」
「そろそろ帰るよ」
最近は地上に居てばかりで、リアンやミシェル、サハルに構ってあげれてないからな。チヒロとフェンディアは建築の手伝いをしてるし、フェンディアはコスプレと偽って秋葉原でオタク達とイチャイチャしてる。
「じゃあ、また明日来るね」
「おう。あ、充電器大丈夫か?」
「魔法があるから大丈夫。じゃあね」
「はいよ〜」
俺はその時、ニュースでミステリー作家がもう1枚の写真を取り出したのを知らなかった。
ㅤその写真に、自らの顔が写っているとは思いもしなかっただろう。
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