魔王LIFE
53話 有名人になろう
太陽が南の空に上がった頃、アキの部屋には俺とリアン、フェンディアにテスラがいる。
ㅤリアンとフェンディアは獣人。ヴァンパイアのテスラはフェンディアに幻影魔法を使う。
「す、すげぇ……ケモミミ」
「ルト様……この方、怖いのですが……」
「大丈夫大丈夫」
リアンがアキに対して恐怖心を抱いている中、フェンディアは棚の漫画を読み漁っていた。
ㅤテスラは真面目に座って、俺達のやり取りを見ている。ヴァンパイアの王が……暇そうだ。
「こほん……早速なんだけど、ニュース。何かあった?」
ここに来た理由はこれを聞く為。それ以外にもあるが、今はこれが重要だ。
「ん〜……昼のニュースでは何も無かったな。それに……夜に放送される……宇宙人を追え、っていう番組も無くなってた」
「無くなってた?」
急にメディアでは報じられなくなった……何かあるな。
「もしかすると、国も慎重に動き始めたのかもしれないね」
「となると、我々はかなり危険な状態にあるのでは?」
「流石テスラ。多分このまま軍隊が動いたり、他の国達も調べに来ると思う」
つまり、このまま息を潜めている。という事も出来なくなった訳だ。俺達が何らかの行動を起こせば……危機は免れそうだが。何をすれば良いのやら。
「アキ。少し質問してもいい?」
「何だ?」
「リアンとフェンディア。秋葉原でウケそうじゃない?」
「……確かに」
「お、おい! 俺とリアンちゃんをどうする気だ!?」
「心配しないで。ただのコスプレだって伝えれば大丈夫」
「手元に "我々は異世界人だ" なんて書いたプレート持ってたら、面白がって写真撮ってくるかも」
「しかし……それに何の効果が?」
そこが問題だ。これをする事で大きなメリットがある訳では無い。しかし、大きなメリットを手に入れる為の小さな一歩となる。
「オタクっていう今の経済を支える人達がいるんだけど、その人達の間で有名になれば良い事あるんじゃないかなって」
「具体的には……?」
「基本的に、有名な人は人気になりやすい。まあ当然なんだけどね。私達が大勢のファンを得て、その後にあの大地の住民だって伝えたら……危険視する人は少なくなるんじゃないかなってね」
まあ有名になれるのか分からないけどな。
ㅤその為に色んな人の協力が必要だ。
ㅤSNSにも、他にも色んな有名な人に売名。運良くコラボできれば有名になる。まるで底辺ピューチューバー (ピューチューブという動画サイトに動画を投稿して金を稼ぐ人達) だな。
ㅤ⚠︎このサイトは現実の物とは関係ありません。
「アキ、ちょっとチュイッター貸して」
「え? ……あ、なるほど」
勘の鋭いアキは、俺の考えをすぐに見抜いてスマホを貸してくれた。
「何するんですか?」
「アカウント作るの。私達の」
メールアドレスは適当だ。パスワードは……これで。
「名前は?」
「勿論、『異世界からの転生者』」
プロフィールに、巨大な浮遊都市の住民。とでも書いておけば良いだろう。
ㅤ基本的にネットの住民達はネタとしか捉えない。それでも、俺のような美少女がいるならフォローするのは確定。
「リアン、フェンディア。ちょっと私の横に並んで。
ㅤアキ、撮って」
「え?」
「お」
パシャッ「眩しいっ!」
さて、どんな風に撮れたかな?
