魔王LIFE

フーミン

45話 さぁ建築の時間だ

次の日の朝から、早速国作りを始めた。
ㅤといっても何をどうすれば良いのかさっぱり分からない。海の上に大地を作ったとして、その上にどんな建物を建ててどんな街を作るのか。俺はセンスが全くない。
ㅤそこで、建物のイメージを思いつきやすくする為に、先に大地を作ってみた。


「で、でかいな……」
「凄い……」
「流石ルトだよ」


一緒にいるのは、サハルとミシェルとリアンだ。ミシェルとリアンはアイデアを考えて、俺とサハルは建築だ。
ㅤ4人は転移で大地の上に立つ。草も何も生えていないが、上空にある為空気が美味しい。


「早速だけどサハル。好みのお城のイメージ教えて」
「特にないよ」
「ん〜……」


どんな城を作ったら良いのだろう……。
ㅤあ、そうだ。俺がこの世界に来て最初に作った城をここに転移させよう。
ㅤ地下も国から持ってきて、その城の周りに街を作っていく。良いな。


「……ほいっと」


遠くにある物を近くに転移させる魔法は俺しか使えないらしい。《世界の神》のお陰で色々と簡単に作業が進められる。


「あれ? これって……」
「あ、やっぱり気づいた?」
「ああぁっ!! 私達のお城!」
「何っ!? あ、ルトの城だ!!」


ミシェルは気づくの遅いな。


「一応地下もこの下にあるから。あ、それと既に何人かは地下と一緒に転移してるから、リアン呼んできて」
「分かりました!」


活き活きと走り出すリアン。なんだか懐かしい気分だ。
ㅤこうして、1から物事作っていくのは大好きだ。


「ちゃんと僕の部屋はあるんだろうね?」
「まだ無いけど、私の部屋の横に作るよ」


別にサハルと一緒の部屋でもいいけど、それだとミシェルとリアンが可愛そうだ。


「呼んできました!」
「広いな」
「ですね〜」
「おぉ〜」


いつものテスラやキルシュ、他にもドワーフやエルフ。俺の最初の仲間達が集まってきた。


「皆聞いてくださ〜い! 今から国を作るから、皆で協力して建築してください!
ㅤヴァンパイア達は設計図の作成、ドワーフ達は建築。エルフとダークエルフ達はそれぞれの手伝い。
ㅤ私とサハルで資材を用意して、この辺を快適にしていくから。頑張って!」


とりあえず、手始めに全員の身体能力を上昇させた。所謂バフ効果みたいな奴だ。これで作業効率も上がるだろう。
ㅤ俺が技能を使って建築する方が速いが、それはズルい。苦労して作る国だからこそ、良い国になるのだ。


ーーーーー


早速国作りが始まった。
ㅤ俺とサハルは、木材や石材をどんどん作っていく。
ㅤドワーフが必要な物を簡単に作ってくれるので、細かい部品は任せる。
ㅤここら一帯を丁度良い涼しさにして、心地よい風を吹かせる。これも《世界の神》のお陰だ。


ㅤエルフ達は、働く男達の汗を拭いたり、飲み物を持ってきたりなど。かなり良いサポートをしてくれている。
ㅤ筋力に自慢のある者はドワーフの手伝い。センスのある者はヴァンパイアの手伝い。
ㅤそしてリアンは全体への指示。


「ミシェルも働きなよ」
「ぼ、僕することあるかな……」


戦うことしか取り柄のないミシェルは、俺とサハルの後ろで座っていた。
ㅤせめて立てよ。皆頑張ってるのに座ってるって酷いぞ。


「じゃあ役目を与えるね」
「なんだ?」
「資材をドワーフ達の元に運んでいって。ずっとね」
「ん? それなら良い人材がいるぞ?」


ほう? 延々と反復運動をするのに優秀な人材がね……どうせまたサボるための言い訳だろ?


「フェンディア呼んできていいか?」
「えっ、フェンディア居るの!?」
「アイツ急に影薄くなってさ、でもいつも通りの速さだから。ちょっと呼んでくる」


そういって転移していった。


ㅤまさかフェンディア居たとはな……。俺がサハルに捕まってからずっと会ってなかったし、存在すら忘れてたな。


「ルト、魔法続けて」
「あ、ごめん……」


ミシェルが帰ってくるまで、また資材を生み出し続ける作業に戻った。


ーーーーー


「ただいま〜」
「随分と遅かっ……」
「私も手伝いに来ました」


ミシェルとフェンディア、その横にチヒロもいた。


「えっと、とりあえずフェンディア久しぶり」
「おう! 元気そうだな!」
「いつも通りで安心した。それでチヒロは何かできる?」
「私は人の心が読めるのよ? 何か困ってる人の所に行って手伝う事くらい、朝飯前よ」


おぉ〜これで優秀な人材が増えたな。


「じゃ、俺はこの資材を運べば良いんだな?」
「うんよろしく」
「任せろ!…………速く〜」
「え?」


一瞬で目の前に貯まっていた資材が無くなった。
ㅤドワーフ達の方へ目をやると大量の資材で溢れている。


「は、速いね……流石《神速》」


こうなりゃ俺も本気出すか。


「これでどうかな!!」


1秒に20本の木材に、50個の石材を生み出す。
ㅤそれでも無くなっていく。これは俺とフェンディアの勝負だな。


「えっと……僕は何をすれば……」
「無職は自分で仕事探して!」
「むしょっ……分かりました……」


結局ミシェルはヴァンパイアと共に設計図を書く仕事に入った。


「かなり進んでるね」
「皆頑張ってるからね〜……」


皆が頑張ってる姿を見ると、なんだか嬉しくて涙が出てきた。


「なんで泣いてるんだい?」
「女の子なんだから、仕方ないでしょ」
「疲れたら休むんだよ」
「分かってる」


もし疲れたとしても、すぐに回復できるんだけどな。
ㅤこうして皆で頑張れば、きっと良い街が作れるだろう。

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