「な、なんですか今の!?」
「まあ見てて……あ、リアンの変な顔」
「ああああああ見ないで!」
「これをチュイッターのアイコンに……っと」
「鬼だな」
「だな」
アキとフェンディアが俺を鬼呼ばわりしてきた。酷いな。
「それにしても、この画面……不思議ですね」
リアンやテスラには見慣れない画面だろうな。
一頻り細かい作業をした後、俺はアキに小さなホワイトボードに黒いペンを貸してもらった。
「じゃあ早速、売名活動しますか!」
「はいっ!」
ーーーーー
秋葉原、オタク達が沢山いる場所にやってきた。
ㅤホワイトボードにはチュイッターのID。そして名前。
ㅤ俺がホワイトボードを持ち、リアンとフェンディアはとりあえず立ってもらっている。
ㅤ服装は……元の世界にいた時のような、白いロングコート。それにリアンはメイド服。フェンディアは……とりあえずメイド服だ。
ㅤテスラは俺達の後ろから異様な雰囲気を醸し出している。オタク達の雰囲気が苦手なのだろう。
ㅤアキもテスラの横にいる。
「幻影魔法使わなくても良いんですか?」
「大丈夫。本物だとは思わないよ」
こんな美少女3人並んでいるのに、それを宇宙人だ! なんて言って馬鹿にするオタクはいない。
ㅤこの世界のオタクは皆、紳士的であり貴族だ。
「早速フォロワー20人、あ23人」
後ろでチュイッターを確認しているアキは、色々と報告して貰っている。
ㅤオタク達は俺達の周りに集まって、写真を撮ったりしている。何人いるのだろうか。ざっと数えても40人はいるぞ。
「お姉さ〜ん! 名前は〜?」
「可愛いね〜彼氏いるの?」
一部オタクじゃない人が声をかけてくる。そんな奴らを、紳士のオタク達は睨む。
ㅤ美少女に気安く声をかけるな。そう思っているのだろう。
「ルトっていいます! チュイッターフォローしてね☆」
きっとここにいる全ての人に、星が見えたことだろう。
「ルト……そんなキャラもできるんだな」
「アキは黙ってスマホ弄っててっ!」
俺だってイチャイチャされたいんだ。可愛こぶっても良いだろ……別に。
「あ、凄いよ。撮られた写真が拡散されていって、どんどんフォロワー増えてる」
「えっほんと?」
アキのスマホ画面を見ると、フォロワー700人。
ㅤ俺も男だった頃、3年間チュイッターやってた事があるが……200人しかフォローされなかったな……。美少女効果すげぇ。
「ルトちゃ〜ん! 魔法使えるの〜?」
「マジック〜?」
「転生者なら何かやってよ〜」
「「クソワロタwwwww」」
オタク達の無茶ぶりに、他のオタク達が草生やしてる。
ㅤふっ……ここでちょっと、魔法だとバレないマジックを見せてやろう。
「リアン、これ持ってて」
「は、はい」
「フェンディア、BGM」
「チャラララララ〜ン……」
「「お前が歌うのかよw」」
オタク達が動画を撮りだした。有名になるチャンス!
「まずは……あ、誰か紙コップ持ってませんか?」
「んなの持ってるわけ……」」
「ありますよ〜」
「「あるのかよww」」
オタク達のツッコミ流石だな。
ㅤフェンディアのセルフBGMとオタク達のツッコミで良い感じに盛り上がってきたな。
「では、タネも仕掛けもない紙コップ。私の魔法で中に水を入れましょう」
紙コップをひっくり返したりオタク達に確認させた後、紙コップに手で蓋をした。
「いきますよ……」
不自然に思われないように、アキのハンカチを借りて手の上を覆った。
ㅤ後は水魔法を使うだけだ。
「……じゃんっ!」
ハンカチを取って、紙コップの中身を見せる。
「「おおぉぉぉぁおおお!!」」
オタク達からは大きな拍手が上がった。
ㅤ早速チュイッターに載せるのだろう。スマホを触り出す集団。
「アキ、ハンカチありがとう」
「おう……」
「ルト様。魔法使っても良かったのですか?」
「少しくらいなら影響無いよ」
魔法を使うと、そこには魔素が残る。しかし今の魔法は魔力の消費量が少ない為、危険はない。
「チュイッターフォローしたよ〜!」
「俺も〜!」
「ありがと〜!!」
今のところ、怪しまれていないな。
ㅤやっぱりオタクは美少女に優しいな……これこそ日本の文化だ。
「王女様……」
「ん?」
テスラが真剣な顔で、小さく声をかけてきた。
「魔法によって生み出された魔素を吸った者達は、その使用者に惹かれる効果があるのをご存知ですか?」
「へぇ〜知らなかった」
ということは、ここにいるオタク達が俺を魔素を吸えば熱狂的ファンになるって事か。
「つまりですね……上を見てください」
「? …………っ!?」
空を見上げると、鳥達がグルグルと飛んでいた。まるで異変が起こりそうな現象だ。
ㅤそれを動画に残すオタク達も数名、数十名はいた。
「怪しいかな……」
「専門家……とやらが見た場合、王女様に興味を持たれる可能性はあります」
「そろそろ撤退しようか……アキ、リアン、フェンディア行こう」
俺達が一通りの少ない場所に行こうとすると。オタク達の悲しそうな声が上がった。
「また来るから! それにチュイッターでも沢山話そうね!」
手を振ると、皆が幸せそうに手を振り返した。
「外国の人だよね……」
「可愛いなぁ……ビュフ……」
「今日のおかずは君に決めた」
「後ろの色白の人……怖かったなぁ」
と、小さく聞こえるような誰もいない場所でアキの家に転移。誰にも見られていないはずだ。
ーーーーー
「疲れたぁぁぁ〜!」
「フォロワー1800人」
「全員フォロバしといて〜」
かなり……それなりには有名になっただろう。まだ活動初日だしな。
ㅤそれに……今は学生や社会人は働いている時間帯。休日になればもっと拡散されるだろう。
ㅤにしても……ニートがあんなに沢山いるとはビックリしたな。
「ルト、ちゃんとリプは自分で返すんだよ」
「だってアキのスマホだし、返せる時間限られてるよ」
「じゃあ自分の家からスマホ取ってくれば?」
「えぇ〜……」
「……じゃあ俺が貰ってこようか?」
いやいや、絶対大事に保管されてるって。
ㅤ今度……サハルに金複製してもらってスマホ買いに行くか。バレなきゃ犯罪じゃないしな。
「そんな事よりルト様。これからどうするんですか?」
「今日する事は終わったし……私はリプの返信とかしないといけないから、リアンとフェンディアとテスラは帰ってていいよ」
「分かりました」
「りょっかい」
「では失礼します」
一礼して転移していった。
ㅤ部屋に残ったのは俺とアキだけ。
「スマホ見〜して」
「あ、あんまり近づくなよ。性別違うんだから」
「へぇ〜フォロワーどんどん増えていってるじゃん」
あっという間に3000だ。こりゃ数週間で超有名人になれそうだな。
ㅤ俺はアキからスマホを借りて、チュイッターのリプライに返信していく作業を始めた。
ㅤリアンとフェンディアは獣人。ヴァンパイアのテスラはフェンディアに幻影魔法を使う。
「す、すげぇ……ケモミミ」
「ルト様……この方、怖いのですが……」
「大丈夫大丈夫」
リアンがアキに対して恐怖心を抱いている中、フェンディアは棚の漫画を読み漁っていた。
ㅤテスラは真面目に座って、俺達のやり取りを見ている。ヴァンパイアの王が……暇そうだ。
「こほん……早速なんだけど、ニュース。何かあった?」
ここに来た理由はこれを聞く為。それ以外にもあるが、今はこれが重要だ。
「ん〜……昼のニュースでは何も無かったな。それに……夜に放送される……宇宙人を追え、っていう番組も無くなってた」
「無くなってた?」
急にメディアでは報じられなくなった……何かあるな。
「もしかすると、国も慎重に動き始めたのかもしれないね」
「となると、我々はかなり危険な状態にあるのでは?」
「流石テスラ。多分このまま軍隊が動いたり、他の国達も調べに来ると思う」
つまり、このまま息を潜めている。という事も出来なくなった訳だ。俺達が何らかの行動を起こせば……危機は免れそうだが。何をすれば良いのやら。
「アキ。少し質問してもいい?」
「何だ?」
「リアンとフェンディア。秋葉原でウケそうじゃない?」
「……確かに」
「お、おい! 俺とリアンちゃんをどうする気だ!?」
「心配しないで。ただのコスプレだって伝えれば大丈夫」
「手元に "我々は異世界人だ" なんて書いたプレート持ってたら、面白がって写真撮ってくるかも」
「しかし……それに何の効果が?」
そこが問題だ。これをする事で大きなメリットがある訳では無い。しかし、大きなメリットを手に入れる為の小さな一歩となる。
「オタクっていう今の経済を支える人達がいるんだけど、その人達の間で有名になれば良い事あるんじゃないかなって」
「具体的には……?」
「基本的に、有名な人は人気になりやすい。まあ当然なんだけどね。私達が大勢のファンを得て、その後にあの大地の住民だって伝えたら……危険視する人は少なくなるんじゃないかなってね」
まあ有名になれるのか分からないけどな。
ㅤその為に色んな人の協力が必要だ。
ㅤSNSにも、他にも色んな有名な人に売名。運良くコラボできれば有名になる。まるで底辺ピューチューバー (ピューチューブという動画サイトに動画を投稿して金を稼ぐ人達) だな。
ㅤ⚠︎このサイトは現実の物とは関係ありません。
「アキ、ちょっとチュイッター貸して」
「え? ……あ、なるほど」
勘の鋭いアキは、俺の考えをすぐに見抜いてスマホを貸してくれた。
「何するんですか?」
「アカウント作るの。私達の」
メールアドレスは適当だ。パスワードは……これで。
「名前は?」
「勿論、『異世界からの転生者』」
プロフィールに、巨大な浮遊都市の住民。とでも書いておけば良いだろう。
ㅤ基本的にネットの住民達はネタとしか捉えない。それでも、俺のような美少女がいるならフォローするのは確定。
「リアン、フェンディア。ちょっと私の横に並んで。
ㅤアキ、撮って」
「え?」
「お」
パシャッ「眩しいっ!」
さて、どんな風に撮れたかな?
「な、なんですか今の!?」
「まあ見てて……あ、リアンの変な顔」
「ああああああ見ないで!」
「これをチュイッターのアイコンに……っと」
「鬼だな」
「だな」
アキとフェンディアが俺を鬼呼ばわりしてきた。酷いな。
「それにしても、この画面……不思議ですね」
リアンやテスラには見慣れない画面だろうな。
一頻り細かい作業をした後、俺はアキに小さなホワイトボードに黒いペンを貸してもらった。
「じゃあ早速、売名活動しますか!」
「はいっ!」
ーーーーー
秋葉原、オタク達が沢山いる場所にやってきた。
ㅤホワイトボードにはチュイッターのID。そして名前。
ㅤ俺がホワイトボードを持ち、リアンとフェンディアはとりあえず立ってもらっている。
ㅤ服装は……元の世界にいた時のような、白いロングコート。それにリアンはメイド服。フェンディアは……とりあえずメイド服だ。
ㅤテスラは俺達の後ろから異様な雰囲気を醸し出している。オタク達の雰囲気が苦手なのだろう。
ㅤアキもテスラの横にいる。
「幻影魔法使わなくても良いんですか?」
「大丈夫。本物だとは思わないよ」
こんな美少女3人並んでいるのに、それを宇宙人だ! なんて言って馬鹿にするオタクはいない。
ㅤこの世界のオタクは皆、紳士的であり貴族だ。
「早速フォロワー20人、あ23人」
後ろでチュイッターを確認しているアキは、色々と報告して貰っている。
ㅤオタク達は俺達の周りに集まって、写真を撮ったりしている。何人いるのだろうか。ざっと数えても40人はいるぞ。
「お姉さ〜ん! 名前は〜?」
「可愛いね〜彼氏いるの?」
一部オタクじゃない人が声をかけてくる。そんな奴らを、紳士のオタク達は睨む。
ㅤ美少女に気安く声をかけるな。そう思っているのだろう。
「ルトっていいます! チュイッターフォローしてね☆」
きっとここにいる全ての人に、星が見えたことだろう。
「ルト……そんなキャラもできるんだな」
「アキは黙ってスマホ弄っててっ!」
俺だってイチャイチャされたいんだ。可愛こぶっても良いだろ……別に。
「あ、凄いよ。撮られた写真が拡散されていって、どんどんフォロワー増えてる」
「えっほんと?」
アキのスマホ画面を見ると、フォロワー700人。
ㅤ俺も男だった頃、3年間チュイッターやってた事があるが……200人しかフォローされなかったな……。美少女効果すげぇ。
「ルトちゃ〜ん! 魔法使えるの〜?」
「マジック〜?」
「転生者なら何かやってよ〜」
「「クソワロタwwwww」」
オタク達の無茶ぶりに、他のオタク達が草生やしてる。
ㅤふっ……ここでちょっと、魔法だとバレないマジックを見せてやろう。
「リアン、これ持ってて」
「は、はい」
「フェンディア、BGM」
「チャラララララ〜ン……」
「「お前が歌うのかよw」」
オタク達が動画を撮りだした。有名になるチャンス!
「まずは……あ、誰か紙コップ持ってませんか?」
「んなの持ってるわけ……」」
「ありますよ〜」
「「あるのかよww」」
オタク達のツッコミ流石だな。
ㅤフェンディアのセルフBGMとオタク達のツッコミで良い感じに盛り上がってきたな。
「では、タネも仕掛けもない紙コップ。私の魔法で中に水を入れましょう」
紙コップをひっくり返したりオタク達に確認させた後、紙コップに手で蓋をした。
「いきますよ……」
不自然に思われないように、アキのハンカチを借りて手の上を覆った。
ㅤ後は水魔法を使うだけだ。
「……じゃんっ!」
ハンカチを取って、紙コップの中身を見せる。
「「おおぉぉぉぁおおお!!」」
オタク達からは大きな拍手が上がった。
ㅤ早速チュイッターに載せるのだろう。スマホを触り出す集団。
「アキ、ハンカチありがとう」
「おう……」
「ルト様。魔法使っても良かったのですか?」
「少しくらいなら影響無いよ」
魔法を使うと、そこには魔素が残る。しかし今の魔法は魔力の消費量が少ない為、危険はない。
「チュイッターフォローしたよ〜!」
「俺も〜!」
「ありがと〜!!」
今のところ、怪しまれていないな。
ㅤやっぱりオタクは美少女に優しいな……これこそ日本の文化だ。
「王女様……」
「ん?」
テスラが真剣な顔で、小さく声をかけてきた。
「魔法によって生み出された魔素を吸った者達は、その使用者に惹かれる効果があるのをご存知ですか?」
「へぇ〜知らなかった」
ということは、ここにいるオタク達が俺を魔素を吸えば熱狂的ファンになるって事か。
「つまりですね……上を見てください」
「? …………っ!?」
空を見上げると、鳥達がグルグルと飛んでいた。まるで異変が起こりそうな現象だ。
ㅤそれを動画に残すオタク達も数名、数十名はいた。
「怪しいかな……」
「専門家……とやらが見た場合、王女様に興味を持たれる可能性はあります」
「そろそろ撤退しようか……アキ、リアン、フェンディア行こう」
俺達が一通りの少ない場所に行こうとすると。オタク達の悲しそうな声が上がった。
「また来るから! それにチュイッターでも沢山話そうね!」
手を振ると、皆が幸せそうに手を振り返した。
「外国の人だよね……」
「可愛いなぁ……ビュフ……」
「今日のおかずは君に決めた」
「後ろの色白の人……怖かったなぁ」
と、小さく聞こえるような誰もいない場所でアキの家に転移。誰にも見られていないはずだ。
ーーーーー
「疲れたぁぁぁ〜!」
「フォロワー1800人」
「全員フォロバしといて〜」
かなり……それなりには有名になっただろう。まだ活動初日だしな。
ㅤそれに……今は学生や社会人は働いている時間帯。休日になればもっと拡散されるだろう。
ㅤにしても……ニートがあんなに沢山いるとはビックリしたな。
「ルト、ちゃんとリプは自分で返すんだよ」
「だってアキのスマホだし、返せる時間限られてるよ」
「じゃあ自分の家からスマホ取ってくれば?」
「えぇ〜……」
「……じゃあ俺が貰ってこようか?」
いやいや、絶対大事に保管されてるって。
ㅤ今度……サハルに金複製してもらってスマホ買いに行くか。バレなきゃ犯罪じゃないしな。
「そんな事よりルト様。これからどうするんですか?」
「今日する事は終わったし……私はリプの返信とかしないといけないから、リアンとフェンディアとテスラは帰ってていいよ」
「分かりました」
「りょっかい」
「では失礼します」
一礼して転移していった。
ㅤ部屋に残ったのは俺とアキだけ。
「スマホ見〜して」
「あ、あんまり近づくなよ。性別違うんだから」
「へぇ〜フォロワーどんどん増えていってるじゃん」
あっという間に3000だ。こりゃ数週間で超有名人になれそうだな。
ㅤ俺はアキからスマホを借りて、チュイッターのリプライに返信していく作業を始めた。
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